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9/7日本タイトル挑戦、自分を出し切れ!ハングリーボーイ!!

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 「ライアン、自分を出し切ってみろよ!!」

 「皆、お前が勝てるとは思ってないよ。でも、チャンスだぞ!」

 「日本タイトルに挑戦できる選手なんて、そうそういないよ」

 「自分のやりたいボクシングなんて余程実力差がある相手じゃないと、出来ない。どれだけ我慢するかが肝心だぞ!」

 サンドバッグを叩く日本スーパーライト級9位、山本ライアンジョシュアを、小林尚睦トレーナーが鼓舞する。

撮影:筆者
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 山本は、日本人の父とフィリピン人の母の下、1993年10月19日に東京都中野区で生まれた。6人きょうだいの下から2番目。本人の記憶が定かではないが2人の姉と共に「5歳くらいで」母の祖国に移住。しかし生活は苦しく、伯母(母の姉)の手によって育てられた。

 「でも、色々と難しくて…学校を退学になってしまい、僕が13歳の時に日本に戻って来ました。中学校には通わず、父と一緒に内装工事の仕事をしていました。16歳の頃、やっぱり勉強したいと考え、夜間中学で日本語を習ったんです」

撮影:筆者
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 ずっとボクシングに憧れがあった。仕事の傍ら、23歳でワタナベジムに入門する。

 「24歳でデビューしました。最初はフェザー級でしたね。回転寿司店で働きながら、その後、先輩の紹介でもつ焼の店に移ったんです」

 4年間、コツコツと働いた山本は、今、<もつ焼でん 中目黒店>で店長を任されるまでになった。

撮影:筆者
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 2024年6月、3連勝中だった山本は、上位ランカーである角海老宝石ジムのアオキ・クリスチャーノと対戦。複数回、タイトルに挑戦経験のあるアオキは、山本にとって、キャリア最強の相手だった。

撮影:筆者
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 小林は振り返る。

 「アオキはパンチがあるし、前半はポイントをとられるだろうと。4ラウンドまで耐えて、5~8回で捲る作戦だったんです。でも、ライアンは出なかった。そこが敗因ですね」

 山本も言う。

 「相手をリスペクトし過ぎて、練習したことが出せなかったです」

撮影:筆者
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 そして今回、日本チャンピオンである李健太(帝拳)の初防衛戦の相手として声が掛かった。

 「典型的な咬ませ犬ですよ。でも、勝たせてやりたい。それが僕の仕事ですから」(小林トレーナー)

撮影:筆者
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 山本も結んだ。

 「フィリピンの英雄、マニー・パッキャオは、いつも最強の相手と戦ってきましたよね。僕はあの姿に勇気をもらいました。今は絶対に勝つぞ!という思いです。どう戦えばいいかが見えてきました。

 職場の皆も、お客様もサポートしてくれます。期待に応えたい。恩返しがしたいです」

 山本よ、9月7日の日本タイトルマッチで、自分の全てを出し切れ!

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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