「アイドル公演が目玉でも、ミスコンは眼中なし」。韓国・学園祭事情の不思議
新学期が始まり、ゴールデンウィークも終った日本では大学キャンパスも一段落したころだろうが、韓国ではいよいよ大学キャンパスが盛り上げる時期を迎える。“テハッ・チュッチェ”のシーズンを迎えるのだ。
名門女子大学でも美少女アイドルのライブがある
“テハッ・チユッチェ”を漢字で書くと「大学祝祭」となる。日本で言うところの学園祭のようなもので、韓国では毎年5月と9月に大学祝祭シーズンを迎えるのが一般的だ。
韓国の名門女子大学で、最近は美人スポーツアナ“三大将”と呼ばれる女子アナを輩出したり、崔順実の娘チョン・ユラの不正入学問題などで揺れた梨花女子大学でも一足早く“大学祝祭”が行われた。
今年の梨花女子大学の大学祝祭は歌手のスティーラー・チャンのライブが行われるなど大盛り上がりだったそうだ。
この梨花女子大学だけでなく、韓国の大学祝祭では歌手やアイドルグループといった芸能人の公演やライブパフォーマンスが大きな目玉となる。当然、人気があるアイドルグループがステージに立つだけで大学祝祭も盛り上がり話題となるので、祝祭の主催者側は芸能人のキャスティングに血眼になる。
(参考記事: 学学園祭ライブの出演料に1億ウォン!? 韓国の“大学祝祭”をめぐる賛否)
韓国・教育部(日本の文部科学省に相当)が最近3年間(2013〜2015年)をまとめた資料によると、韓国134の4年制大学の大学祝祭の総予算のうち、芸能人のキャスティング費用だけで全体の43%(約3411万ウォン=約341万円)も占める割合だというのだ。
企業も出店する大学祝祭。が、トラブルも…
こうした出演料はライブの入場料などで賄われるのだが、それでは到底足りないことが多い。そこで登場するのが大学祝祭に参加する企業である。
企業は出店料やスポサンー料などを大学や学生会に支払う代わりに祝祭で盛り上がるキャンパス内に宣伝ブースなどを設け、主催者側はそれを収入としてキャスティング費用などに使うという図式だが、必然的に酒類メーカーなどが多くなる。日本でもそうだが、韓国でも大学キャンパスでのお祭りにはお酒がつきもので、焼酎などもよく売れるという。
韓国では焼酎メーカーの“イメージガール”が美女揃い・トップスター揃いで有名だが、そんな広告モデルのアイドルたちが大学祝祭のステージに立てば相乗効果も抜群。企業も大学生たちも“ほろ酔い気分”で盛り上がるわけだ。
(参考記事:韓国焼酎の広告モデル “ほろ酔いソジュ美女”総選挙の結果は!?)
ただ、芸能人のライブはもちろん、キャンパス内での宴会騒ぎがトラブルや事故に発展してしまうケースも多い。
例えば2015年には、地方の工業大学の大学祝祭でコンピューター学科の学生たちが開いた “模擬店(居酒屋)”が問題なったことがある。
2016年には日本デビューもした人気ガールズグループ “TWICE“の公演を見たさに、柵に登って立ち見していた学生7人が7m下の床に落ちて大けがをしている。楽しいはずの大学祝祭で、さまざまなトラブルが起きているのだ。
そうした状況を見かねた韓国の国民安全処は5月23日、教育部、文化観光部などの政府機関や民間専門企業ともにも「大学祝祭安全点検」なるものを実施していくことを発表している。
国民安全処によると、今月下旬はソウル23の大学をはじめ、全国69の大学で大学祝祭が行われるため、安全で楽しいフェスティバルを喚起していきたいという。
はたして今年の大学祝祭シーズンは事故やトラブルなしに無事に終わるだろうか。
ミスコンはないが大学生専門誌はスゴい
ちなみに日本では学園祭となると「ミス〇〇」などの美女コンテストも定番だが、韓国の大学祝祭で“ミスコン”が行われることは少ない。
代わって韓国では、『大学naeil』という雑誌がある。これは毎週5万部(公称)を発行している大学生向けの雑誌なのだが、毎号のように各大学の現役女子大生たちがグラビア登場している。大学生たちの中では “誌上ミスコン”のようなものが日常的に行われていると言ってもいいだろう。
(参考記事:“美しすぎる女子大生”の決定版!! 韓国の大学生向け雑誌の表紙がスゴイ!!)
いずれにしても新入生たちにとっては大学キャンパスで初めて迎えることになる大学祝祭。厳しい受験戦争を乗り越えて入学した大学で、健全に楽しくキャンパス・ライフを楽しんでもらいたい。