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3階級制覇を狙うWBCフェザー級チャンピオン

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 36戦全勝22KOのWBCフェザー級チャンピオン、レイ・バルガスが3階級制覇を狙い、空位の同スーパーフェザー級タイトルを懸けてトップコンテンダーのオシャキー・フォスターと拳を交える。現地時間11日にゴングが鳴る。

 バルガスは語った。

 「これは私の挑戦だ。モチベーションが上がっている。フォスターはいいファイターだが、圧勝するのが自分に課せられた仕事だ。私はフォスターを凌駕してみせる。彼はスピードがあって、ガードもしっかりしている。ハードワークしていることも分かる。が、私はフォスターの対戦者のなかで最強だ。彼は勝てはしないさ。

 これは夢じゃない。現実だ。3階級を制した世界チャンピオンは数少ないし、自分が作る伝説の一部としたい。私は予想外のことをするのが好きなんだ。次に何をするかなんて誰にもわからない。2月11日に3階級制覇することだけに集中しているよ」

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions バルガスは昨年7月の試合でダウンを喫した
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions バルガスは昨年7月の試合でダウンを喫した

 前回のバルガスの試合もアラモドームで行われた。今回と同じようにSHOWTIMEのメインイベントだった。バルガスは9ラウンドに喫したダウンから立ち直り、マーク・マグサヨからタイトルを獲得した。SHOWTIMEは評した。

 「バルガスのキャリアはピンチに陥った際に生かされる。長年にわたって築いたボクシングの基礎が、サバイバルにおいて適応力となって示されるのだ」と。

 バルガスは続けた。

 「このレベルの試合では、ほんのわずかなミスが命取りになる。賢く、注意深く戦わねばならない。前回私は注意力を欠いてしまった。そこに、マグサヨの一発を食らったんだ。でも、そこから立ち上がってスマートに戦い、勝利を手にしたよ。あのような状況をいかに切り抜けるかを見せられたよな。経験を積んだことに、感謝している」

 バルガスはスーパーバンタム、フェザーと2階級を制した技術を維持しながらの増量を重視してきた。ストレングス&コンディショニング・コーチが作ったメニューに加え、メキシコのオトゥンバを選んで高地トレーニングを行い、ベストコンディションを築いた。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「130パウンドはとても快適だ。私とストレングス&コンディショニング・コーチは、栄養と脂質の重要性を話し合った。不必要な筋肉をつけると動きが鈍くなるので、それを避け、自分の体が強くなるために必要なものを取り入れたのさ。オトゥンバは標高が高く、空気も新鮮でトレーニングに適していたよ」

 バルガスは父親であるカルロス・バルガスの教えを受けており、親子の絆は固い。2019年から2021年にかけて2年以上休養し、完全復帰した今、バルガスは家族をモチベーションに上昇気流に乗っている。

 「家族とチームは、懸命に働き、私の成功のために毎日鼓舞し続けてくれる。周囲から刺激をもらい続けているよ。

 自分はこれまでに何度も挫折を味わった。ブランクを作ったのはケガが原因だ。しかし、回復した。自分が進むべき道は分かっているし、今、一瞬一瞬を楽しんでいるんだ」

 今週末、バルガスは3階級を制するか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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