スーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズは、5月14日、準ホームの扱いであるシンガポール・ナショナルスタジアムで第12節をおこない、ストーマーズと激突。序盤から主導権を握りながら、17－17の引き分けに終わった。

サンウルブズのウイングとして先発フル出場した山田は前半11分、ハーフ線付近の右タッチライン際から駆け上がり、フルバックのリアン・フィルヨーンのキックを捕球。敵陣22メートルエリアで作ったラックから攻撃が重なると、同ゴール前の接点へ移動。ボールを拾い上げ、8－3とする勝ち越しトライを挙げた。

14―3で迎えた後半4分頃には、またも敵陣ゴール前右の接点脇からトライをしたかに思われたが、テレビマッチオフィシャル（ビデオ判定）の末、寝た選手がボールを2度以上動かすダブルモーションの反則を取られ、ノートライとなった。

蒸し暑いシンガポールでの試合が初体験だったストーマーズはこの日、ミスを連発。一方、好守の光ったサンウルブズは最後の最後までリードを保った。加わっている南アフリカ・カンファレンスで1位だったストーマーズから通算2勝目を挙げるかと思われたが、ラストワンプレーで同点に追いつかれていた。

サンウルブズは21日、オーストラリアはブリスベンのサンコープスタジアムで第13節に挑む。対するレッズでは日本から初挑戦の五郎丸歩が2試合連続での先発出場を目指す。

以下、試合後の山田の一問一答（質問はすべて当方）。

――まず、トライについて振り返ってください。フィルヨーン選手のキックに反応したのがきっかけでした。

「裏（相手防御網の背後）が空いているのを彼は観ていた。皆、（思ったプレーを具現化する）スキルもあるので、いい連携は取れていますね」

――駆け上がった山田は捕球後、グラウンドの内側へ突き進みました。

「カバーの選手（突かれたスペースを埋めに来た相手防御）が皆、外に来ていた。目の前の選手をかわそうとしていくなかで、内に行きました」

――そして、球が出た後、すぐにゴール前の密集をサポート。トライに至りました。

「速く球を出そう（密集からスムーズに次の展開をしよう）と思っていたんですけど、左のコーナーが空いていたので」

――ダブルモーションを取られたシーン。率直に。

「行けたんじゃないかな」

――「行けた」。ボールを持ち直す前、すでに白線の上にボールを置いていたような。もしそうなら…。

「置いてましたよ。でも、僕が言ったって変わらないので、そこに対して（意見）はないです」

――最後の最後、勝利が零れ落ちたような試合でした。

「最後、敵陣で上手く点が取れればよかったなと」

――きょうは、悔しいですか。それとも手応えを掴みましたか。

「うーん、手応えはそれまでの試合でも掴んでいるので。ただ、1つでも多くの勝ち試合を、いい試合を見せたかった、というのはあります」

――次はレッズ戦です。日本で取材を受けた折、相手チームに五郎丸歩選手の起用を促す発言をしていました。その心は。

「やっぱり、ゴローのファンが多いのは事実ですし、彼が出ることで日本のラグビーが盛り上がる。世界的にもいいんじゃないかなと」

――山田選手にとっての五郎丸選手は、日本代表のチームメイトで同学年のライバル。単純に、対戦したい気持ちもありますか。

「対戦したくはないですよ。実力がありますし、キックも蹴られるし。（相手チームの）戦力としては嫌な存在です。ただ、人気を考えたら、出てきて欲しいかなと思います」