大阪北新地に昨年オープン、今ではすっかり人気を確立した『エンメエッセ』。
桜の季節を意識した春のお料理の４月のコースのテーマは「にじはじめてあらわる」。リーズナブルで上質なコースメニューは、シェフが想いをこめたストーリー性が素敵なのです。コースと共に厳選されたドリンクペアリングを楽しみました。

北新地の大人の隠れ家イタリアン『エンメエッセ 』

大阪北摂の人気イタリアン『ロベルトカレラ』のランクアップ店

大阪北新地、以前人気イタリアンレストラン『トムクリオーザ』があったところといえば食通の方はすぐわかる場所に、2023年3月オープンした『エンメエッセ 』。
季節の味を堪能できる料理と、こだわりのドリンクペアリングがこの立地で驚くほどリーズナブルなこともあり大人気となっています。
今回も一品目にあわせたファーストドリンクがとてもユニーク。品種もヴィンテージも全てまぜこぜ、まさしく名前どおりのユニークな酒井ワイナリーの「まぜこぜワイン白」からスタートしました。

４月のコース「にじはじめてあらわる」11,000円(税別）

関西、日本の文化や万葉の言葉をもとに考案

Spuntino　①　厚切りフグのカルパッチョと白子

大好きなフグの白子が出てきました！豊臣秀吉が河豚食禁止を発令した時も、大阪の人は隠れて食べていたという逸話の通り、大阪人はフグが大好きなんです。シェフは河豚をあえて厚く切り白子とあわせることで、危険を冒してでも食べたくなるその魅力に納得したそうです。その美味を食べられる私は幸せ！白子をソースのように絡めていただきます。

Spuntino②　ヘルケル社のスライサーの超薄切り生ハム

シェフが長年かけ厳選したフランス、ラボリ社の無添加の生ハムを、ヘルケルのスライサーだからこそのこの極薄にスライス。フリルのようなふわっとした口当たりの生ハムに採れたての筍とマスカルポーネをくるくると巻いていただきます。

サンジョベーゼの白ワインのフルーティーな味わいが生ハムの塩気にあう。

Antipasto ①　近海のイカとカリフラワーのペースト　雲丹添え

新鮮な和歌山のあおりイカと旨味溢れるカリフラワーペーストをからめていただきます。そこに濃厚な雲丹と合わせると磯の香りが加わり、さすがの一品です。

美しいいか墨とチーズで作ったレースが添えられていて、こちらも一緒に食べることでまたアクセントに。

たしかにこのイカには日本酒が合う！
日置桜 純米しぼりたて生原酒「山眠る」。こちらは布施の湧水仕立て。すっきりかつ引き締まった味わいです。

日置桜 純米しぼりたて生原酒「山眠る」の深井戸１００m仕立てと飲み比べ。しっかりと日本酒の力強さを感じます。同じメーカー、銘柄でも水が変わることでこんなにも味わいが変わることを、イタリアンレストランで知ることができるなんて。

淡路のかわはぎ、肝、きぬさや、自家製カラスミ

メニューにのっていないシェフの一皿はバターソテーの香りが食欲をさらにアップ。温かいかわはぎに肝がソースのように絡まり、自家製のカラスミが塩味と旨味を加えます。

Antipasuto　②　山田錦とミル貝のリゾット

日本酒とあう日本のお米のリゾット。私は少ないポーションにしてくださいとリクエストしました。ミル貝ってこんなにも柔らかく旨味があると再認識します。
咲き誇る花のような美しい器は人間国宝の井上萬二氏の作品。

Peace 　本日の鮮魚のしっとりロースト

魚料理が運ばれなるほど今回のテーマに納得！肉厚の鰆の身がにじいろなんです。

綺麗な桜は日本人にとって特別な存在ですよね。昔から桜が散る頃に、雷が鳴るといわれ、１年で初めて虹がかかる時期。そんな季節の趣を魚のにじいろで感じられるとは！薄味でありながらこくのある白湯スープとの組み合わせも斬新です。

お口直し　マンゴーとオレンジのシャーベット

爽やかなシャーベットでお口直し

メインのお肉は赤ワインといただきます。

Carne　仔羊のアッロースト　

アッローストは肉を塊のままオーブンで焼くシンプルな料理。一年の中で春から初夏にかけてが一番美味しいとされる仔羊料理でここでも春気分！アイルランドの仔羊の背肉をロゼに焼き上げ、添えられたエンメエッセならでは日本の野菜を用いたタプナード、桜塩とで肉の旨味をダイレクトに感じながらいただきます。この桜塩もエンメエッセの自信作で、ワインとあうんです。

春を告げる仔羊の料理を、今この桜咲く時期にぴったりなワイン「よしの」といただきます。桜で有名な奈良県吉野の千本桜が明治時代に伐採される危機に陥った時、日本林業の父と呼ばれる土倉庄三郎氏が桜の山ごと買い上げ後世に残しました。その子孫がカリフォルニアで先祖の偉業に想いを馳せ作るロゼワインは、吉野の山に咲き誇る桜のようなピンクの色合いが美しい。味はスイカのような青リンゴのようなフルーティーさと花のアロマを感じます。

実は以前こちらでいただき、その味わいとストーリーに感動したカリフォルニアのロゼワインでお値段も高めなのですが、リーズナブルなペアリングに含まれるなんて嬉しいです。

Priomo 　Piatto　自家製フェットチーネ　青豆と貝のソース　からすみがけ

自家製のもちっとしたフェットチーネはパスタだけ食べても味わいがあります。そこに蛤の出汁がきいたオイルベースのソースが絡み春らしいアスパラや青豆も薫ります。パスタのサイズが（30ｇ　60ｇ　90ｇ）から選べます。コースがボリュームたっぷりなので私は30g。こちらの写真は60gになります。

Dolce 自家製濃厚プリン

エンメエッセに来たら絶対に食べたい！大好きなプリンでしめくくり。
本店のロベルトカレラ名物のプリンでみためは一見、昔ながらの固めプリンですが、食べる食感はもっちり、卵黄のコクをしっかりと感じるイタリアンドルチェなのです。
20時半から注文可能なアラカルトメニューとしても楽しめ、テイクアウトもできます。テイクアウトはコースで提供されるより大きめサイズで２つで1,000円。北新地土産にも、次に行くお店への差し入れにもぴったりです。

これほどの内容でコース基本11000円(税別）そして4000円(税別）のペアリングドリンクなんて！そしてストーリーがあるのが私は好きです。そのお話も決して押しつけがましくなく食への探求心と同様に、シェフがある意味少年のような気持で古に思いを馳せているのが感じられます。

近畿とその周辺の食材と、文化の素晴らしさをイタリア料理で表現し、関西で食事をする楽しさを実感してほしいという想いで日々料理を提供している谷上シェフとスタッフの皆さんに会いに通いたくなるレストランです。

４月２７日から５月８日は長期お休みとなります。それまでに予約してうかがうのがおすすめ。