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負傷の長谷部誠はUAEで代表ドクターのオピニオンを得て帰国。日本で信頼する医師の判断を求める。

河治良幸スポーツジャーナリスト
キャプテンとして現地の日本人学校と交流の挨拶も、その後チームから離脱を発表した。

バイエルン戦で左脛に6針縫う裂傷を負った長谷部誠。フランクフルトの公式サイトは膝の手術を行うこと、復帰の時期が未定であることを発表した。それが一部の報道やファンの間で誤解を生んだが、ハンブルガーSV戦後のヒュブナーSDの発言により、内視鏡(間接鏡)検査であることが判明。しかも、患部は裂傷した左足ではなく同じプレーで強打した右の膝だった。

その発表から、予定通り長谷部がUAEのアルアインで合宿を行う日本代表に合流したことで、”強行招集”としてハリルホジッチ監督や協会スタッフに対する批判の声も出た。しかし、20日の練習に姿を見せた長谷部はその日のうちに日本に帰国することに。報道陣の取材に応じ説明を行った。今回はファンの正確な理解の一助となるため、そのまま一問一答を掲載する。

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【長谷部誠の一問一答(20日練習後の取材)】

ーー離脱することになったが今の状態は?

まずは発表された通り、今日で日本代表を離れることになって、この大事な、本当に大事な試合の直前にこのようにチームを離れることになってしまって、監督、チームスタッフ、選手、代表チーム、そして心配してくださる方々、その全ての方々に本当に申し訳ない気持ちです。もちろん悔しい気持ちもありますしね。

本当に自分の中で割り切れてるかと言えば、割り切れない部分はまだありますけど、ただ、一番は仲間を信じてるので、僕がこのチームを離れることで、チームへの影響っていうのを僕個人で考えるうえではそれほどないと思いますし、ホントにこのチームは1人1人がね、経験ある選手もいますし、自覚持ってやってくれるので、チームとして素晴らしいチームだと思うので、そこに関しては全く心配してないですけど。

ーー合流して監督やスタッフと話したと思うが?

けが人、1人の患者として、セカンドオピニオンだったり、サードオピニオン、そういうものを聞くのは当たり前のことだと思いますし、代表チームドクターにも診てもらって、そしてこのチームを離れることももちろん監督とも話をして決めましたし、ケガに関してですね」

ーー今後は?

これから日本に戻って最終的な、自分が信頼するドクターももう1人日本にいますから、チーム(フランクフルト)のドクター、代表ドクター、そしてもう1人にそういう意見を聞いて、最終的には決断したいなと思いますけど、そういう流れですね、今は日本に行って、そのドクターの診察を受けるという感じです。

ーー代表のチームメートにはどう声をかけた?

とにかくまずは申し訳ないと。そういう気持ちをしっかりと伝えて、あとはみんなへの信頼、それを伝えました。

ーー正直な今の気持ち?

気持ち的には本当にこの試合にかける思いというのは強くて、それは初戦ホームでUAEに敗れてからずっと心の中にあった悔しさを取り払うためにこの場所に来ようと思ってましたし、そういう強い気持ちがあってやはり今シーズンはチームでも、自分の中では非常にいいプレーができてましたし、そういう中で、ホントに直前でこのようなケガっていうことで、個人的にはホントにやりきれない、断腸の思いと言いますかね、そういう感じにはなりますけど、チームを離れることにはね。ただ、個人はそういう思いですけど、チームに対しては全くネガティブな感覚は持ってなくて、とにかく100%、120%代表チームを信頼してるので、みんなにも日本で笑顔で迎えられるように、待ってるからっていう風には言いました。

ーーここに残る選手に託す思い?

この試合の意味、重要さっていうのはみんな分かってることだと思いますし、その思い、日の丸を背負う思い、そしてワールドカップという舞台への思い、そういうものを持って、やってくれたら僕は全く心配してないですね。

ーー負傷個所のこと? 

箇所としては右ひざですね。流れとしてはバイエルン戦でクリアした際にゴールポストにぶつかって、その当時と言いますか、その時はすねを6針縫うケガだったので、そこ自体の痛みに頭が行ってましたし、そこで実際縫って、週が空けて火曜日とかまでは自転車とかはぜんぜんこいでましたしね、その時点では全く問題なかったんですけど、水曜日グランド出てチームと一緒に練習をして、そしてそこで新たに右のひざの痛みを感じて、チームとは全部トレーニングしたんですけど、ホントに40%、50%くらいの力しか出せない状態でしたので。

自分で金曜日の朝にMRIを撮りたいっていうふうに言って、それで状態が発覚したんですけど、まあでも土曜日の試合の日朝まではね、やはりどうしても自分の中でもプレーにトライしたくて、もう試合に出る準備もしてましたし。ただ、チームのメディカルや監督、スタッフ、そして日本代表のメディカルスタッフ、監督とかもそうですけど、この1試合2試合3試合のリスクでキミのサッカー人生、サッカーのキャリアに影響があるようなリスクは背負わせられないっていうふうに周りの人たちも言ってくれて、そこはそうですね、ホントに苦渋の決断だったと思います。全ての人にとって。

ーーブラジルワールドカップの前に右ひざをケガしているが、そことは違う箇所? 

全然違いますね。

ーー半月板? 

そういうのも詳しいことは精密検査をしなければ分からないですけど、今言えることはそこまでくらいですかね。

ーーポストに当たったことはそのケガに関係している? 

100%とは言えないですけど、その時はもうホントに左のスネの感覚しかなかったので。ただ、相当高い確率でたぶんその時だと思いますね。

ーーUAEに来て代表合流するというのはクラブは了承を? 

クラブとも話しましたし、日本代表の監督の方からディスカッションしたいというのもありましたし、僕個人としてもディスカッションもそうだし、代表ドクターの見解っていうのももちろん聞きたかったし、しっかりとクラブに説明したら理解してくれて、そこはゴーサイン出してくれた。そこに関しては全く問題ないですけどね。

ーークラブは手術と発表しているが? 

まあ訳し方の問題だと思いますけどね。もちろん状況的には今の状況で言えば、ひざにメスを入れる可能性はかなり高いかなっていうのは正直ありますし。そうですね、もちろん最終的な決断は先ほど言った通り日本でしますけど、まあ可能性は相当高いですね。

ーー内視鏡で検査して? 

そうですね。内視鏡も手術と言えば手術ですから、手術なんでしょうね。

ーー今季絶望だと報じている現地メディアもあるが? 

まあでも本当にこればっかりは僕も医者じゃないので正直、分からないし、ドイツのメディアのみなさんがいろいろ書かれてはいると思うんですけど、ホントに今の状態でどれくらいかかるのかっていうのも自分自身も分かってないし、そこではいろんなおそらく情報が錯綜してるとは思うんですけど、まあでも今の状態で言えることは日本に戻って、初めて分かるっていう部分だと思うんですけどね。

ーー裂傷した左のスネは? 

左のスネはもう全く問題ないですね。

ーーサードオピニオンのために日本へ? 

基本的にはそうですね、サードオピニオンと、最終的にオペっていうふうな形になったら日本でやるってことにはなると思います。

ーーファーストとセカンドはほとんど一緒? 

そうですね。意見は一致してるとは思いますけど。

ーーそのサードオピニオンを合わせて、手術するかどうかを決める? 

セカンドオピニオンまでは内視鏡とかそういうので見てみないと分かんないというのは一致してるので、だから本当に今、言えるのはそこまでなんですよ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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