【全文】爆破から異例の”南北声明対決”へ。文在寅「対話で信頼を」vs 金与正「胃がムカムカ」
今月の朝鮮半島情勢は「声明・談話」に注目だ。
6月16日の「南北連絡事務所爆破」は13日の「金与正談話」に始まったのはよく知られるところ。いっぽう、前後にも両国からの声明・談話を巡って対立が起きている。
1.6月15日 文在寅大統領の「6.15南北共同宣言(2000年)20周年記念映像メッセージ」
【16日に南北連絡事務所爆破】
2.6月17日 金与正氏による談話「恥知らずな戯言を聞くにおぞましい」
3.6月17日 ユン・ドハン韓国大統領秘書室「6.17発表 北側談話関連青瓦台発表」。遺憾を表現。
17日、ついに韓国側が声明を通じ、北を批判したのだ。
2017年の文在寅政権発足後、対北対話路線を継続してきたなかでの批判だった。そこに至る2つの声明を並べてみる。南1800字、北4500字。長い。少々の流れの説明を加えつつ、紹介する。関連ニュースをより深く理解いただくためにも、全文の紹介を。二人は何を言っているのか。
文在寅大統領6.15南北共同宣言20周年記念ビデオメッセージ「南北の信頼が重要」
文在寅大統領は2000年の史上初の南北首脳会談時に関係者が使用したネクタイを結び、撮影に臨んだ。
(筆者はこれまで、北朝鮮側の「南朝鮮」といった表現もそのまま訳してきました。韓国側による北韓=北朝鮮、韓半島=朝鮮半島といった表現もより現地語のニュアンスを表現するため、そのまま記します)
20年周年記念日を報じる韓国メディア「YTN」
2018年の南北首脳会談を報じる韓国政府公式チャンネル
文大統領はスピーチのなかで2度、「国民の皆様、内外の貴賓の皆様」と呼びかける。果たしてその対象に連絡の途絶えている北朝鮮が入っていたか、いなかったか。
北からの反発「言葉の端々に恥知らずと強引さがカビ臭くこびりついている」
いずれにせよ2日後、北側から強い反発があった。朝鮮中央通信から発信された談話だ。小見出しの位置も含めできるだけ忠実に訳し、紹介する。
話は冒頭から「熾烈なスタートダッシュ」で封を切る。
冗長、嫌悪感、食あたり、恥知らず、厚かましい、そして胃がムカムカ。談話は、多くの感情的な非難の言葉から始まった。
記事の発信を伝える北朝鮮公式対外宣伝サイト「我々の民族同士」のTwitter。
本末転倒の美辞麗句の羅列
そちらが「信頼」というわりには、2018年の南北合意に反して軍事境界線近くの挑発行為(煽動ビラ散布)を行った。分かっていながら見過ごした。その解決に時間をかけている。6月15日の演説の内容は失望だった、という点を記している。
談話を読み上げる朝鮮中央TVのアナウンサー。
責任を転嫁する恥知らずな詭弁
この段落では、「韓国側が南北関係の停滞を南北間当事者以外の責任にしている」と批判。なかでも米韓同盟を批判した。
卑屈と屈従の表出
締めくくりの段落ではさらに米韓同盟を掘り下げて批難。「事大主義(強いものに従う)」が過ぎている、南北関係停滞・悪化を責任転嫁しているとした。
この両者の「やりとり」のうち、北の言説について、韓国大統領官邸側が批判を行った。内容はこちらに。