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マイクロソフトも腕時計型端末を市場投入か? 米特許商標局の情報開示でコンセプト明らかに

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

スマートウオッチとも呼ばれる腕時計型端末を米マイクロソフトが研究開発しているとの噂は以前からあったが、その内容が明らかになったと米メディアが報じている。

報道によると、米特許商標局(USPTO)が5月1日に、マイクロソフトのスマートウオッチ関連特許に関する出願書類を公開した。

マイクロソフト、スマートウオッチに再挑戦か

これを見ると、特許タイトルは「ウエアラブル・パーソナル・インフォメーション・システム」となっており、マイクロソフトが2012年10月29日に出願している。この端末はフィットネス関連機能のほか、音楽プレーヤーや、電話、メッセージといった機能も併せ持つという。

また本体表面にはタッチディスプレイを備え、底面のセンサーで各種のフィットネスデータを収集する。Wi-FiやGPS機能、ストップウオッチも備えると記載されている。

米CNNマネーによると、マイクロソフトはこの特許に関してコメントを避けており、このコンセプトが実際の製品になるかどうかは分からない。

だが、もし同社がこの技術に基づくスマートウオッチを製品化するのであれば、同社にとって再チャレンジになるとCNNマネーなどは伝えている。

というのも同社は今から10年前に「スマート・パーソナル・オブジェクト・テクノロジー(SPOT)」という腕時計型端末の技術基盤を開発し、これをベースにした端末が、2004年に米国と欧州の時計メーカーから発売された。

これらはFMラジオの電波を使って天気、交通、スポーツ情報を定期的に配信するというもので、ユーザーは1カ月9.99ドルを払ってSPOT端末の情報サービスを利用するというビジネスモデルだった。

携帯電話網を介した高速データ通信や、Wi-Fi、ブルートゥース(Bluetooth)などが手軽に利用できる今と比べると見劣りするサービスだが、当時の消費者向け製品としては最先端だった。

ただし残念ながら消費者には受け入れられず、SPOT端末は2008年にすべての販売が打ち切られたという経緯がある。

スマートウオッチ市場はすでに競争激化の様相

報道によると、マイクロソフトのスマートウオッチはタブレットPC「サーフェス(Surface)」のチームが開発に取り組んでいるという。また同社は、5月20日にニューヨークでサーフェス関連のイベントを開催すると報じられており、その会場でサーフェスの小型モデルのほか、スマートウオッチも発表される可能性があると指摘されている。

ただ、今の市場環境はSPOT端末時代とは大きく異なり、競争激化の様相を呈している。

例えば韓国サムスン電子やソニーモバイルコミュニケーションズがすでにスマートウオッチを製品化しており、マイクロソフトの特許書類に記載されているコンセプトと、これら大手の製品は機能が似通っている。

また米グーグルは先頃、同社のモバイル基本ソフト(OS)をベースにしたウエアラブル端末向けOS「Android Wear(アンドロイド・ウエア)」を発表しており、韓国LGエレクトロニクスや米モトローラ・モビリティがこれを搭載する製品を今年夏までに発売する計画だという。

このほか新興企業の米ペブル・テクノロジー(Pebble)は昨年40万台のスマートウオッチを販売したと報告。モバイル端末の市場ではマイクロソフトに大差をつけている米アップルは今のところ沈黙しているが、100人規模の技術者チームが、いわゆる「アイウオッチ(iWatch)」を開発していると伝えられている。

JBpress:2014年5月9日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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