メイウェザーの核
かつてのパウンド・フォー・パウンド、フロイド・メイウェザー・ジュニア(45)が現地時間13日にドバイのリングに上がり、エキシビションを行った。今回の相手は、人気YouTuberのDeji Olantunji(25)。
過去4回のエキシビションと違うのは、Olantunjiにある程度の花を持たせた点である。引退から久しいとはいえ、メイウェザー・ジュニアの技量なら秒殺することも可能であった。
が、ノーガードで距離を詰めたり、グローブを叩いて微笑みかけたり、両腕を高く掲げて挑発したりと、ファンサービスに費やす時間が長かった。
第6ラウンド。メイウェザー・ジュニアは6割くらいの力で連打し、防戦一方のOlantunjiをレフェリーが救うかたちで終了となった。ドバイのコカ・コーラ・アリーナを埋めたファン、PPV購入者に自身の姿を少しでも見せようと配慮したかのような内容となった。
メイウェザー・ジュニアが世界タイトルマッチを最後に戦ったのは、2015年の9月。リングを離れた後も、自身の商品価値を保つ努力を怠らない。
現役時代、彼は言ったものである。
「俺の家族は厳しい状況下で生きるしかなかった。住まいはプロジェクトの一室。お湯の出ない1ベッドルームで7名が生活していた。だから、自分が家族の生活レベルを上げてみせると誓ったんだ」
<プロジェクト>とは、米国の各地域で行政が貧困層を救うべく建てた格安住居である。
自らを"Money(金の亡者)"と語り、余興を繰り返しながらもきちんとカネを稼ぐ元チャンピオンの原点は、そこにあるようだ。