温暖化の危機 このまま続けば世界で水没都市、続々と…
今月末からパリで開かれる、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に先立って、温暖化に関する様々な報告が、国連などの機関から発表されています。
「2014年の温室効果ガス濃度は過去最大だった」「2015年も、世界気温は史上最高になる見通し」「各国が温室効果ガス削減目標を達成しても、世界気温3.5度上昇か」など、今のところ、温暖化における明るい兆しはほとんどないようです。
ただ、こうした報告が連日報道される一方で、私たちは「温暖化」という言葉に慣れてしまっている感があって、いまひとつ危機感が伝わらないと感じるのも事実ではないでしょうか。
そこで、その迫りくる温暖化の恐怖を、視覚的に訴えるようなCGを、アメリカの気候研究機関Climate Centralが公表しています。
これはニューヨークの街中の写真で、写っているのは、チャージング・ブルと呼ばれる金の牛の像です。世界の平均気温が2度上昇した場合(左)と4度上昇した場合(右)を比べたものですが、4度では牛は水没し、尻尾の先しか見えません。
次はシドニーです。2度上昇(左)だと、堤防ギリギリで水が止まっていますが、4度(右)では、人はおろか、堤防の面影さえなくなっています。
そして、ムンバイでは、インド門がまるでフランスのモンサンミッシェルと化しています。
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世界の温暖化
Climate Centralによると、温暖化がこのまま進み、世界気温が産業革命前と比べて4度上昇すると、海水が8.9メートルも上昇し、現在6億7000万人が住む場所が水没するかもしれないといいます。ただ、温度上昇を2度まで抑えると、2億8000万人まで減らせるだろうとのことです。
残念なことに、この海面上昇により最も被害の出る上位6カ国はすべてアジア諸国です。その順番は一番目から中国、インド、バングラデシュ、ベトナム、インドネシアで、日本が6番目にランクされています。日本だけで、およそ3400万人に影響が出るおそれがあり、それは、まさに人口の約3分の1に匹敵する人数です。
温暖化の意外な影響
こうした海面上昇の他に、温暖化による急激な気温上昇は、人や生物に直接影響を及ぼすおそれがあります。
アメリカの研究によると、気温が26.7度より高くなると、その後の8~10ヶ月で出生率が急激に下がり、特に猛暑の時はさらに著しく出生率が低下したと言います。暑さが、ホルモン異常を招いた結果です。
また、温暖化になると、花粉を飛ばす植物の開花期間が長くなるために、花粉の量が2040年までに倍増するかもしれないといいます。花粉症患者にとって大打撃となることは間違いありません。
地域的な話としては、原料である白身魚が近海で捕獲できなくなって、イギリスでフィッシュ・アンド・チップスが食べられなくなるかもしれないとか、麦のグルテンの含有量が代わり、ドイツパンの味が変化しつつあるといった研究結果もあります。
まず、温暖化による身近な変化を具体的に理解することが、対策への一歩となるかもしれません。