これは…リアルな高級和菓子?それとも目玉おやじのクローン?妖怪食品研究所「目玉ドクター」を取材した
はらぺこライターの旅人間です。いきなりですが「妖怪食品研究所」ってご存知だろうか?今回はその研究員の「目玉ドクター」を取材した。
鳥取県の境港は漫画家・水木しげる氏が育った町として知られ、妖怪の世界観が楽しめる。そんな町に15年ほど前から怪しい噂がたっている。
それは「目玉おやじのクローン」の話だ。そんなバカなって…って私も思う。なぜなら、目玉おやじそっくりの和菓子があるのを知っているからだ。
しかし取材でドクターは「実は和菓子は建前で…」と意味深なことを話し始めた。
今回取材に応じてくれたのは、妖怪食品研究所の首席研究員である目玉ドクターだ。「えぇーっ!目玉ドクター!?本当にいるの?」と、まずは驚いて欲しい。そう目玉ドクターは実在する。
「妖菓 目玉おやじ」とは?
同研究所は4/20にリニューアルオープンした「水木しげる記念館」の隣にある。周囲にはメディア関係者も多い。そんな静まりかえった雰囲気の中、数名の記者を目の前にして目玉ドクターは低い声で話し始めた。
それが「和菓子と言うのは建前で…」から始まった衝撃的な内容だ。
「ココは研究所です」と述べ、少し間を置いてから
目玉おやじの細胞を抽出し、バイオテクノロジーの技術で
クローンを作って胴体を引っこ抜いて串を刺した。
と言い出した。しかも真面目な顔で、眉一つ動かさずにだ。
周囲はシーンと静まり返る。ドクターの名誉の為に言っておくが、決してスベッた訳ではない。不思議なほど説得力があったのだ。この風貌、この威厳、そして静かに語る口調、さらに自信に満ちた長細い目。話にドンドン引き込まれてしまう。
しかし、その静けさを打ち破ったのは…
集まった記者ではなく、通りかかった女子高生の集団だった。「マジで~」「目玉ドクター、笑える~」「キャーかわいい」という歓声が響き渡る。そして芸能人の囲み取材のように写真をパシャパシャっと撮りはじめた。
嵐のように当然やって来て、場を一気に明るくし、サッと消えていった女子高生軍団。その後、目玉ドクターはスイッチが入ったように明るくなった。まるでエンターテイメントそのものだ。そう、全てが演出だったのだ。女子高生の集団は計算外だったと思うが…。
そして「妖菓 目玉おやじ」は研究所をコンセプトにした”高級和菓子”だと種明かしてくれ、自らがモデルになり写真の撮り方のアドバイスが始まった。
「もっと距離感をちょ目玉を大きくしないと…」
「そう、そんな感じ」
「よくなってきた」と…。身体を張って教えてくれる。
ちなみに、上手にやれば、以下のような写真が撮れるそう。
簡単そうに見えて、これが意外と難しい。目玉にピントが合うと体がぼやける。逆に体にピントが合うと目玉がぼやけてしまう。
大きさのバランスも簡単ではない。
尚、お店の入口には、目玉を上手に使った写真ギャラリーが展示されているので参考にすると良い。きっと、思い出に残る面白い写真が撮れるはず。
妖怪食品研究所とは?
最後に、妖怪食品研究所について簡単に説明をしておこう。前述の通り同研究所は「水木しげる記念館」の隣に位置している。
店頭にはスタッフはいない。窓ガラスを覗けば中には怪しい人形が2体…。どうやら研究員の一員らしい。
店頭に人間のスタッフが立っていないのは、店頭に色々と書いてある説明をしっかり読んで欲しいからだそう。
人間のスタッフが立っていると遠慮してしまう人が多いからだとか。
目玉ドクターは研究所からあまり出てこないようだ。とっても優しく素敵な方なので、もしも会えたら超ラッキーだろう。
注文する時は店頭のチャイムを押す。するとニョロ~っと手が出て来て、注文の品を渡してくれる。これもまた独特だ。
ちなみに、勘違いしてはいけないのは「妖菓 目玉おやじ」は饅頭ではないことだ。これは目玉おやじをリアルに再現した「練り切り」になる。
練り切りは一般的には高級和菓子として知られている。しかも、こちらは松江で有名な「彩雲堂」が製造している。この完成度の高さを見れば分かるはず。
<妖菓 目玉おやじ>
では、改めて「妖菓 目玉おやじ」について説明しよう。練り切り(白餡に餅米の粉などをまぜたもの)の中には厳選された北海道産の小豆を使用したこしあん、目玉の赤黒い部分は羊羹、そして表面は寒天でコーティングされている。
そして”目玉おやじのクローン”と言っても違和感のないリアルさ。これぞ洗練されたベテラン職人の技と言えるだろう。
価格は食べ歩き用で1本500円(※2024年5月現在)
これを高いと思うか?安いと思うかは人それぞれだが、これほどリアルに再現された高級和菓子を楽しみながら食べられる贅沢感、日本中どこを探してもココだけでしか食べられない希少性。
しかも製造は明治7年創業の老舗、松江の超人気店「彩雲堂(外部リンク)」の職人さんによる手作りだ。境港に来て食べない選択肢はどう考えても「実に勿体ない」としか言えない。
最後に、目玉ドクターの説明の中で感心したのは、この製品が出来たのは15年ほど前のこと。つまり当時は「インスタ映え」なんて言葉の無い時代だ。
仕事のご縁で彩雲堂さんと一緒になった際、「実物大の本物が無い」というような相談をしたら、職人さんが乗り気になって、試行錯誤して改良に改良を重ね出来上がったのが同製品なんだとか。
つまり、表面的な見栄えを考えて出来上がった製品ではなく、限りなく本物に近づけた品なのだ。だから「写真映えは時代が後から追いついた」と言って良い。
「妖怪の町で本物を作りたい」そんな想いから誕生した和菓子。まさに最高傑作と言って間違いない。
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妖怪食品研究所
住所:鳥取県境港市本町四番地
電話番号:0859-42-5210
営業時間:9:30~16:00
※ただし営業時間内に完売となる場合あり
定休日:無休(臨時休業の場合あり)
公式ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:妖怪食品研究所