愛知県で台風5号起因の竜巻発生 竜巻は太平洋側で多い
7日(月)午後、愛知県豊橋市を襲った突風の正体は、竜巻と推定されるということです。走行中のトラック2台が横転、コンビニの窓ガラスが割れ、屋根が吹き飛び、数名が怪我をするなどの被害が出ました。
竜巻が起きた7日16時頃、台風5号の中心は紀伊半島にありました。台風の東に位置していた豊橋市には、台風から伸びる「アウターバンド」と呼ばれる雲域がかかっており、付近ではレーダーで大雨がとらえられていました。一般的に、台風の北東や東側では竜巻が発生しやすいことが知られています。
台風を生む竜巻
台風起源の竜巻はよくあることで、上陸する台風の約40%は竜巻を発生させるとも言われています。中でも、2013年台風18号は、和歌山・三重・栃木・埼玉・群馬・宮城県の6県で計10個の竜巻を発生させ、1つの台風に伴う竜巻の数としては、統計開始以来、最多となりました。
台風由来の竜巻には他にも、2006年に台風13号に伴って宮崎県で発生した竜巻があります。死者3名、JR日豊本線も脱線させるなど、九州での竜巻による被害としては過去最大級のものとなりました。
日本の竜巻の発生時期
下のグラフは竜巻の月別発生数を表しています。8月から数が増え、10月にピークを迎えています。竜巻の発生原因の約60%は、前線や寒気・暖気移流による大気の不安定性によるものですが、夏は台風が上陸して、台風起因の竜巻が増えるためです。
竜巻の多い豊橋市
ところで今回竜巻が起きた愛知県豊橋市は、過去にもしばしば竜巻に見舞われています。気象庁のデータベースによると、過去50年の間に5つの竜巻が発生しており、平均すると10年に一度のペースで起きていることになります。
一つの市町村が竜巻に遭遇する確率は平均して90年に一度とも言われているので、豊橋は竜巻の起こりやすい場所だともいえます。
豊橋で起きた竜巻の中でとりわけ強かったものは、1999年に発生した竜巻(↓映像)です。藤田スケールでF3(上から3番目に強い)の強さで、日本で発生した竜巻の中では最も強いクラスのものです。車が5メートルも持ち上げられたり、多数の家屋が全壊したりするなどの被害が出ましたが、この竜巻もまた、台風に伴い発生しています。
日本の竜巻街道
このように、台風の被害に遭いやすい場所は、必然的に竜巻のリスクも高くなります。1961年から2013年までの統計では、単位面積あたりの竜巻リスクの高い都道府県上位10位のうち8つが太平洋側に位置していました。なお、上位10位は下記の通りです。
1位:沖縄。2位:東京都(島嶼部含む)。3位:千葉県。4位:宮崎県。5位:埼玉県。6位:高知県。7位:鹿児島県。8位:静岡県。9位:茨城県。10位:石川県。