かつてのスーパーウエルター級スター王者、フェルナンド・バルガスの息子3人が5/14にファイト
2020年12月18日にデビューした180センチのサウスポー、フェルナンド・バルガス・ジュニア(25)。アイク・クォーティ―、フェリックス・TITO・トリニダード、オスカー・デラホーヤらと激闘を繰り広げたあのバルガスの愛息である。
2人の弟と共に、父の指導を受けながら成長中だ。来る5月14日、バルガス3兄弟は揃って同じ興行に出場する。
バルガス・ジュニアは2月5日のキース・サーマンvs.マリオ・バリオス戦の前座に登場し、4回KO勝ちで5勝目を挙げた。気の強さ、思い切りの良さは父親譲りだ。もちろん、容姿も人気選手だった父によく似ている。
1999年の初夏、私はIBFスーパーウエルター級タイトル2度目の防衛戦を控えたバルガス・シニアのトレーニングキャンプを取材した。3日間、密着を許されたのだ。
その折、シニアは「人生で最大の喜びを感じたのは、アトランタ五輪代表になった日でも、ヨリボーイ・カンパスを下して世界チャンプになった日でもない。息子が生まれた日だ」と語った。
21歳の若きパパだった。
そして、「息子は、俺よりもデカい男になってほしい。弁護士でも医者でも、何でもいい。とにかく自分が選んだ道でトップを目指して、精一杯生きてほしい。それをサポートするのが父親の役目だ」と付け加えた。
シニアの言葉を聞いた際、彼は子供にとって満点の父となるだろうと感じたものだ。この時の彼の戦績は16戦全勝16KO。正に飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
更に4つの白星を挙げ20戦全勝18KOとした2000年12月2日、WBA同級王者だったフェリックス・TITO・トリニダードと対戦。しかし、38戦全勝31KOのトリニダードの牙城を崩すにはキャリアが足らなかった。
自身も第4ラウンドにTITOを倒したが、ファーストラウンドに2回、最終12ラウンドに3度のダウンを喫し、TKOで敗れる。
この試合を境に、バルガスは頻繁にキャンバスに沈むようになった。ボクシング界の隠語である「壊れた」ことは明らかだった。
それでも持ち前の闘志で、オスカー・デラホーヤ、シェーン・モズリー、リカルド・マヨルガらとの対戦に合意した。結果は全て敗北だったが、結果以上に"男"を見せた。それこそが、フェルナンド・バルガス・シニアの魅力だった。
3人の息子は弁護士や医者ではなく、父と同じ職業を選んだ。彼らの気持ちが分かるような気がする。
5月14日のプロモーターはTriller。2020年11月28日にマイク・タイソンvs.ロイ・ジョーンズ・ジュニアのエキシビションをセットした社である。
25歳の長男は6戦目、次男は4戦目、三男はデビュー戦が用意された。バルガス・ファミリーの戦いに注目だ。