12月が暖かいと桜は遅くなる
12月は記録的な暖かさ
水仙が咲き、梅が咲き、タンポポが咲き・・・
季節を間違えたのかと思うほど、各地の気象台から春の花の便りが届いています。それもそのはず、全国的に11月から気温が高く、今もその勢いは衰えていません。気象庁は24日、高温に関する情報を発表し、年末年始にかけても気温がかなり高くなると予想しています。
また、アメリカやヨーロッパでも気温が高く、異例の暖かなクリスマスとなりました。その原因のひとつは北半球を流れる偏西風です。
左図は今月中旬の上空5千メートル付近を北極を中心にしてみたものですが、暖色は気温の高い所、寒色は気温の低い所を表しています。日本、アメリカ、ヨーロッパ、いずれも気温が高く、偏西風が北を流れ、寒気の影響を受けにくくなっていることがわかります。
また、日本の南海上ではエルニーニョの影響で高気圧が強く、暖かな空気が沖縄から東日本に流れ込んでいることも影響しています。
12月が暖かいと桜は遅い?
記録的な暖かさは冬物商戦や冬のレジャーに影響していますが、来春の桜にも少なからず影響があるようです。
桜は一般に、秋までに花芽を形成し、休眠に入ります。そして、一定期間、冬の寒さにさらされると休眠がとけ、気温の上昇とともに花芽が成長し、春に開花します。
しかし、冬の寒さが不十分になると、休眠打破が遅れ、かえって開花が遅れる原因になるのです。「冬が暖かいと桜が寝不足になる」ともいえるでしょう。この影響は南ほど顕著で、暖冬の年は九州や四国で桜の開花が遅くなります。
左表は鹿児島を例に調べたものです。
桜の開花平年日は3月26日ですが、12月が暖かい年は平均すると3月29日になり、桜の開花が遅くなる傾向があります。
鹿児島の冬は東京よりも3度以上も高く(平均気温)、気温の高さが桜に影響しやすいのです。
同じようなことは関東地方にもいえて、冬でも温暖な南房総や神奈川県の沿岸部では暖冬の年、桜の開花が東京よりも遅くなることがあります。
【参考資料】
安藤隆夫,1983:サクラと気象,気象,1983年3月号.