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見た目は若い私。同世代の男性は「じいさん」に見えてしまいます~40歳からの婚活入門(27)~

大宮冬洋フリーライター
「私は話がとっ散らかってしまいがちです」と自嘲する渡辺さん。(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***派遣社員、渡辺和美さん(仮名、49歳)の話***

何事も気づくのが遅い私。「結婚したい」と思ったのは40歳の正月でした

 今年で50歳になります。ちょっと大きな節目ですよね。40歳になるときはもっと健康だったし、いろいろやりたいこともあったので年齢をあまり意識はしませんでした。でも、40代半ばになってからは体調を崩すことが多くなり、風邪が長引くようになったと感じています。

 交通事故で弟が亡くなったのは私が33歳のときです。家族にとってはすごいショックでした。私は「生きているうちにやりたいことをやらなくちゃ」と強く感じて、総合職として働いていた銀行を辞めたんです。仕事で成功して幸せにならなくちゃ、とも思いました。留学したり週末起業をしてみたり。生活費を稼ぐ手段としては、派遣の仕事などを転々としています。

 私は何事も気づくのが遅いので、「結婚したい」とはっきり思ったのは40歳になった年の正月です。一人でおせち料理を食べていたら、結婚するための努力が今までは本気でなかったことにようやく気づいたんです。

 本気になってもなかなかうまくはいきません。その頃に付き合っていた人は3歳下の自営業の男性でした。国家資格を持っているのですが商売があまり上手ではなく、いつもお金に困っていました。3年ほど付き合いましたが、合計60万円ぐらい貢いだと思います。私には小さな金額ではありません。

 私が両親の看護で大変だったときも彼は気遣いのメールすら送ってくれませんでした。自分に余裕がないと優しくはなれないんですね……。

 両親が回復してから一度会いました。「私たちの今後をどう思っている?」と聞いたら、「先が真っ暗で何も見えない」と言われたんです。もうお付き合いは無理だなと感じて別れました。

独身者だけがいる場で活動しないとダメだとようやく気づき、今さら婚活しています

 今は男性が多い職場で働いています。たまたまかもしれませんが、好きになる人はアラフォーの男性ばかり。私はすでにアラフィフですが、童顔なので見た目は40歳ぐらいだと思っています。同世代の男性は「じいさん」に見えてしまって恋愛感情は持ちにくいです。

 職場では何人かにアプローチしましたが、食事にすら一緒に行ってくれなかったり、やっと食事に行けたと思ったらそのときだけ結婚指輪をして来たり。ちゃんと独身の人だけがいる場で活動しないとダメだとようやく気づいて、今さら婚活しているところです。

 去年末にネット婚活で知り合ったのが、51歳でバツイチのAさんと47歳で未婚のBさんです。なぜか2人とも投資用の不動産を持っています。

 賢くてLINEでの会話も楽しいAさんとは、アウトドア好きの趣味も合います。でも、実際に顔を合わせて話すと価値観や人生設計が出来上がり過ぎていて私が入る余地はあまりなさそうです。いつもジャージのようなラフな服装で、2人での食事はチェーン系居酒屋だというのもちょっと気になります。

 Bさんとはまだ一度しか会っていません。カメラや旅行が好きで、服装もオシャレな男性です。私のファッションも誉めてくれたりするのは嬉しいなと思っています。あまり期待し過ぎないようにして、次のデートを楽しみにしているところです。

インタビュー内容を聞いていたのか、喫茶店の店員さんが「LOVE」マーク入りのラテアートを作ってくれました(筆者撮影)
インタビュー内容を聞いていたのか、喫茶店の店員さんが「LOVE」マーク入りのラテアートを作ってくれました(筆者撮影)

***筆者より渡辺さんへ***

年下と結婚したがる人を否定する心の奥底には「嫉妬」があります

 自分が49歳なのに「30代半ばまでの女性と結婚したい。子どもが欲しいから」と希望する男性と会うと、否定の言葉を口にしたくなってしまうのは僕だけではないでしょう。心の奥底には「羨ましい。オレだって若くてかわいい人と付き合いたい」という気持ちがあるのかもしれません。

 年下の男性と付き合いたがる女性に対しても同じことです。男性の場合よりも風当たりは強い気がします。下品な言葉で攻撃されることも少なくありません。そこにもやはり嫉妬の感情が隠されている気がします。まったく関心がなければ、攻撃すらしないはずだからです。

 渡辺さんは健康維持に努め、両親の世話もしながらしっかり自立しています。チャレンジ精神も旺盛で、周囲への気遣いも忘れません。見た目も美しく保っています。そんな渡辺さんが「できれば年下。同世代だったら、自分と同じぐらい若々しい人と付き合いたい」と願っても無茶には感じませんでした。この記事が公開される頃にはオシャレなBさんとの交際が始まっている気がします。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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