ネット事業者は未成年の将来を台無しにしていることを自覚した方がいい
三社祭や善光寺でドローンを飛ばした少年が威力業務妨害容疑で逮捕された事件で、少年がファンからの資金援助を得て活動していたことが明らかになっています。毎日新聞の取材に対して下記のようコメントしました。新聞記事のコメントは短くまとめられてしまうのですが、「囲い」という行為に限らず、一定程度悪意がある大人が存在することは明らかであり、未成年を守るためにも機能制限は必要だとの意見です。
ドローン:15歳少年、動画配信で「囲い」獲得、さらに…(毎日新聞)
少年は川崎市の少年殺害事件では逮捕された少年の自宅前とされる場所から中継を行っていたようです。これは、過激な報道でアクセスや売り上げを集める週刊誌的な手法と共通していて、ジャーナリズムの真似事といえるでしょう。手法に賛否はあれど、ドローンだけでなく、生中継やポイントといったサービスは、ジャーナリズムの活動の幅を広げる可能性があります。
問題は活動が未成年だったということで、逮捕される前になんとかならなかったのか…と思うわけです。大人が適切にフォローすればよかったのですが、現実にはむしろ少年の行動を煽っていたわけです。資金を提供していた人物は警察に対して下記のように話していると報じられています。
ドローン:善光寺や姫路城…15歳少年、支援金で賄う?(毎日新聞)
動画サイトなどで過激なパフォーマンスをしたり、裸の写真を送ってしまったりする、といった問題は、未成年の承認欲求を満たしたい気持ちを悪用した大人側の問題であり、振り返ってみれば「黒歴史」になるような恥ずかしい動画や写真でアクセスを集める事業者は未成年の将来を台無しにしながらビジネスを拡大していると言えます。
ソーシャルメディアは誰もが情報発信し、世界の色々な情報を得ることができる便利なツールですが、トホホな大人と未成年をつなげてしまうのも、ソーシャルメディアなのです。mixiや前略プロフなどのSNSは「出会い系」や「犯罪の温床」と批判されてフィルタリングにつながっていきましたし、ソーシャルゲームでも同じようにコンプガチャで未成年に高額な支払いを要求して社会問題となり各社の株が下落する「コンプガチャショック」が起きました。
ネット業界の学習力の乏しさにはいつも驚かされるわけですが(ステマやバイラルメディアのパクリ、ネイティブ広告問題など次々と起きる)、焼き畑的に事業を拡大し、社会的な問題になったら、慌てて対応しても時既に遅く、規制が強化されてしまうのです。そうなれば、ジャーナリズムやビジネスの可能性も広がらなくなってしまいます。
スマートフォンの普及によってさらに未成年が利用する機会が多くなっているだけに、ポイントや寄付に限らず、未成年が無制限に利用できるサービスを提供し続ければ、いずれ規制されることになるでしょう。
ドローンは保険が導入されましたが、ネットサービスには保険も免許・登録制度もなく、黒歴史が残り続けますし、煽られた過激な行動は取り返しがつきません。未成年の未来を守るためにも、マナー向上の取り組みや教育と合わせて、機能の一部制限を行っていく必要があるのではないでしょうか。