中国でなぜか売れているという“トランプ仏像”――局所的に盛り上がる不可解な前米大統領人気
米大統領職を今年1月に退いたドナルド・トランプ氏をあしらった商品が中国の一部でにわかにブームになっている。トランプ氏を仏像に仕立てた作品や、トランプ氏の特徴を表現した商品が中国の電子商取引で売れ筋になるという不可解な現象が起きている。
◇トイレットペーパーやブラシも
今年1月に米大統領職を退いたあとも、中国では依然としてトランプ氏に対する関心は衰えていないようだ。
中国最大の電子商取引プラットフォームである「淘宝網」(タオバオ)が最新の売れ筋商品としているのが、トランプ氏をあしらった仏像だ。僧服に身を包み、あぐらをかいて瞑想する像が「Make Your Company Great Again」(あなたの会社を再び偉大に)というスローガンで宣伝されている。
オンラインショップでは、高さ16cmの小型バージョンが999元(16,750円程度)、46cmの大型は3,999元(67,053円程度)という高値で販売されているものの、多くの買い手がついているという。
仏像の売り手は福建省アモイや浙江省杭州、北京から情報を発信しているという。共産党機関紙・人民日報系「環球時報」によると、アモイの販売者は、これまで100体製造し、既に「数十体」が売れたと話している。
淘宝網はトランプ氏をあしらった商品で利益を上げているようだ。これまでに▽トランプ氏の顔が描かれたトイレットペーパー▽トランプ氏の頭髪をほうふつさせるトイレ掃除用ブラシ▽トランプ氏を風刺した漫画がプリントされたTシャツ――などが販売されているという。
◇「ツイッターがダメならウェイボーへ」
トランプ氏は大統領時代、中国を「既存の国際秩序に挑む『修正主義国家』」ととらえてきた。大統領選挙でも、国内に山積する問題に焦点に当たらないようにするため中国による脅威をあおる傾向があり、自分はそれに対抗できる人物だとアピールしてきた。
そんなトランプ氏に対し、中国側も批判的なとらえ方をしてきた。ただ、トランプ氏の政策以上に、同氏の型破りな言行に対する注目度が高く、政策批判よりも嘲笑のターゲットにする傾向すらあった。
中国のネット上には、次のような荒唐無稽な書き込みがあふれている。
「トランプ氏は2016年の選挙に勝つために中国が送り込んだエージェントだ。米国を混乱させ、可能な限り面倒をやらせる。そうすることで、米国の対中弾圧の目をそらし、中国は簡単に競争に勝つことができるのだ」
トランプ氏が新型コロナウイルス感染で入院した時には、中国のカフェや携帯電話店がこれを「吉報」として割引セールに乗り出すという不謹慎な動きもあった。
ネットユーザーには、トランプ氏のツイッターアカウントの投稿を「日々の娯楽」「楽しみ」と表明する人も。ツイッターやフェイスブックなどがトランプ氏のアカウントを停止した際には「微博(ウェイボー=中国版ツイッター)はあなたを歓迎します。微博に来てください!」というジョークも投稿されていた。