内山高志の去就
「今のところ、2回話し合いました。まだ結論は出ていませんが、やるとしたら大晦日でしょうね」
ワタナベジム、渡辺均会長は、内山高志の去就について、そう語った。
「8月に、河野公平と田口良一が世界タイトルの防衛戦をやるので、『その時に復帰戦をどうだ?』と訊いてみましたが、『8月は無理』との返事でした。気持ちも体も準備が整わないということでしょう。内山が希望すれば、大晦日にカムバック戦を組んでやりたい。やるのなら、王座返り咲きの道を歩ませますよ。でも、もっと休んでもいいし、年齢的なこともあるので…。内山がやると言えば、勿論組むし、引退の結論を出すとしても、十分やったという気持ちもあります。本人の意思を尊重します」
渡辺会長は内山の王座転落について、「やはり慢心があった」と説いた。
内山が海外での試合やビッグマッチを望んでいたのは、周知されている。そこで、質問してみた。
「大晦日にチューンナップ戦をして、海外で挑戦というのもあり得ますか?」
「そうですね、まだ漠然としていますが、そういう場面があれば考えたいですね」
慢心
1999年9月、私は統一ウエルター級タイトルマッチ、オスカー・デラホーヤvsフェリックス・TITO・トリニダード戦をリポートした。ボクシングファンがご存知のように、デラホーヤは僅差の判定でプロ生活初黒星を喫した。
敢えて述べるなら、勝てた試合を落とした。
前日計量の際、デラホーヤは全裸で計に乗らなければ147Pにならなかった。下着分の100グラムを削ぎ落とさなかったのである。当時、私は「100グラムの慢心」というタイトルで原稿を書いた。
内山の敗北が、慢心であるのなら、先の試合をラストマッチにするのは惜しい気がする。とはいえ、決めるのは、内山本人。悔いを残さないことを祈るばかりだ。