ラニーニャ発生の兆し この冬に影響か?
主な気象機関はこの秋から冬にかけて、ラニーニャ現象(以下「ラニーニャ」という)が発生する確率を50%以上と予測する。日本付近を流れる偏西風が影響を受けて、この冬は西日本を中心に強い寒気が流れ込む可能性がある。
雲は季節を映す鏡
表紙は14日(土)正午の気象衛星ひまわり8号の雲画像です。オホーツク海には寒気によるすじ状の雲が広がり、東シベリアでは雲のすき間から山に積もった雪がみえます。14日朝、東京都心の最低気温は13.7度とこの秋一番の冷え込みになりました。
一方、南シナ海には台風20号があり、西寄りに進んでいます。一枚の雲画像には季節が織りなす模様が映し出され、思わず見入ってしまいます。
ラニーニャ発生の兆し
こちらは主な気象機関が発表した最新のラニーニャの発生確率です。いずれもこの秋から冬にかけて、ラニーニャが発生する確率が50%以上となっています。
最新のエルニーニョ監視速報(気象庁)によると、9月の太平洋赤道域西部の海面水温は基準値よりも高く、一方、中部と東部の海面水温は基準値よりも低くなりました。貿易風(東風)も強まり、海洋と大気ともにラニーニャの特徴を表しています。太平洋西部の暖かい海は雲の発生を促し、時間をかけて天気に影響を及ぼすことが考えられます。
ラニーニャはこの冬の天候に影響する?
太平洋西部で海面水温が高くなるとどうなるのでしょう。暖かい海で雲が多く発生すると、日本付近を流れる偏西風が影響を受けて、寒気が流れ込みやすくなります。
ちょうど1年前も、ラニーニャの特徴が現れていました。発生期間が短かったため、正式なラニーニャの発生には至りませんでしたが、昨冬は西日本に強い寒気が流れ込み、大学入試センター試験日は大雪になりました。広島市で積雪が19センチに達するなど、西日本の試験会場では試験時間の繰り下げが相次いだことを思い出します。この冬もラニーニャ傾向となれば、どのような影響があるのか、関心を持ってみています。
【参考資料】
気象庁:エルニーニョ監視速報(No.301),2017年10月11日
米気候予測センター:EL NINO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION,12 October 2017
世界気象機関:WMO El Nino/La Nina Update,5 October 2017
オーストラリア気象庁:ENSO Wrap-Up,10 October 2017