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単身世帯は増加中…高齢者がいる世帯の構成割合をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
高齢者の一人暮らしの実情は(写真:アフロ)

高齢化社会の到来とともに、高齢者がいる世帯の実情が注目を集めている。現状としてどのような世帯構成なのだろうか。単身世帯はどれほどなのか。厚労省の国民生活基礎調査(※)の結果から確認する。

高齢者(65歳以上)の人口、そして日本全体の人口に占める高齢者の割合は増加の一途をたどっている。その高齢者がいる世帯は、どのような家族構成なのか、特に社会問題視されている「お年寄りが一人のみの世帯」の比率は増加しているのか否か、気になるところではある。次のグラフはその実情を計算した結果。

↑ 65歳以上の人がいる世帯数の構成割合(世帯構造別)
↑ 65歳以上の人がいる世帯数の構成割合(世帯構造別)

最新の2023年分における調査結果では、お年寄り一人だけの単身世帯は31.7%。高齢者がいる世帯のうち、3割強は「その高齢者が1人だけの世帯」となる。また、子供や孫がおらず、夫婦(大抵の場合は双方とも高齢者)だけの高齢者世帯「夫婦のみ世帯」は32.0%。これらを合わせた「お年寄りだけの世帯」は63.7%となり、過半数を占めるどころか6割強となる。

興味深いのは世帯比率で見た場合、中期的な流れとして

・増加……単独世帯、夫婦のみ世帯(、親と未婚の子のみ世帯)

・減少……三世代世帯

となり、減少しているイメージのある「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」も増加傾向にあったこと(2013年以降20%内外でほぼ横ばい)。

高齢フリーターが漸増傾向にあることなどと関連させて考えると、「高齢者と、離婚して出戻り状態の子供、あるいは晩婚化などで結婚待ち、さらには結婚をするつもりのない中年層(30~40代、あるいは50代まで)」との家族構成が増加していた感はある。

↑ 中高年層のパート・アルバイトおよびその希望者数(いわゆる「高齢フリーター」、万人)(2023年)(労働力調査より筆者作成)
↑ 中高年層のパート・アルバイトおよびその希望者数(いわゆる「高齢フリーター」、万人)(2023年)(労働力調査より筆者作成)

さらには該当する高齢者を介護するために、親と同居している事例も想定可能だが、残念ながら国民生活基礎調査ではそこまでの調査は行われていない(介護そのものの設問はある)。

直近年では三世代世帯の比率は7.0%。高齢者がいる世帯のうち、祖父母とその子、さらに孫がいる、昔の物語ではよく登場する構成を持つ世帯はすでに1割を切ってしまっている。

また2013年以降では「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」の動きも微妙なものとなっている。振れ幅がやや大きいが、増加ではなく頭打ちの感がある。これは高齢層とは同居せず、近い距離同士で別居する「近居」のスタイルが普及浸透しているのが一因かもしれない。その場合、今調査においては「単身世帯」「夫婦のみの世帯」のいずれかに該当することになる。

何らかのリスクとなるような事象(例えば室内における熱中症、不意の転倒による骨折などで歩行が困難になる事案、ぎっくり腰)が発生した場合、高齢者のみ、特に一人身の世帯では手遅れになる可能性は高い。また、日常生活においても買物困難者問題や高齢ドライバー問題をはじめ、社会インフラの観点で、高齢者のみの世帯の増加は大きな問題の要因となる。各種対策について、行政側へは早期の対策とその実行が求められよう。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2023年6月1日に世帯票、同年7月13日に所得票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収、または政府統計共同利用システムにより回答され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票が4万471世帯分、所得票が4674世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2023年分)は簡易調査に該当する年であり、世帯票と貯蓄票のみの調査が実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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