C・ロナウドはポルトガルを栄光に導けるか?ユナイテッド退団と代表でのタイトル獲得という野心。
大きな注目を浴びながら、大会がスタートした。
カタール・ワールドカップが開幕した。各国、上位進出を目指してしのぎを削っている。
W杯というのはビッグトーナメントであるが故に、ピッチ内だけではなくピッチ外の問題もクローズアップされる。
その筆頭がクリスティアーノ・ロナウドとポルトガル代表だ。
■C・ロナウドのユナイテッド退団
マンチェスター・ユナイテッドは先日、C・ロナウドの退団を発表した。ユナイテッドとC・ロナウドの契約は今季終了時までだった。しかし双方合意の下、このタイミングで契約解除に至っている。
ユナイテッドは退団するC・ロナウドに感謝の意を示した。だが退団の理由は明らかである。退団発表の数日前に、C・ロナウドがイギリスメディアのインタビューでエリック・テン・ハーグ監督とクラブを公然と批判したためだ。
そのような流れは、無論、ワールドカップにも持ち込まれることになる。
「クリスティアーノが話題になっている。それは不快なことではない。我々は試合に集中している。クリスティアーノの一件は、この代表合宿で全く話されていない。選手たちが部屋で何を話しているかまでは把握していないけれどね」とは初戦のガーナ戦前のフェルナンド・サントス監督の言葉だ。
一方で、ポルトガル代表とユナイテッドでチームメートだったブルーノ・フェルナンデスは「クリスティアーノから決断は聞かされていなかった。ここでは、僕たちはワールドカップに集中している。代表で彼のそばでプレーできるのは誇りだ。また所属クラブで一緒にプレーできたのは夢のようだった。でも、何事も永遠には続かない」
「話題に上がるのは、いつだって関心を引き付ける出来事だ。クリスティアーノは、フットボール界で最も注目される選手なんだ」
ポルトガルはC・ロナウドを中心にチームを作ってきた。
ディオゴ・コスタ(ポルト)、ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ)、ルベン・ディアス(シティ)、ダニーロ・ペレイラ(パリ・サンジェルマン)、ラファエル・ゲレイロ(ボルシア・ドルトムント)、ルベン・ネベス(ウルヴァーハンプトン)、ブルーノ・フェルナンデス(ユナイテッド)、ベルナウド・シウバ(シティ)、オタビオ・モンテイロ(ポルト)、C・ロナウド(無所属)、ジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリー)と初戦のスタメンを見ても分かる通り、ビッグクラブの選手が顔を揃えている。
フェルナンド・サントス監督は【4−3−3】を基本布陣としている。ただ、守備時にはオタビオが下がり、【4−4−2】を形成する。可変する2つのシステムを使いこなして、変幻自在な戦いを見せる。
組織立った守備とプレッシングでボールを奪い、素早いトランジションからゴールを奪う。ショートカウンターは鋭く、最後には決定力のあるC・ロナウドがCFのポジションで待ち構えている。
他方で攻撃のビルドアップでは課題がある。B・フェルナンデス、B・シウバと“トップ下的な”選手がいる反面、彼らの能力とアドリブ力に頼り後方からボールを前進させようとする傾向が強い。ボールの循環が遅く、度々、相手に帰陣して陣形を整える時間を与えてしまう。
C・ロナウドはポルトガル代表で通算192試合出場118得点を記録している。しかし、スピード、パワー、フィジカル面での衰えを感じさせるところはある。チームとしての課題をクリアできるか、それがC・ロナウドのゴール量産ともリンクする。
ポルトガルは初戦でガーナに3−2と競り勝った。PKで先制点をあげたC・ロナウドが、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれている。
「僕の代表での道のりは終わっていない。モチベーションは落ちていない。野望はある。これまでと同じだ。ワールドカップ、2024年のEUROまでこのチームでプレーしたいと考えている」
C・ロナウドは以前、そのように語っていた。
カタールW杯で活躍して、冬の移籍市場に良い条件で移籍するーー。それがC・ロナウドとジョルジュ・メンデス代理人が描く青写真だろう。主将の野心に引っ張られ、チームが成熟できるかどうかが上位進出の鍵になる。