まるで1塁からボールが… 韓国高校野球の変則フォーム左腕が話題に。投球動画に85万アクセス!
年に10回ある全国大会を戦う韓国の高校野球。
そのうち、今月2日に決勝が行われた「鳳凰大旗(ボンファンテギ)/1971年~」で優勝した仁川高校の2年生投手に注目が集まっている。
決勝戦の7回から登板。その際の様子が公営放送KBSで報じられるや、この動画に一気にのべ85万ものアクセス(KBSスポーツに約75万超、KBSに10万)があったのだ。
KBSスポーツのアカウント。75万アクセスが集まった
主人公は186センチ左腕のハン・ジウン。”クロスステップ・オーバースロー”の使い手だ。
3-2とソウル高をリードした展開のなか、2番手として登板し、2回1/3イニングで6三振を奪う様子をKBSはこう報じた。
「当惑する打者が、お手上げの三振」
「左バッターは、まるで背中からボールが飛んでくると錯覚するほど」
確かに動画の0分29秒あたりでは、左バッターが内角球にのけぞるような姿を見せるが、ボールはストライクゾーンに収まり、見逃し三振を喫している。バッターは参った、とばかりに首を捻ってベンチに戻った。
長身左腕は投球時に大きく一塁側にステップを踏む。そこから躍動感あふれるフォームでボールを投じるのだ。
ストレートの球速は132キロ前後、スライダーが116キロから117キロだが、これがバッターを惑わせる。
別の動画では実況と解説者がこう唸っている。
―右打者だとしても、見慣れたボールの軌道ではないでしょう?
「そうですね。ほとんど1塁の方からボールが押し出されてくるような状態ですので、バッターはどこのポイントでボールを捉えたらいいのか、まったく分からずにいます」
ハン・ジウンは今回の鳳凰大旗を通じて6試合に登板、14イニングを投げ防御率1.93(被安打5、自責点3)。奪三振はじつに19を記録した。与四球が10と課題を残したものの、大会優秀投手賞を授与されている。
話題となった動画を作成したKBSも「おかしなフォーム」というタイトルをつけたが、本人は「この投げ方が楽」と話す。
高校入学時からクロス気味のフォームで投げていたが、バランスを失うこともあった。高1の冬のトレーニング時期から、より1塁側にステップを踏んで投げるようになり、このスタイルが出来上がっていった。
KBSは過去にLGツインズで活躍した左腕ジュキッチ(ベンジャミン・ジュキッチ/米国/LGには2011-13年在籍で韓国通算25勝)のようとも評する。本人も参考にしているようで、動画を見ては研究しているという。
現在の背番号54は奇しくもジュキッチと同じ番号。「一年の時にもらったいい番号なのでそのまま使っている」。韓国の高校野球では日本のように1番からベンチ入りの人数通り割り当てられる規定がないため、大きな番号を背負ってプレーする選手も多い。
こちらのKBSアカウント(同内容)は10万アクセスを達成
さらにKBSは彼がサウスポーとなった理由を興味深く報じた。
「本来は右投げだったんですけど、小学校の頃に近所のショッピングマートにグローブを買いに行ったら左投げ用しかなくて…それを買って以降、左投げになりました」
動画のコメント欄には「このフォームだと、守備時には確実に弱点がありそうだが、それにしても投球は面白い」といったコメントが寄せられた。「韓国スポーツ通信」は早くも「(地元球団)のSKワイバーンズのドラフト指名候補」としている。