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来年1月発足のリーグワンの「ディビジョン分け問題」。現運営側はどう見る?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
こんな時代は再来するか(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 日本ラグビー界の国内リーグが、まもなく新装開店する。

 2003年から続いたジャパンラグビートップリーグは今年5月限りで終わり、来年1月からジャパンラグビーリーグワンが発足する。

 各所で言われる「トップリーグとリーグワン、どう違う?」の答えは、下記にて大体の説明がつく。

 トップリーグが日本ラグビーフットボール協会の興行に企業クラブが参加する形だったのに対し、リーグワンは試合をする各チームが興行をおこなう。チケットを売るのもスタジアムを盛り上げるのも、その試合のホームチーム、ということになる。

 かような事実は各所で語られているのに、多くのファン、さらに選手がもやもやを抱えているのは、リーグワンがプロリーグではないこと、発足前のディビジョン分けでトラブルがあったと報じられているためだろう。

 ただ、諸々の顛末は本欄の誠実に映るか。ジャパンラグビーリーグワン、創設の舞台裏まとめ。【ラグビー雑記帳】を参照されたい。

 とにかく、現状でトップ選手を抱える全てのチームが責任企業の傘下から離れるのは極めて難しい、と言ってよい。加えて、ディビジョンの振り分けを「ふたつの勢力による対立」であると捉えて情報を整理したら、どちらにも理がある、とまとめるほかない。

 以下、リーグワンを抱える一般社団法人ジャパンラグビートップリーグ(JRTL)の東海林一専務理事の一問一答。9月までの単独取材によるものだ。

 約1時間に及ぶインタビューのうち、今回は注目されたディビジョンの振り分けを受けての見解などについて紹介する。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——現職就任の経緯は。

「私はもともとラグビープレーヤーです。ワールドカップ(2019年の日本大会)の時に、前職のボストンコンサルティングのプロボノ(職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動全般)として、同大会の組織委員会をお手伝いさせていただきました。その後も日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の方々とは議論させていただいていました。その流れで今年4月、新リーグ(現在のリーグワン)の共同検討委員会(※)へ参画し、今回の専務理事就任に至りました」

※共同検討委員会=国内リーグの主管権(試合を開き、運営する権利)をJRFUからJRTLへ移行する際に発足された。各クラブ、JRFU、JRTL間で、試合ごとのチケット収入の取り分、JRTLから各クラブへ与えられる分配金の比率などについて話し合う。

——リーグワンの話し合いが始まる前、日本ラグビー界にはプロリーグ構想がありました。2019年夏、清宮克幸・日本ラグビーフットボール協会副会長が提案したものです。

「(当時は)その話は全く存じ上げませんでしたが、その後勉強した流れのなかで、(日本が求める新しいリーグの形が)いろいろ変わってきているというのは認識しております。(2020年から始まった新リーグの準備へは)たくさんいる友人ベースで、色々と相談は受けていました。ただ具体的かつ正式な参画は、今年4月以降からです」

——今年7月上旬までかかったディビジョン分けについて、東海林さんはどれくらい関与されたというか。

「私は(専務理事になったのが)7月から。審査委員会と仕組みについてはよくご存知だと思われます(紛糾したのは2020年12月から翌年1月にかけてと2021年6月中旬以降の2回)。そういう意味において、私は審査プロセスには一切関与していないです。ただ、報道、またはご説明させていただいているような経緯の話については、7月以降に着任した専務理事という立場で必要な把握をしています」

——最後の最後に2021年度のトップリーグの成績に関する配点の計算方法を変え、その結果、ディビジョン1の最下位とディビジョン2の首位が入れ替わったというのを予めご存知だったという認識でよろしいですか。

「そういうことです」

——この顛末に不透明感やモヤモヤを抱いているファンの方が一定数います。東海林さんは、自身が関わっていないこの過程についての説明責任が求められています。難しい立場です。

「当然ながらの責任だと思っています。ファンの方はもちろん、(チームを持つ)企業の皆様、チームの皆様にきちんと説明し、納得度を高めていただく責任は専務理事の私が担っています。ここまでご説明してきたプロセスの透明性については、ご理解いただいていると思います。ただ、今後もし必要なご説明がさらにあるのであれば、私が担っていくべき点だと思っています。

 リーグとチームのコミュニケーションについて、全てのチームの皆様が満足されているレベルだとは思っていません。ただ、リーグとチームの関係性においては、『リーグがあってチームがある』ではなく『チームの方々にリーグを作っていただいている』だと考えています。説明責任を果たし、協業体制を図っていくことは非常に大切な役割だと思います」

——改めて、リーグワンにはプロチームとそうでないチームがあります。チームごとに運営形態が違うことについて、どのようにお考えですか。

「今回ハイブリッドという形を申し上げています。企業スポーツのいいところと、プロスポーツのいいところを合わせてやっていく。チームが事業性を持つ点については、(どのチームも)別に引っかかりは(感じてい)ないと思います。一部の企業さんには、ラグビーの場を活用して新しいビジネスを作っていくところもおありだと思います。ただ、そこ(事業化)にどのあたりまで踏み込むのか、どれくらいのレベルの財政的な自立を目指すのかには(チーム間で)微妙な差異はあります。

ただ、そのような差異は全て(均一に)揃えなくてはならないわけではない。大きな理念についてベクトルが合っていれば、吸収可能な(容認し得る)差異だという風に理解しています」

 現在、リーグワンの加盟クラブは練習試合の設定や各種情報発信に尽力。9月にある予定だったリーグ側からのアナウンス(試合日程など)は、10月4日になされる予定だ。

 その他、外国人枠の設定やプロ選手の統一契約書の作成など、現場サイドにとっての必須項目の整備も途中段階に映る。「これからはどんどんよくなりますよ」と語る東海林氏の考えは、別途、リポートする。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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