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岩崎&石崎のリレー、原口の3ランで連敗ストップ!《4/23 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合を決める3ランが今季公式戦初安打だった原口選手。照れ笑いのヒーローです。

甲子園で連敗を喫した中日と、きのう23日は鳴尾浜で対戦した阪神ファーム。この3連戦の先発“岩トリオ”のトリを務める岩崎投手が今季ウエスタン公式戦初登板でした。ついで石崎投手がファーム初登板で、鳴尾浜初登場。終盤に2点を失ったものの、これまた今季公式戦は初めてファーストで先発出場した原口選手が決勝の3ランを放って決着!このホームランで4月2日のオリックス戦(鳴尾浜)以来、早くも今季2度目の先発全員安打を達成しています。

なお試合後は、またまた“鉄は熱いうちに打て”でバント練習が行われました。7回に清水選手がバント失敗したせいですかね。先日は失敗した植田選手が室内に入り古屋監督とマンツーマンでやったんですが、きのうはバッティングケージが出ていたから特打かと思いきや、3ヶ所ともバント練習だけで終了しました。けっこう珍しいかもしれません。

そのあとは関東遠征用の荷物出し。若手野手では江越選手の荷物が出ていなかったくらいですね。なお植田選手は「東京って1、2回しか行ったことないですねえ。あんまり行くことないですもん」と言っていました。初めての巨人戦、どんな感じ?と聞いたら「いや~特に何も」と予想通りの答え。「でも巨人ですよ。燃えるでしょう?」「はあ。燃えてます」。完全にあしらわれているな、これは。でも最後に「打って勝ってきて」と言うと「巨人には負けないですよ」なんていう、意外と頼もしい言葉が返ってきました。テレビでしっかり見ておきますからね!

《ウエスタン公式戦》4月23日

阪神-中日 8回戦 (鳴尾浜)

中日 000 020 011 = 2

阪神 001 000 04X = 5 

◆バッテリー

【阪神】岩崎-○石崎(1勝) / 清水

【中日】武藤(7回)-●西川(1敗)(1/3回)-山本雅(1/3回)-阿知羅(1/3回) / 加藤-杉山(8回途中)

◆本塁打 原口1号3ラン(西川)

◆二塁打 西田、赤坂、清水、和田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田   (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .344

〃左:一二三  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .138

2]二三:西田  (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .281

3]遊二:北條  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .224

4]中右中:江越 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .333

5]右中一:中谷 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .352

6]一:原口   (4-1-3 / 1-0 / 0 / 0) .050

〃右:田上   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .500

7]三:黒瀬   (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .136

〃走遊:植田  (0-0-0 / 0-1 / 1 / 1) .205

8]指:横田   (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .139

9]捕:清水   (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .250

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩崎 5回 71球 (1-5-2 / 0-0 / 0.00) 136

石崎 4回 71球 (4-4-0 / 2-1 / 2.25) 141

経過1 前半は投手戦

まず打線は3回2死から柴田が左前打して、西田の右中間二塁打で一気に生還!この連打であっさりと1点を先取しました。ただし中日の先発・武藤に対して2回は中谷が右前打しただけで、5回は1死後に横田と清水が連打したものの後続がフライ2つで終了。6回は先頭の北條が左前打、江越は死球などで1死一、二塁となりますがが原口の遊ゴロで併殺。7回に先頭の黒瀬が左前打し、横田の犠打野選、1死後に柴田の一ゴロで2死一、三塁としながら追加点なし。1回と4回は三者凡退でした。

しかし阪神の投手陣も、これを上回る快投を披露しています。先発の岩崎は1回1死から橋爪に、3回も1死から谷に四球を与えただけで、4回までノーヒット!5回に先頭の赤坂が放った左翼線二塁打が初安打となり、犠打で三塁まで進めるも後続はピシャリと断ちました。5回で71球を投げた岩崎、武藤も5回までは63球、前日と同じく1時間強で5回が終わる早い試合進行です。

ついで石崎が登板して6回はいきなり連続で見逃し三振を奪うなど三者凡退と飛ばしましたが、8回は先頭の三ツ俣に右前打され、加藤の犠打と谷の遊ゴロで2死三塁として1番・工藤の打球がショートへ。植田が手を伸ばしてグラブに当てながら掴みきれず…。このエラーで三ツ俣を還して、ついに追いつかれます。工藤に盗塁を許したものの橋爪は遊ゴロで同点止まり。

経過2 3タテ阻止の3ラン!

3ランを打ち、ゆっくりとベンチ前へ戻ってきた原口選手。
3ランを打ち、ゆっくりとベンチ前へ戻ってきた原口選手。
3人をハイタッチで迎える選手たちの笑顔!ぜひ拡大してご覧になってください。
3人をハイタッチで迎える選手たちの笑顔!ぜひ拡大してご覧になってください。

そして8回裏に阪神が猛反撃!その前に、ここまで7選手が1本ずつ打ち7安打の打線で、ノーヒットは江越と原口の2人だけでした。中飛・2人目の西川に先頭の北條が三振を奪われたあと、その江越が左前打して中谷の四球で1死一、二塁。残る原口は追い込まれてからボール3つでフルカウントとなり、6球目の真っすぐ(143キロ)をレフトへ。打球はきれいな弧を描いてレフトのネットに突き刺さりました!原口にとって今季公式戦初安打が今季1号、しかも勝ち越しの3ラン、これで先発全員安打も達成です。

西川は降板し、代わった山本雅から植田がストレートの四球を選んで2死後に盗塁成功、清水の右中間二塁打で生還して5対1とリードを広げます。ここでバッテリーごと交代した中日。4人目の阿知羅に対して10球粘った柴田でしたが、空振り三振を喫して攻撃を終えました。

勝ち投手の権利を得て9回のマウンドに上がった石崎は、先頭の井領にショート内野安打(ここは植田がよく捕って送球するもセーフ)を許し、古本も中前打で無死一、二塁となって、和田に一塁線を破るタイムリー二塁打。3連打で1点を返されます。なおも無死二、三塁と続いたピンチは遊ゴロ、空振り三振、一直と3人で片づけて試合終了です。

ウエスタン初登板の“崎コンビ”

岩崎投手は1軍選手登録を抹消される前日の16日に、ナゴヤドームで先発した中日戦(3回1/3で6安打4失点)以来の登板。きのうは5回の1安打のみ、5三振2四球で無失点という結果に「ストレートがあんまりよくなかったので、丁寧に投げようと思っていました」と振り返ります。よくなかったのはキレというより「コントロールですかね」とのこと。

それでもストライク先行のピッチングだったでしょう?「先行した時はいいですけど、そうじゃない時にどうにかしたかった。きょうはフォアボールを出さないでいきたかった。1軍でも多いし、そういった点で簡単に2つフォアボールを出したのは納得いかない」。四球を与えてしまう時は技術的な課題なのか?との問いに「技術的なところはあります」と答えた岩崎投手。試合だとメンタルな部分も絡んで修正できなかったこともあるのでしょう。多くは語りませんでしたが、よくわかっている様子です。

ウエスタン公式戦も、鳴尾浜での登板も初めてだったルーキー・石崎投手。
ウエスタン公式戦も、鳴尾浜での登板も初めてだったルーキー・石崎投手。

ファームで先発登板もするということで20日に抹消された石崎投手は、4回4安打2失点(自責1)で球数は岩崎投手とまったく同じ71球でした。ロングリリーフについて「特に大きく意識することはなかったです。目の前の打者をどのようにして打ち取るかを考えて投げました」と言います。9回の失点は「バッターの2巡目で、ボールも慣れて捉えられた。連打を食らって和田さんにライト線へ…。いくところは突いていかないと打たれると思いました。それに1球目、2球目はいいところにいくのに、3球目に力んでシュート回転する。清水さんにも、力むと甘くなると指摘されました」と悔やみます。

さらに「8回は自責ではないけど、ランナーを三塁まで進めてしまったのは自分なので反省点は大きい」とも話していました。とはいえ登板に向けてブルペンでは「右打者へのアウトローに引っかけ球が多くてコントロールしにくかったので、立ち位置を修正した」ことも奏功。「きょうは深く反省より、いいところを探したいと思います」と岩崎投手。次は先発でもう少し長めに投げることになりそうです。なお、この日投げたのは真っすぐ、スライダー、カットボール、シュート、チェンジアップと言っていました。

「追い込まれてから工夫して打てた」

今季、公式戦では初めてファーストで先発出場した原口選手。ここまでの公式戦出場10試合、20打席でヒットがなく「まだ開幕していないから…」と悔しそうでした。そして、この日も1打席目が二飛、2打席目は見逃し三振、3打席目に遊ゴロ併殺打とノーヒット。それが8回の4打席目で勝ち越しの3ランを放ち、自身の今季初安打と同時にチームの勝利と先発全員安打を達成!

原口選手が今季1号を打ったところ。ちょうど撮れました。
原口選手が今季1号を打ったところ。ちょうど撮れました。

第一声は初安打についてかな?1号ホームランのことかな?と思ったら「チームが3連敗していたので、何とか勝ててよかったというのが一番です」と、原口選手らしいコメントでした。打席では「そんなにいい感じではなかったんですが、追い込まれてから工夫してボールを見送ることができた」と言います。どんな工夫?「構える位置というか、追い込まれるまではバットを立てていたけど、追い込まれてからバットを寝かせてコンパクトに振れました。それでホームランにつながったのはよかったと思います」

さすがですね。他の選手たちからも「原口選手は練習のための練習ではなく、いつも試合で打席に立ったことを想定して、いろんなケースを思い描きながらバッティング練習をしている」とよく聞きます。練習は嘘をつかないことを年下の選手たちも目の当たりにしたでしょう。だからこそ、ホームインして戻ってくるのを出迎えるベンチが、みんな飛びっきりの笑顔だったんですね!ファインダーを覗きながら、こちらも嬉しくなりました。

みんなが喜んでくれて嬉しい!

記者陣との囲み取材の輪が解け、2人になった途端に「よかったあ~」と一気に表情を緩めた原口選手。もう、ウルッときてしまったじゃないですか。なお通訳すると「公式戦初安打がホームランで、やっと開幕した。勝利に貢献できたてよかった」という意味ですね。ホームランの打席について私が、最初は空振り、2球目を見逃したあと3球続けてボールで、と振り返っていると意外な言葉が…。

「それが覚えてないんですよ。空振りしましたっけ?あのあともベンチに戻って鶴岡さんに変化球の種類を聞かれたんで『フォークとスライダーでした』と答えたら、二塁に(ランナーで)いた江越が『フォークだけですよ』って。全然覚えてない(笑)」

頭なでなでシリーズ。おなじみの一二三選手。
頭なでなでシリーズ。おなじみの一二三選手。
出迎えの列が分散した時、原口選手(中央)の背後から手が…
出迎えの列が分散した時、原口選手(中央)の背後から手が…
と思ったら、やっぱり!中谷選手がなでなで。
と思ったら、やっぱり!中谷選手がなでなで。

覚えていないというよりは、忘れてしまったのかもしれませんね。なお原口選手は、直前に江越選手が左前打したことで自分だけノーヒットだったことは知らなかったらしく「先発全員安打なんですか?へえー!」と驚いていました。そういや9人で10安打というのは珍しいかも。あ、きのうが31歳のお誕生日だった清水選手がダメ押しのタイムリー二塁打を含む、唯一のマルチヒットでした。

それにしてもベンチ前での祝福の嵐はすごかったですねえ。みんな本当に嬉しそうな笑顔で。そう言うと原口選手も「いや~あれだけみんなが喜んでくれて…。いいところで打ててよかった」とニッコリ。勝ったことだけじゃなく、一生懸命努力している原口くんが打ったのも喜んでくれていたと思いますよ。「(初安打に)ホッとしたというのはありませんが、いいきっかけになればいいかな。これでまた練習する気になりました!」。何があろうと練習するに違いないのは周知ですけどね。

これはオマケで、江越選手(#25)の頭を撫でるのは西田選手です。
これはオマケで、江越選手(#25)の頭を撫でるのは西田選手です。

そうそう、話を聞いている時に山本投手が「僕はブルペンで見てて、桑原さんに『初ヒットがホームラン、ありますよ』と言ってたんですよ!」と鼻高々で通過していったから、笑ってしまいました。25日と26日は川崎市のジャイアンツ球場でイースタンの巨人とファーム交流試合が予定されていて、原口選手ももちろん参加します。滅多にない関東遠征ですから、観戦予定のご両親も楽しみにしていらっしゃるとか。いいところを見せてきてください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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