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オールスターでチームメイトとなったポイントガードが、ブレイク明けに対決

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
公称183cmの身長はNBAで一際小さく見える(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月7日に催された2021年NBAオールスターゲームで、チーム・レブロンのガードとして30分47秒プレーしたクリス・ポール(フィニックス・サンズ)は、16アシストをマークしオールスターにおける総アシスト数を塗り変えた。得点6、リバウンド8という数字から見ても、アシストに拘ってプレーしたことが分かる。

マジック・ジョンソンを1つ上回る総アシスト数128となった
マジック・ジョンソンを1つ上回る総アシスト数128となった写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 同じくチーム・レブロンのガードとして20分56秒間コートに立ったデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)は、8本の3ポイントを含む32得点を挙げた。宴らしく、この日のリラードはロングシュートを決め、ファンを魅了した。

オールスターでは、ほぼハーフラインからのロングシュートを決めた
オールスターでは、ほぼハーフラインからのロングシュートを決めた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 オールスターブレイク明けの3月11日、その両ポイントガードが対峙した。試合開始時点で、サンズは24勝11敗の西地区2位。ブレイザーズは21勝14敗で同5位。

 ブレイザーズのテリー・ストッツ監督は、試合前のZoom会見で「クリス・ポールが若手にいい影響を与えている。チームが生まれ変わった感がある」と語った。

オールスターで更に自信をつけて戻って来たエース
オールスターで更に自信をつけて戻って来たエース写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 28フィートの3ポイントを連続して決めたリラードの立ち上がりは良かった。1Qはフル出場して10得点を挙げ、リズムに乗る。

 一方のポールは、1Qで7分22秒、2Qは7分6秒のプレー時間で、前半終了時に10得点4アシスト。35歳のベテランらしく、休息を得ながら起用に応えた。ハーフタイムのスコアは60-60で、内容もまったくの互角であった。

小柄だからこそ、生き延びる方法を理解している
小柄だからこそ、生き延びる方法を理解している写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 リラードが3Qを12分間戦ったのに対し、ポールがコートに立ったのは7分48秒。ポールは、自分以上にシューティング・ガードであるデビン・ブッカーを使って試合を組み立てた。

 このQはリラードvs.ポールのゲームメイク対決というよりも、リラードvs.ブッカーの戦いの色が濃かった。ブッカーもフルに12分間プレーし、13得点を挙げる。リラードは10得点した。

メキシコの血が流れる24歳のブッカーは、まさにSky is the limit
メキシコの血が流れる24歳のブッカーは、まさにSky is the limit写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 4Q開始時に94-90でリードしていたブレイザーズだが、このQだけでブッカーの9得点、ポールの5得点を含む37点を挙げたサンズに逆転負けを食らう。

 サンズのトータルは127点。ブッカーが35点、ポールが19点。ブレイザーズは121点、リラードは30得点であった。

 ブッカーも今年のオールスターに選出されたが、左膝を痛めて欠場した。ブレイザーズは若手が伸びて来ており、大ベテランのカーメロ・アンソニーもいぶし銀の働きを見せる。が、サンズのような上位チームと対戦すると、ディフェンス面の綻びや、シュートの不正確さが目立ってしまう。

 オールスターレベルの選手2名vs.1名の差を、感じざるを得ないゲームとなった。

 試合後、ブレイザーズのテリー・ストッツ監督は失意の表情を浮かべながら言った。

 「3Q終了までのリードが蒸発したかのように消えてしまった。最終Qのスタートが非常に悪かった。オフェンスの形が作れなかった。

 13点もの差をつけた局面もあったのに…本当に残念だ。リードしている際に、もっといい戦い方が出来た筈だ」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 4Qの開始から3分16秒間、リラードはベンチにいた。強い相手になればなるほど、そこを突いてくる。

 ブレイザーズの課題が浮き彫りになった。さて後半戦で、どのように修復していくか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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