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WBOスーパーウエルター級暫定王座決定戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 WBOスーパーウエルター級1位にランクされるティム・チューが今週末、暫定王座決定戦のリングに上がる。会場は、彼の母国であるオーストラリア、シドニーのクォドスバンク・アリーナ。対戦相手は同3位で、元WBC同級王者のトニー・ハリソン。

 チューにとっては、およそ1年ぶりのファイトだ。

写真:ロイター/アフロ

 スーパーライト級の世界王者だったコンスタンチン・チューの愛息は、父と同じ道を選び、目下21戦全勝15KO。昨年11月に、ジャーメル・チャーロに挑むはずだったが、チャンピオンが負傷したため延期に。このほど28歳にして、地元で大舞台が用意された。

 指名挑戦者は語った。

 「トニー・ハリソンを過小評価することはできないが、トレーニングの成果を出せるだろうね。ファンに大きなKO勝利をプレゼントしたい。非常に自信を持っているよ。

 トニーがオーストラリアに来たことに関しては手放しで評価するが、彼は手ぶらで帰ることになるさ。アメリカのファンがこの対戦を見ることができるのは良いことさ。素晴らしい雰囲気でスリリングなファイトをご覧に入れるよ」

(写真:Shutterstock/アフロ)
(写真:Shutterstock/アフロ)

 一方のハリソンは、2018年12月22日に、そのジャーメル・チャーロを判定で下して王座に就くも、1年後にKO負けで王座から転落した32歳。29勝(21KO)3敗で、黒星は全てノックアウトと打たれ脆さを伝える。

PHOTO:SEAN MICHAEL HAM/TGB PROMOTIONS
PHOTO:SEAN MICHAEL HAM/TGB PROMOTIONS

 敵地に乗り込むハリソンは言った。

 「俺はミッションを遂行する。今、見えているのは、ティム・チューだけだ。自分の能力とこなしているトレーニングには自信がある。が、ティムとは厳しい戦いになるだろう。観客全員が彼を応援するだろうね。そんな光景を目にするのが待ち遠しい。最終的に彼らは、私を愛する以外の選択肢はないよ。ティムが12ラウンドのハードな戦いに備えていることを願う」

 ミシガン州デトロイト出身のハリソンは、キャリア初期のころKRONKジムでエマニュエル・スチュワードの教えを受けた。つまり、トーマス・ハーンズの後輩である。

 チュー有利の見方が圧倒的だが、KRONK仕込みの意地を見せてほしいところである。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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