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スマートフォンを現在利用せずに「将来も欲しくない」人は1.4%のみ

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
いまだにガラケーを使いスマートフォンを不要とする人も多い(写真:イメージマート)

スマートフォンを現在利用せずに「将来も欲しくない」人は1.4%

携帯電話のトレンドは従来型携帯電話(ガラケー)からスマートフォンにシフトしつつあるが、一方で従来型携帯電話を利用し続ける・新たに求める人も少なくない。現在持っていない人たちの今後の所有願望はどのような実情だろうか。総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは回答者自身のスマートフォンに関する利用状況。世帯ベースでの所有状況ではないことに注意。利用している、非利用ならば将来欲しい(=利用したい)か、あるいは欲しくないか。なお機種に関する回答用紙の説明は「スマートフォン(iPhone、Android端末など)」となっている。

↑ スマートフォン利用状況(回答者自身、属性別)(2022年)
↑ スマートフォン利用状況(回答者自身、属性別)(2022年)

↑ スマートフォン利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2022年)
↑ スマートフォン利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2022年)

全体利用率は97.1%と9割台後半。男女別ではほぼ同率で、年齢階層別では10代ですでに9割を超えている。20~50代ではほぼ全員の状態。60代でも9割台。

就業形態別では全属性で9割超えで、一番低い無職でも93.5%。無職が他と比べて低めなのは、定年退職後の高齢者が多分に含まれているのが原因だろう。

世帯年収別ではほぼきれいな形で高世帯年収ほど高利用率を示している。これもまた、毎月の通信料負担が大きな所有の要素となっていることがうかがえる。

現在スマートフォンを利用していない人の利用(≒所有)願望度合だが、全体では必要との意見の方がやや多い。一方で年齢階層別では、50代までは欲しい人の方が多い。一方で60代では6.6%が「スマートフォンは現在持っていないし、将来も欲しくない」としている。

世帯年収別の差異では、おおよそ低世帯年収ほど非保有率が高いが、非保有者内における「将来も欲しくない」派の割合についての法則性は見られない。

従来型携帯電話はどうだろうか

続いて従来型携帯電話。いわゆるケータイ、ガラケー、フィーチャーフォン。回答用紙には「携帯電話(スマートフォンを除く。PHSを含む)」とあり、厳密にはPHSを含んでいる。また、スマートフォンとは別途の選択となっており、当然従来型携帯電話とスマートフォンの双方を利用している場合は、それぞれで「利用している」と回答していることになる。

↑ 従来型携帯電話利用状況(回答者自身、属性別)(2022年)
↑ 従来型携帯電話利用状況(回答者自身、属性別)(2022年)

↑ 従来型携帯電話利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2022年)
↑ 従来型携帯電話利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2022年)

全体で利用率は9.2%。10代でも8.6%が利用しているが、これは防犯用・保護者との連絡専用電話として子供向け携帯電話を与えられている事例があるため。以後、30代まで減少し、40代で跳ね上がり、60代では16.2%になる。また無職で高い値が出ているのは、この属性に属する人が多分に高齢者であることを連想させる。

世帯年収別では低世帯年収ほどおおよそ所有率が高め(800-1000万円未満でイレギュラーが出ているが)。これも高齢層の割合の高さ、そして通信料の負担を考慮し、スマートフォンを所有できない人がいるからだろう。一方で都市規模別では何らかの傾向は見いだしにくい。地方ほど値が高いように見える程度か。

他方非保有者の動向だが、多分に「将来も欲しくない」とする意見で占められている。現在従来型携帯電話を利用していない人は、その多分がスマートフォンを利用しており、わざわざ再度従来型携帯電話に戻る意向を持つ人はあまりいないことになる。一時期はいわゆる「ガラホ」が従来型携帯電話の底上げをするとも思われたが、昨今ではむしろ格安スマホが伸長しており、さらにスマートフォンの利用率拡大は(特にコスト面で気にしていた属性で)進み、それとともに従来型携帯電話への需要は縮小していきそうだ。

■関連記事:

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【スマートフォンとタブレット型端末の普及率の推移を詳しくさぐる(2021年公開版)】

※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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