【駅の旅】関西の住みたい町上位!梅林とだんじりの町/JR東海道本線(JR神戸線)摂津本山駅(兵庫県)
周辺は落ち着いたおしゃれな街
大阪方面から来ると、芦屋で新快速から乗換えて2駅目、六甲の山並みを眺めるうちに摂津本山に到着する。この駅には普通電車しか停まらないが、乗降客は比較的多い
阪急神戸本線の岡本駅に近く、北へ5分ほど歩けば乗換えることが出来る。あたりは落ち着いた住宅街だが、この駅から阪急岡本駅にかけては、ブティックや、パン屋さん、喫茶店など、ちょっとおしゃれな店が並び、常に関西の住みたい町の上位にランクされる。近くに大学がいくつもあり、学生の姿も多い。
昔から梅の名所として知られる
駅の開業は昭和10(1935)年だが、土地の古老の話によれば、駅の開業以前にも梅の季節になると付近に仮駅が設置されて列車が臨時停車し、観梅客が利用したという。近くにある岡本梅林は、古来より「梅は岡本、桜は吉野」と呼ばれるほど観梅の名所だったのである。梅林は一旦消滅したが、その後、再整備され、春が近づいて2月下旬になると、近くの梅林公園には可憐な梅の花が咲き乱れる。高台にあるこの公園からは大阪湾をのぞむことが出来、人々の憩いの場となっている。
かつて戦災や震災に耐えた駅舎があった
現在のこの駅は近代的な橋上駅舎だが、開業以来の木造駅舎が取り壊されたのは2012(平成24)年のこと。旧駅舎は阪神間で残された最後の国鉄時代からの木造駅舎だった。阪神・淡路大震災の時、このあたりの被害は甚大だった。多くの家屋は崩壊し、南口にあったマンションも傾いて建て替えを余儀なくされた。駅の東側では貨物列車が脱線して線路を塞いでいた。にもかかわらず、この駅舎だけは奇跡的に無事だった。震災にも、そして戦時中の空襲にも耐え、町の玄関として長らく親しまれていた駅舎がなくなったのは、なんとも惜しい。
例年5月、にぎやかなだんじり祭り
例年、ゴールデンウィークが近づくと、町のあちこちから祭り囃子の音が聞こえてくる。連休中に行なわれるだんじり祭りの稽古が始まるのだ。本番になると、各町内の地車が、にぎやかな鐘の音とともに練り歩く。地車は町内の人々によって引き回され、法被姿の男衆が地車の屋根の上で踊る姿は誇らしげだ。特に、駅前通りで行なわれる10基もの地車が参加して行われるパレードは一見の価値がある。岸和田のだんじり祭りのような荒々しさはないが、勇壮で華やかなお祭りである。コロナ禍のために2年続けて中止になってしまったので、来年には是非とも復活してほしいものだ。
この町にある焼鳥の老舗
そんな街にある1973(昭和48)年開店の焼鳥の老舗が「山形や裕久(やすひさ)」。好みにより、秘伝のたれや塩で味わう串焼は絶品である。ほかに釜飯もおいしい。この町に相応しく、落ち着いた佇まいの上品なお店だった。