【駅の旅】桜咲く広大な展勝地・奥州北上の春/JR東北新幹線・東北本線・北上線・北上駅(岩手県)
東北新幹線と東北本線、北上線が接続する要衝駅
北上市は人口およそ93,000人、盛岡市に次いで岩手県第2の都市。その中心駅、北上からは東北新幹線と東北本線、北上線が発着する。新幹線は東京~盛岡間のすべての「やまびこ」が停車するほか、朝晩の一部の「はやぶさ」も停まる。
在来線は東北本線と北上線
東北本線には、新幹線開業以前は多くの特急・急行が通っていたが、現在は地域輸送に特化し、主に一ノ関と盛岡を結ぶ普通列車だけが走る。
また、北上と横手の間を結ぶ北上線は、岩手県と秋田県との県境を越える風光明媚なローカル線。ただ、運転本数が少なく、冬期間は豪雪のため、運休することも多い。
1万本の桜が咲き誇る展勝地
その北上は、北上山地と奥羽山地の山々に囲まれた北上盆地にあり、北上川と和賀川が市内で合流する。北上駅の東側に位置する北上川沿いに展勝地(てんしょうち)という広大な公園がある。ここには2キロの桜並木が続き、樹齢百年にもなる1万本もの桜が植えられている国内屈指の桜の名所となっている。
展勝地の桜は、1921(大正10)年に地元出身の実業家、澤藤幸治氏の提唱によって造営されたもので、150種の桜が美しさを競っている。
公園内でSLとラッセル車に会える
また、公園内には、かつて仙台、宮古、尻内(八戸)の各機関区に配属され、東北地方を走ったC58342蒸気機関車と、雪深い北上線で冬期間に除雪作業に従事したラッセル車(キ100228)が保存されており、桜まつりの期間中、蒸気機関車の運転台に入ることもできる。
みちのく民俗村は数多くの古民家がある無料の屋外博物館
展勝地の近くにはみちのく民俗村という屋外博物館がある。こちらは、この地域に古くからあった南部曲がり屋などの茅葺屋根の古民家や、大正時代の洋風建築の建造物などあわせて28棟の歴史的な建物が並んでいる。
園内の多くの建物が内部に入ることができる。しかも、なんと入園が無料なのが嬉しい。
旧女学校校舎の資料館に隣接して珍しい消防資料館
また、民俗村内の旧黒沢尻高等女学校の校舎は民俗資料館になっており、かつて、厳しい冬を乗り越えたこの地域の風俗文化を知ることができる。
民俗資料館の棟続きに、全国的にも珍しい消防資料館があり、江戸時代の町火消しから、初期の消防自動車まで、消防に関する機具や資料が展示されている。
北上で見つけた癒やしの居酒屋
そんな北上の夜の街で、癒やしの居酒屋を見つけた。北上駅西口から歩いて5分ほどの路地にある店の名は「居酒屋あれい」。
三陸の魚介類や、串焼き、煮物など、笑顔の素敵な若女将の手料理が味わえる。浜千鳥、龍泉、赤武、水神など、岩手の地酒も豊富にそろっている。