Yahoo!ニュース

「幸せのヒントになると嬉しい」“ミス・サンシャイン”、R&Bシンガー・AISHAから全女性へエール

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
「自分に自信を持って、自分に価値があることを忘れないでほしい」

“CMソングの女王”が放つ、「幸せになるためのヒントが詰まった」ミニアルバム『LOVE SICK』

ミニアルバム『LOVE SICK』(8月8日)
ミニアルバム『LOVE SICK』(8月8日)

「家庭教師のトライ」、「カナダドライ・ジンジャーエール」、「資生堂 MISETTE」、「REEBOK シューズ」、「SONY ウォークマン」、「CITIZEN」、「ライザップ」etc…これまでAISHAが歌ってきたCMソングの一部だが、彼女の声は知らず知らずのうちに、多くの人の耳に入り、心をつかんできた。まさに隠れCMソングの女王だ。圧倒的かつ繊細な声は、インパクトと共に、聴き手の心をくすぐる独特の“音色”を感じさせてくれる。それは彼女は、彼女のことをよく知る友人や周囲の人から“ミス・サンシャイン”と呼ばれている、彼女の人間性、性格が声、表現力に現れているからだ。底抜けの明るさと、人を愛し、思いやる心。そんな、デビュー8年を迎えた本格派R&Bシンガー・AISHAが、ミニアルバム『LOVE SICK』を8月8日に発売。収録されている6曲の隅々に、“ミス・サンシャイン”らしさを感じる事ができる。リアルなストーリーを紡ぎ、若い女性から熱い支持を得ている彼女に、この作品に込めた思いを、聞かせてもらった。

「AISHAの音楽を聴いて、生きていてよかったって思ってもらえると嬉しい」

――ポップだし、ロックだし、強くもあり、でも優しさが溢れ、AISHAそのものという感じがする作品です。

画像

AISHA そうですね。落ち込でしまう、ダークな曲も入っていて、私はニックネームが“ミス・サンシャイン”なんですけど、“ミス・サンシャイン”として、暗い曲は歌ってはいけないのかなと思ったりもしました。でも例え晴れていたとしても雨は降るし、雷だって発生する。それも含めてサンシャインだなって思って。だから色々なフレーバーの曲があってもいいなと思って、AISHAにしては初めて大人っぽいものが出せた感じがします。

――オープニングナンバーの「LION」には強いメッセージが込められています。

AISHA 先日、女性から悩み相談を受けている方からインタビューを受けました。その方の元には、女性から毎日100件以上「死にたい」というメールが届くそうです。それでハッピーな人にインタビューをして、そういう女性達にメッセージを送りたいと言われて。正直びっくりしました。そんなにアンハッピーな人たちがいるんだって思って。だったら私はムダにハッピーなので(笑)、それを音楽でシェアしたいなという思いがいつもあって。AISHAの音楽を聴いて、生きていてよかったって思ってもらえると嬉しいなと思って、作りました。考えすぎて、内にこもってダメになってしまうこともあるし、人からかけられた何気ないひと言で、元気になることってあると思うので、それを言ってくれる人がいないなら、私が言ってあげたくて。自分に自信を持って、自分に価値があることを忘れないでほしいということを歌いたかった。その時にさらにパワーを注入するために、フィーチャリングは、プライベートでも仲良しの、CREAM・Minamiしかいないって思って、女のコと初めてコラボしました。

「とにかく自分のことを大切にしてほしい」

――恋の後押しをするのもAISHAの真骨頂だけど、人に勇気や元気を与えるのもAISHAがいつも心掛けていることで、まさに“ミス・サンシャイン”という感じの曲です。

画像

AISHA 最初は弱さを感じることも書いていました。でもプロデューサーのMinnie P.さんに「ライオンは泣かないよと」と言われて、ハッとして。

――シングル曲「うそつきLIAR」は、これを聴いてスッキリする女性が多そう。

AISHA もしダメ男といるなら、ポイ捨てしちゃってくださいというのを言いたくて(笑)。もし相手が自分のこと一番に思ってくれないのなら、自分が自分のことを一番に思って、大切にしてあげることが大切という、どこか「LION」のメッセージとつながっている部分があると思います。

――「どうして」は「うそつきLIAR」とつながっている?

AISHA 失恋して究極に立ち直れない時に、誰といたくもない、誰の愛もいらないと思った時に作りました。「うそつき~」はその後の感情を歌にしました。一人で生きていけば傷つかないかもしれないけど、でも結婚もしたいし、子供も欲しいという正直な思いを歌っています。

――その時の辛い思いを歌に変換して、自分で自分を再生させているような…。

AISHA 一回歌にして出すと、まるでセラピーに行ったかのように、問題が解決することもあります(笑)。

全世界的で人気のフィットネス「ZUMBA」のオフィシャルソング「BURN」は、「気持ちよく踊ることができれば、言葉は関係ないことがわかった」

――新曲「BURN」は、世界185か国・1650万人に愛されているフィットネス「ZUMBA」のオフィシャルソング起用され、世界中で聴かれ、歌われています。

画像

AISHA この曲はLAでレコーディングしたのですが、みんなでスタジオに入って、その場で、歌詞もトラックもメロディもコライトしました。緊張しましたが、みんなのいい部分がひとつになると、パワフルな曲ができるんだなと勉強になりました。もっと早くコライトを経験したかった。世界が変わりました。「ZUMBA」のテーマソングで、アメリカでリリースするのに、日本語を使うのはどうかなと最初は思っていましたが、気持ちよく踊ることができれば、言語は関係ないと改めて思いました。

「最近綺麗なバラードが少ない。SNSも原因のひとつだと思うけど、ロマンティックさが足りない気がする」

――一転「ほたる」は歌が沁みます。

AISHA 2015年に作った「花火」というラブソングの第2弾を作りたいと思って。タイトルだけ最初に決めて、「ただ触れてほしい」というのをテーマにして作りました。蛍って短い生命を一生懸命生きていて、私も同じように生きたいという思いも込めました。完成したものを電車で聴いていて、自分で書いた曲なのに泣いてしまいました(笑)。

――歌の強さと繊細さのメリハリが、グッときます。

AISHA 裏声とがっつり歌う部分のコントラストをはっきり出すようにしました。最近、色々な音楽を聴いていても、綺麗なバラードが少ないなと思って。この世代ってロマンティックさが欠けているのかな? みんなインスタとかFacebook、SNSですぐに相手の名前を検索して、会おうと思えばすぐにその人に会うことができるから、ロマンティックさが足りないなと感じています。だから私はそれを取り戻したくて。

――「TEAR DROPS」でホッとする感じのエンディングを迎えます。

AISHA そうなんですよ。この曲はトラックも軽くてハッピーで、やっとホッとする曲ができた感じです。「もっと愛をください」というコンセプトで歌っています。このミニアルバムには、私が大事にしてることを全て出しています。私はすごくハッピーで、周りの人も幸せにしたいといつも思っていますが、さらにいうと、私の音楽を聴いている人はみんな幸せになるべきだと思うし、それが届くといいなと思い、いつも歌っているしそれがマイ・ミッションだと思っています。

「人生は愛に振り回されるもの。だから“LOVE SICK”になっても必ず立ち直れる」

――6曲のミニアルバムですが、非常に濃い内容でした。『LOVE SICK』というタイトルに込めた思いを教えてください。

AISHA 人生は愛に振り回されて、いい愛も悔しい愛も全部経験して、自分という人間が形成されると思います。だからどんなに「LOVE SICK」になっても、立ち直れるからというメッセージを込めて、このタイトルにしました。聴いた人の幸せのヒントになると嬉しいです。

スティーヴィー・ワンダーのアルバムなどで演奏していた、プロのトロンボーン奏者を父に持ち、そのスティーヴィーの名曲「可愛いアイシャ」にちなんで名付けられたというAISHA。そしてスティーヴィーには「You Are The Sunshine Of My Life」(1973年)という、世界中で愛されているスタンダードナンバーがある。“君は僕の命を照らす太陽”――自分の歌で多くの人に幸せを与えたいというAISHAは、まさに“ミス・サンシャイン”だ。

AISHAオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事