ゲームやおもちゃはいつ買われるのか…ゲームソフトなどへの支出傾向をさぐる(2023年公開版)
毎年12月に入るとクリスマスに向けて街の彩りが鮮やかになるのとともに、おもちゃ屋やゲームショップでは気合を入れた広告展開が見られるようになり、多様な商品がアピールを繰り広げることになる。言うまでもなくクリスマスのプレゼント、そしてそれに続くお正月のお年玉による購入を期待してのもの。
では実際に、この年末商戦の時期ではどれほどのゲームやおもちゃが買われているのか。総務省統計局の「家計調査」のデータから検証する。
家計調査では二人以上世帯(原則夫婦世帯)においてのみ、日次の動きに関する調査も行われている。世の中全体の傾向を推し量るのには総世帯(単身世帯+二人以上世帯)の値が望ましいのだが、存在しない以上仕方が無いので、この二人以上世帯における日々の支出額(=消費額)を基に、クリスマスプレゼントとしての購入が期待されているゲーム・おもちゃ系の動向を確認する。
対象とする項目は「ゲームソフトなど」「ゲーム機」「他の玩具」。それぞれの具体的内容は説明によると次の通り。
●ゲームソフトなど
テレビゲーム機の部品および周辺機器も含む。ダウンロード販売のゲーム代も該当。
●ゲーム機
携帯型、据置型のゲーム機本体。ソフトや付属品とのセット販売のものも含む。
●他の玩具
「ゲームソフトなど」「ゲーム機」に分類されない玩具。
〇ぬいぐるみ、着せ替え人形、プラモデル、塗り絵、花火、風船、電気機関車などの電機製玩具、すべり台、ブランコ、教育玩具(積み木、プレイブロックなどの造形玩具)、卓上ピアノ
×観賞用人形(「室内装飾品」に該当)
現時点で日次データが取得できるのは2023年10月分まで。そこで1~12月分が取得可能な2022年に関して、日々の出費を確認していく。
まずは「ゲームソフトなど」。
多分にギザギザがキツいグラフとなっているが、これは平日にはあまり支出されず、土日に額が高くなる傾向があるため。平日にゲームソフトを購入する機会は得にくいのだろう。
全体的には12月に入ってから額が高くなっており、クリスマスに向けてプレゼントとしてゲームソフトが買われている実情が分かる。年末に向けておもちゃ屋やゲームショップが混雑するのも理解ができる。クリスマスに向けた時期におけるピークは12月24日、つまりイブ当日。
クリスマスとは関係がない時期の9月9日にも額が高くなっているが、これは任天堂のNintendo Switch用新作「スプラトゥーン3」によるものと思われる。多くの人が発売日当日に購入したため、公的な調査結果にもその勢いが数字となって表れた次第ではある。
続いて「ゲーム機」。
土日に額が高くなる傾向や、年末に向けて大きな動きがあるのは「ゲームソフトなど」と変わらない。一方で年末年始以外にいくつかの期間で大きく値が跳ねる動きが見られる。例えば長期の休みを機会にテレビゲーム機を新規購入・買い替えしようとする思惑が働くのかもしれない。
新しいゲーム機が発売された場合、その日以降の値が跳ね上がる可能性はある。2022年では特に目新しいゲーム機は発売されていない。Steam Deckが2022年2月25日に出ているが、その日前後に大きな動きは無い(2月20日を当てはめるのはさすがに強引すぎる)。
最後は「他の玩具」。
土日に額が高くなる傾向は「ゲームソフトなど」「ゲーム機」と同様。他方、年末年始に大きな動きが生じているものの、他の期間では特段変わった動きは見いだしにくい。一般的な玩具は年末商戦が天王山ということだろうか。
年末年始以外では、ゴールデンウィークと8月なかばあたりにやや値が高くなっているように見える。帰省してきた子供や孫におもちゃを買い与える機会が生じ、それが数字となって表れているのかもしれない。
家庭用ゲームも含めたおもちゃ業界が、いかに年末商戦に魂を注いでいるか、その実情が今回の精査結果からうかがい知ることができる。12月に入るとおもちゃ屋やゲームショップが混雑を極めるのも当然の話ではある。
需要が集中する12月には実店舗は混雑し、目当ての商品の品薄や品切れは容易に想像ができる。感染症リスクを考慮すると、12月に入ってからではなく、早めの11月には確保しておくことが望まれるのだが(「ゲーム機」「他の玩具」では子供の目に付かないよう隠しておくのに苦労するだろうけれども)。
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