著作物、二次利用のライセンスは『世界的視野』を持って構築すべし!
KNNポール神田です。
日本の著作物の二次利用が利用しやすくなろうとしている…。
政府が権利情報のデータベースを作り、権利者が不明な場合でも、政府が指定する団体が代理で許諾できるようにして、著作物の権利をワンストップで処理できるようにする方針だ。
2023年の通常国会で著作権法の改正案で通過すると認められる。
現在の著作権法では、著作者や遺族と連絡が取れない場合は、文化庁長官の裁定を受ける必要が出てくるのを緩和することができるようになる。
政府が指定する団体が認めれば著作物を利用できるようになるので、文化庁長官の裁定を待つよりはかなりのスピード感がでるようになりそうだ。
しかし、どのような団体が政府の指定する団体になるのか?
メタバースの団体なども乱立しており、2024年には90兆円市場と期待される『メタバース市場』にメタバース推進協議会、日本メタバース協会,Metaverse Japan,日本デジタル空間経済連盟、メタバースの数だけ団体がメタバース化しているので指定するのも至難のワザとなりそうだ。
政府が著作権管理団体として指定する明確な基準も今後は、必要だろう。
■『YouTube』などは、個人が自ら演奏すればOK!
SNSでの音楽に関しては、この25年の数々の歴史の中で、広告料金の分配も含めて、著作権というよりも営業権の問題がクリアになることで許諾できるケースが増えてきた。
『YouTube』などは、個人が自ら演奏すれば、許諾契約などは必要なく配信できる。掲載広告料金などは分配対象となる。
また、TikTokなどでは、楽曲は映像の権利者側がプロモーション目的で提供するなどの新たなスキームが誕生している。
https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/movie.html
YouTube等の動画投稿サービスでの音楽利用について
https://www.jasrac.or.jp/news/20/interactive.html
利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧
https://www.jasrac.or.jp/news/20/ugc.html
音楽は歴史があるだけに、権利関係の係争も多かったので、JASRACなどの楽曲管理団体が、ワンストップで交渉できるようになった。
ただ、JASRACが楽曲を管理することによって、音楽教室においても著作権料が発生するという経緯も生まれた。
■動画投稿(共有)サイト(50音順)
JASRAC管理楽曲を含む動画をアップロード可能なサービス
このように、音楽に関しては動画サイトや歌詞の掲載が可能な包括契約が進んでいる。
しかし、この日本だけでなく、アニメの画像や動画、コマーシャルの動画などの今まで流通しなかったものものふくめて、検討されなければならない。
メタバース上でのコンテンツや、縦型スーマートフォン動画や、WEBTOONのような新たなフォーマットは、今後も大量に登場すると想定される。
日本のコンテンツ産業全体の市場規模は2020年に11.6兆円とされる。2020年のデジタルコンテンツの市場規模は、8兆8,435億円
前年の95.3%とマイナス成長
2018年で10.6兆円 世界では128.8兆円と日本の12倍の規模である。
まずは、目を向けるべきは世界市場で、日本産のコンテンツの許諾が安易になると世界での利用もみえてくる。
各コンテンツ業界団体の許諾をうけたところだけではなく、日本産全体でのコンテンツを産業として、国が代表として窓口になったりできないものなのか?
フランスでは、『シネマテーク・フランセーズ』が、1901年から、国民の財産としてフィルムやビデオ時代から、CM、映画、音楽などの国営のアーカイブが保存され、広く国民が視聴が可能なしくみを取ってきた。施設の中だけの限定にすることによって権利関係をクリアしている。
リュック・ベンソン監督などはそれらの設備から映画を学んできたという。
著作権という課金分配の視野だけでなく、国のコンテンツ資産としての文化を守るという目的も視野にいれておく必要もあるだろう。
シネマテーク(仏語)