なぜ、円安が進むのか:マネー経済と実物経済の両面の視点から
9月下旬以降、政府が為替介入を何度か行っている。暫く、ドル円レートの変動は膠着状態にあるものの、円安の流れを今後も堰き止めることはできるのか。
このような状況のなか、米商務省は10月27日、アメリカの実質GDP成長率(速報値)を公表した。この速報値によると、2022年7―9月期の実質GDP成長率(季節調整済み、前期比年率)は+2.6%で、3四半期ぶりのプラス成長であり、しかも市場の予想である年率+2.4%を上回った。
他方、日本では、総務省が10月28日、東京都区部における10月分のCPI(消費者物価指数)の速報値を公表した。この速報値により、コアCPI(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比+3.4%で、インフレ圧力が徐々に高まってきているにもかかわらず、10月27日・28日の金融政策決定会合にて、日銀は、足元の上昇は一時的と判断し、金融緩和を維持する方針を確認した。
このため、ドル円レートは再び、円安に動き始めている。10月28日22時15分時点の為替レートは、概ね147.55で、前日から+1.84も円安に進行しつつある。
なぜ、円安が進むのか、そのドライバーは何か。その理解を深めるには、①マネー経済と②実物経済のドライバーを把握する必要がある。①のドライバーは金利平価説であり、②のドライバーは構造的な貿易赤字である。
為替レートの決定理論には「金利平価説」と「購買力平価説」であり、金利平価説はマネー経済に関係する一方、購買力平価説は貿易取引を含む実物経済に関係する。この辺の解説については、Wedge ONLINEの「メディアが見落としている円安の正体」をご覧下さい。