地球上で最も寒い「マイナス97.8℃」南極で観測
暑いこの時期に、涼しい話題を一つ。
このたび南極において、地球上で起こりうる最も低い気温が観測されていたことが明らかになりました。
これまで人が測定した世界最低気温記録というのは、1983年に南極のボストーク基地で観測されたマイナス89.2℃です。
しかし、米国雪氷データセンターのテッド・スカンボス氏らが2004年から2016年の衛星データを解析した結果、雪に覆われた南極の地面付近の気温がマイナス97.8℃まで下がっていたことがわかりました。研究者らは、これが地球上で下がりうる最も低い気温に近いだろうと考えています。
なお、前述のボストーク基地のマイナス89.2℃の記録は人の身長くらいの高さでの気温です。これと同じ高さにおける今回の気温は、マイナス94℃くらいだということです。
超低温の条件
≪場所≫
この超低温が観測されたのは、南極で最も標高の高い氷床から、2、3メートルほど落ち込んだくぼみの中でした。くぼみであることで、冷たい空気が周囲よりもたまりやすくなっていたのです。
≪条件≫
気温がここまで下がるためには、一日中太陽が昇らない極夜の季節であること、ほぼ無風かつ雲がないこと、さらに空気が乾燥しきっていることが必要だということです。水蒸気は熱をためることができるために、空気が水蒸気を含まないほど乾燥していることが条件になるのです。
このような南極特有の乾燥と低温は、まるで地球上とは思えないような、極端な環境を作り上げています。
南極は世界一の○○地帯
意外なことに、世界で最も乾燥している砂漠は、チリのアタカマ砂漠やアフリカのサハラ砂漠ではなく、南極にあります。
そこは南極の「マクマード・ドライバレー」と呼ばれるところで、200万年ものあいだ一度も降水がなかったともいわれている超乾燥地域です。このため氷や雪ではなく岩石などが目立ち、南極らしからぬ景色が広がっています。
(↑マクマード・ドライバレー)
【寒さの物差し】