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おなじみ“もと小虎”社会人選手たちの近況報告

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
4月5日、JABA静岡大会・王子戦で先制適時打を放った三菱重工長崎の野原将志選手

19日に行われた第85回都市対抗野球大会の大阪・和歌山第1次予選で、和歌山箕島球友会が勝ち抜け近畿地区第2次予選に進出しました。詳しくは20日付けの記事をご覧ください。都市対抗野球の予選はまずクラブチームや専門学校が参加する第1次があり、そこで勝ったチームが今度は1次予選を免除された企業チームも出場する第2次へと進むわけです。大阪・和歌山のように敗者復活戦を行い、合計2チームが『近畿地区第2次予選』に進出するエリアもあります。

先日、三菱重工長崎で4番を打っている野原将志選手のことを書いた際、社会人野球日本選手権についても触れました。それで非常にわかりにくくなった方もいらっしゃるかもしれませんね。日本選手権は11月(京セラドーム)で、都市対抗野球は7月(東京ドーム)と日程はまったく違うものの、既に日本選手権の出場権をかけた“対象大会”や、都市対抗の1次予選は今から始まっているわけです。選手権のことはのちほど。

カナフレックスは準決勝で敗退

穴田選手の試合を見に兵庫県西宮市の大阪ガス今津総合グラウンドへ行っていた19日、同じ今津でも滋賀県の高島市今津町にある今津スタジアムで、都市対抗野球の滋賀1次予選が始まりました。藤井宏政選手が副キャプテンを務める、創部1年目のカナフレックスは初戦で瀬田クラブに18対1で7回コールド勝ち。翌20日の準決勝は今津スタジアムを本拠地とする地元のOBC高島との対戦でした。藤井選手はいつものように1番ショートでの出場。スコアは以下の通りです。

カナフレックス 110 001 002 = 5

OBC高島   000 400 20X = 6

前にも載せましたが、“背中で語る”副キャプテン!カナフレックスの藤井宏政選手です
前にも載せましたが、“背中で語る”副キャプテン!カナフレックスの藤井宏政選手です

そうなんですよ、1点差で負けたんですよ!結果を聞いた時、藤井選手からは「負けました。準決勝で」と泣き顔マーク付きの返信が…。なので詳細はカナフレックスの梁川マネージャーに教えていただきました。1回は藤井選手が中前打で出て、4番のタイムリー三塁打で生還!先制のホームを踏んでいます。6対3とリードを広げられて迎えた9回の攻撃は、梁川マネージャーの振り返りをもとに再現しましょう。

先頭の6番・山内が四球、稲森は二ゴロで併殺を狙った相手のエラーで走者2人が残ります。田中が三振に倒れたあと加藤は中前打!1死満塁です。加藤の代走に飯田健。そして1番・藤井が1ストライクからの2球目を打ち、右翼線へのタイムリー二塁打!2人を還して1点差としました。なおも1死二、三塁で2番の福井が2ストライクと追い込まれた3球目を打ち上げます。

前進守備でも犠牲フライになるか、いや少し浅すぎるか…という打球だったとか。でも何としても追いつきたいところ。三塁走者はタッチアップします。バックホームの返球が逸れてセーフ!と審判はコールしたんですけど…OBC高島から「タッチアップでベースを離れるのが早すぎた」とのアピールがありました。飯田祥監督が抗議したものの覆らず、よって生還はなし。しかも3アウトで試合終了です。

藤井選手の2点タイムリー二塁打で9回に追い上げながら、あと一歩…。でもさすが頼りになる副キャプテンの仕事ぶりですね。梁川マネージャーは幻の犠飛を最初は「レフト、いやライトかな。すみません。ここはもう興奮してしまって…よく覚えていないんです」と。わかります。よくわかります。なお決勝に進んだOBC高島は、甲賀健康医療専門学校に11対0で7回コールド勝ちしました。

滋賀は敗者復活戦がないのでOBC高島が次へ進みます。近畿なら2次予選ですが、滋賀の場合はもう1つ関門あり。滋賀、京都、奈良それぞれの1次予選を勝ち上がってきた3チームによる『京滋奈1次予選』が行われ、そこで勝った1チームだけが近畿地区第2次予選へ進出できる仕組み。なかなか厳しい道のりです。都市対抗野球出場の道は絶たれたカナフレックス。ポイントによって出場の振り分けがされる日本選手権対象大会も、新規加入なので出られません。来年に向けて力をつけていくことになりますね。

準決勝の藤井選手は中前打、三振、三振、中飛、右翼線2点タイムリー二塁打で5打数2安打2打点という成績でした。なお梁川マネージャーに「滋賀は遠いけど、兵庫で試合があれば教えてください」と言ったら「ありますよ。5月10日に豊岡の植村直己記念スポーツ公園でNOMOベースボールクラブとオープン戦をやります」と。うーん、滋賀へ行くのとどっちが近いだろう(笑)。本当にいろいろとありがとうございました。

野原選手は2試合で3安打5打点

同じ都市対抗野球の予選で、もと小虎たちのチームがどうなっているのか?野原将志選手の三菱重工長崎は20日、長崎ビッグNで行われた西九州(長崎・佐賀)1次予選に参加。長崎に社会人チームは1つしかないんですね。佐賀にもクラブチームが2つあるだけで、予選にエントリーしたのは佐賀魂の1チーム。なので2チームが戦い、先に2つ勝った方が次へ進むリーグ戦でした。結果は2試合とも5回コールドで三菱重工長崎が勝っています。

静岡大会の野原選手。冒頭の写真は四球を選んだ打席で、これが先制適時打の直後です。
静岡大会の野原選手。冒頭の写真は四球を選んだ打席で、これが先制適時打の直後です。

《第1試合》

佐賀魂  000 00 = 0 

重工長崎 201 07x=10 

《第2試合》  

佐賀魂  000 00 = 0

重工長崎 105 13x=10

野原選手の成績を聞いたら「2試合で5打数3安打5打点、2盗塁のおまけつき(笑)」という返事でした。2試合目には三塁打もあったみたいですね。次は5月31日から沖縄で開催される『九州地区第2次予選』へ出場。参加12チームのうち3チームが7 月の本大会に行けます。

また林啓介投手が所属する西濃運輸は5月22日から愛知県岡崎市で始まる東海地区(静岡、愛知、岐阜、三重)第2次予選で16チーム中7チームの枠をめぐって戦います。若竹竜士投手の三菱重工神戸、橋本良平選手のパナソニック、穴田選手の和歌山箕島球友会は5月15日開幕の近畿地区第2次予選(わかさ、明石、舞洲、京セラ)に出場。12チーム中5チームが本大会へ進めるわけです。

日本選手権に向けての大会も

都市対抗野球の件はここまで。変わって社会人日本選手権出場をかけた対象大会のことをご紹介しましょう。ちょっとさかのぼって、今月はじめのJABA静岡大会に出場した三菱重工長崎は、日本新薬との準決勝を4対2で勝ち上がり決勝へ。ところが鷺宮製作所に7対0と7回コールド負けしてしまいました。4対0とリードされて迎えた7回表、3四死球などで1死満塁として4番・野原選手に回ったんですが…あえなく遊ゴロ併殺打。その裏に3点取られてコールドゲームです。残念。

4月11日から行われたJABA長野大会では、橋本選手が所属するパナソニックが優勝!早々に日本選手権出場を決めています。パナソニックは常連ですもんね。その決勝の相手は林投手の西濃運輸でした。4月12日からのJABA日立市長杯選抜野球大会に出た若竹投手の三菱重工神戸は1勝2敗で決勝には進めていません。

この先も日本選手権対象大会は続き、三菱重工神戸は4月28日からのJABA京都大会に出ます。また5月2日から岐阜で行われるJABAベーブルース杯大会には西濃運輸、和歌山箕島球友会、そしてこの大会おなじみ中日ドラゴンズのファームも出場。5月7日からは長崎でJABA九州大会があり、パナソニックが出場予定。もう既に日本選手権出場を決めているパナソニックが、この大会も勝ったらどうなるのか?

西濃運輸出身の小豆畑選手に教えてもらいました。「また優勝したら、そのチームが所属している連盟の出場枠が1つ増えます」。なるほど!そういうことですか。まだまだ社会人野球には未知の部分がたくさんありますねえ。ご存じの皆さんには申し訳ないですけど、勉強しながらお伝えしていきます。ええ、今のところ先生は野原選手と小豆畑選手です。

締めに穴田選手の“ええ顔”

お弁当を食べながらも“変顔”作りに勤しむ穴田選手。変わりませんねえ。
お弁当を食べながらも“変顔”作りに勤しむ穴田選手。変わりませんねえ。

20日に掲載した穴田選手の記事を最後まで読んでくださって、ええ話やなあと思われた方もいらっしゃるでしょう?穴ちゃん頑張れ!と応援したくなりましたよねえ。だから載せにくかった写真があるのです。19日は準決勝と決勝の間の短い休憩が選手たちの昼食タイムでした。お弁当の唐揚げをほおばる穴田選手に許可を得て撮影したのですが「撮ってもいいっすよ~」と言いながら変顔連発。これが一番まとも…いえ、普通のショットです。ちなみに仕事場であるスーパー・マツゲンで先月まで揚げ物担当だった穴田選手。唐揚げはもうお手の物らしいですよ。今は新入社員としての研修中だそうで、どこに配属されるんでしょうね。「自分で揚げた方がおいしい?」と聞いたら大きくうなずきます。なお和歌山箕島球友会のユニフォームは今年度、この新しいタイプに変わりました。今までの白基調から穴田選手いわく「ロイヤルブルー」に変更。もちろんは各自での買い取りです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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