アマチュアはクラブを押しすぎ!?筋電図を比較してわかるプロとアマのバックスイングの違い【ゴルフ】
プロゴルファーとアマチュアのスイングは何が違うのだろうか。スイング中の各局面での体幹と四肢が成す形、スイング軌道、いろいろなものに違いが表れているが、それらはどれも表面に表れているもので本質的な違いではない。
本質的な違いに近づくためには、目に見えない領域まで踏み込む必要がある。
筋活動はその目に見えない領域だろう。以下の図はツアー通算19勝の谷原秀人(以下プロ)の2000年代前半の時のスイングと、平均スコア約90の元Jリーガー(以下アマ)のスイングの筋電図(両者とも右打ち)。
この筋電図からは、テークバックからバックスイングでの左大胸筋の筋活動にプロとアマの違いが見られた。
トッププロと平均スコア90ゴルファーの違い
プロは、バックスイングやフォロースルーでは、どの部位もさほど活動な筋活動は行われていない。
トップからインパクトに集中して活発な筋活動が行われている。
一方アマは、プロと比較すると、テークバックからバックスイングで活発な筋活動が見られる。これは、余計で必要のない筋活動(力み)かもしれない。
プロはバックスイングで左大胸筋の活動に目立ったものは見えないが、アマには明らかに活発な左大胸筋の活動が見られた。
左大胸筋はクラブを押す時に使う
左大胸筋は左手でクラブを押す時に使う筋肉。左手1本で重たいものや動かないものを右に押してみると左大胸筋が使われる(かたくなる)のが分かるだろう。
ということは、テークバックからバックスイングではアマはクラブを押す力が強く、プロは押す力を使わずにクラブを動かしている、ということになる。
かといって、プロがほかの部位の筋肉を積極的に使っているかといえばそうではない。全体的に、テークバックからバックスイングでの筋活動はおとなしい。
これは物理的な力を使ってクラブを動かしているということ。テコの原理を使ってバックスイングすれば、筋力に頼らずにバックスイングすることができる。
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トップからインパクトで体全体の筋活動は活発になる
プロはトップからインパクトまでの間に筋力を使っている。野球のバッティングでもバッターから「テークバックでは脱力してインパクトでビュッとヘッドをきかせる」といった感じのコメントを聞くことがあるが、ゴルフでもプロや上級者の多くはこの感覚を持っていることが考えられる。
‟力み”というとインパクトのことと、とらえられがちだが、始動直後から‟力み”は存在する。左大胸筋の活動が活発にならないテークバック、これがプロのような力みのないリズミカルなスイングをするポイントになるかもしれない。
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