ぼったくりではない日本向けオスプレイの価格
2015年5月5日、アメリカ国防安全保障協力局(DSCA)は日本向け垂直離着陸機V-22オスプレイ17機と予備エンジン、関連器材および訓練など対外有償軍事援助(FMS)での輸出案を議会に通知しました。
Japan - V-22B Block C Osprey Aircraft | Defense Security Cooperation Agency
内容はオスプレイ17機とエンジン40基、赤外線前方監視装置40基、ミサイル警報システム40基など機体数を上回る予備部品とアメリカでの訓練費用なども含んだ総額の諸経費で、約30億ドルが提案されています。今現在の為替レートは1ドル120円なので約3600億円になります。
ただし、単純に30億ドル(3600億円)を機体数17で割ると1機あたり1.76億ドル(211億円)になりますが、これは前述の通り諸経費込みの価格なので機体単価ではありません。機体単品での価格は1機100億円前後で、諸経費がそれと同じくらいに掛かるという事です。
イスラエル向けオスプレイの提案価格より割安
参考までに、2014年1月13日にDSCAが議会に通知したイスラエル向けV-22オスプレイ6機の売却提案価格は、エンジン16基や訓練費用を含む諸経費込みで11.3億ドルでした。当時の為替レートは1ドル104円でしたので、約1175億円になります。6で割ると195億円です。
Israel - V-22B Block C Aircraft | Defense Security Cooperation Agency
昨年のイスラエル向けオスプレイの価格よりも今年の日本向けオスプレイの価格が円で比べると高くなっているのは為替レートの変動の影響によるものです。このイスラエル向けの提案価格を現在の為替レートで計算し直すと、11.3億ドルは約1356億円となり、6で割ると約226億円です。つまり実際にはイスラエル向けより日本向けの方が割安という事になります。これは一度に買う予定数が日本向けの方が数が多い事が影響しているのでしょう。
※なおイスラエルのオスプレイ購入計画は予算不足で一時中断しています。
アメリカでのオスプレイ調達価格
そしてアメリカ本国でのオスプレイの調達単価は、2015年度予算の海兵隊向けMV-22でフライアウェイ・コスト(飛べる状態を意味し、他の経費が入っていないコスト)は1機あたり7210万ドルとなっています。為替レートを今現在で計算すると1機あたり86億円です。数年前の為替レートの状態ではオスプレイの機体単価は60~70億円だったので、為替レートの変動は輸入価格を大きく左右するものだと言えるでしょう。
結局、アメリカ本国価格で1機86億円、日本向けは1機100億円前後(諸経費込みで211億円)という価格になります。別にボッタクリとは言わないですね。アメリカでの価格も諸経費込みならば1機当たり200億円に近いものになってしまいます。