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明治大学→サントリーでも活躍? 梶村祐介は「きつい選択」を。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
昨季チームとして19年ぶりに大学選手権決勝に進出(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 国内最高峰トップリーグで2連覇中のサントリーに今季、明治大学前副キャプテンの梶村祐介が加入。開幕先発、さらにその先を目指している。

 報徳学園高校3年時に日本代表の練習生となった梶村は、身長180センチ、体重93キロのインサイドセンター。サントリーでも夏合宿で選手選出のMVPになるなど、早速期待感をうかがわせる。

 8月21日には東京・サントリー府中グラウンドでNECとの練習試合に先発。豪快な突破からトライを奪うなどし、49―7で勝利していた。試合後は取材に応じ、チャンピオンチームでの成長実感や課題について語った。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――北海道での夏合宿で、選手選出のMVPになりました。

「あの合宿を通して、トップリーグでやっていける自信がついた。ただ、サントリーの求めるレベルには達していない。きょうもそうでしたが、もっとコミュニケーションを取れた時も、(アウトサイドセンターの村田)大志さんから学ぶこともたくさんあります。毎日、勉強しています」

――「コミュニケーション」。具体的に。

「プレー中に喋ることが、あの2人(村田とスタンドオフで先発のマット・ギタウ)に比べるとまだまだできていないです。自分の意志を伝えることも大事ですし、もっとあの2人が何を考えているかという意図をくみ取らなければいけないと思います」

――逆に、成長を感じられた点は。

「まずボールキャリーとして、きょうも外国人相手にも前に出られることができた。ブランビーズ戦でも自信になりました(6月に対戦。効果的なラインブレイクを再三、披露)。また運動量の部分でも、80分しっかりと走り切れましたし、GPS(走行距離測定)の数値もいい。そこは評価していただいているのかな、とは思います」

――「運動量」。きょうのゲームでも、敵陣中盤右中間を破ってパスを出した後さらに右側に回ってボールをもらっていました。

「楽な選択って、誰でもできると思うんですけど、サントリーの選手はきつい状況できつい選択をする。自分も先頭に立って、きつい選択をできたらと思います」

――ここまで取り組んできたことは。

「剛さん(有賀剛バックスコーチ)と一緒に、ディフェンスの部分で重点的に取り組んでいます」

――プレー選択の判断について。

「春は正直、間違えるのが怖くて自分でコールを出せずにいました。いまはコールを出さないことが一番だめだと思っています。間違ってもいいので、出す」

――そうしてみると、かえっていいことが起きる。

「正直、だめなことばっかりなんですけど、やってミスをしないと次につながらない。まずは声を出す。それが間違っているかどうかはギッツ(ギタウ)や大志さんが判断してくれます。まず、やってみるのが大事だと思います」

――開幕戦に向けて。

「(同じポジションの中村)亮土さんも最近、チームに合流してフィットしてきています。メンバーがどうなるかはまだわからないですが、自分としても今日はいいパフォーマンスができたと思っています。もう1度、チームにコミットして、開幕スタメンとして結果を残せるように。スタメンになることが目標ではないです。将来的にはジャパンに入りたいですが、そのためにも今季3冠(トップリーグのリーグ戦、順位決定戦、カップ戦)を獲る。その先に代表があると思うので、毎試合、毎試合、自分のベストパフォーマンスを出したいです」

 トップリーグで「やっていける自信がついた」なか、サントリーの内部では「求めるレベルには達していない」。この見解に、王者の目指す「インターナショナルスタンダード」が見え隠れする。

「ミスをしないと次につながらない」も、「チャレンジのミスなら怒らない」という沢木敬介監督の考えとリンクする。

 開幕に向け急成長中の梶村について、指揮官は「まぁまぁです」「使うと思って獲ったので」という言い回しで期待感を示す。サントリーの今季初戦は9月1日、愛知・豊田スタジアムでおこなわれる。トヨタ自動車とぶつかるこの一戦で、梶村の出番は訪れるだろうか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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