えーっ!大阪桐蔭も報徳も負けた! 波乱続出の近畿大会初戦を振り返る
センバツ準優勝の報徳学園(兵庫)、同4強の大阪桐蔭など、名門、強豪が揃った春の近畿大会が開幕。しかしこの2校が、いずれもセンバツ出場を逃した市和歌山、智弁学園(奈良)に敗れる波乱のスタートとなった。
報徳は期待の2年生投手が大量失点
エース・盛田智矢(3年)を夏への調整のためメンバーから外して戦っている報徳は、2年生投手陣が好調で、激戦の兵庫を制した実力、勝負強さは折り紙付き。しかしこの日は、岩本聖冬生(いぶき=3年)、林純司(3年)ら、センバツで活躍した主力野手を故障で欠いての試合で、立ち上がりから意外な展開となる。甲子園で活躍した先発の間木歩(2年)が市和歌山打線に連打を浴びて、3回途中5失点KO。さらに救援した星山豪汰(2年)も流れを食い止められず、早々と7点差をつけられた。捕手の堀柊那(3年=主将)は、「球の高さを間違えた。打たれた原因に気付けなかった自分の責任」と後輩投手をかばった。
市和歌山は智弁和歌山を倒した実力発揮
報徳はようやく6回から反撃開始で、7回には主砲・石野蓮授(3年)にフェンス直撃の適時三塁打が出るなど、見せ場は作った。それでも序盤の失点が大きすぎ、最後は好救援を見せた市和歌山のエース・栗谷星翔(せいが=3年)に抑えられた。
県大会決勝で智弁和歌山を倒した実力は本物で、市和歌山は報徳の強力投手陣に12安打を浴びせ、7-4で快勝した。半田真一監督(43)は「コツコツとよくつないだ」と序盤の連打に満足そうだった。投手は、先発した小野莞都(3年)が5回4安打無失点と好投し、栗谷との本格派2枚看板は夏の和歌山でも力を発揮するだろう。
大阪桐蔭も期待の2年生投手が打たれる
大エース・前田悠伍(3年=主将)を敢えてメンバーから外した大阪桐蔭は、期待の左右2年生投手が智弁学園の強力打線に圧倒された。大阪大会無失点だった左腕・安福拓海が初回、4安打2四球で4失点。2回から救援した右腕の平嶋桂知も、いきなり智弁の1番・松本大輝(3年)に本塁打を浴び、あっと言う間に5点差をつけられた。
追う大阪桐蔭もさすがで、2回から小刻みに1点ずつ挽回し、5回を終わって5-4と僅差の勝負に持ち込んだ。得点はいずれも2死からで、大阪桐蔭が並みのチームではないことを証明したようなものだ。
後手後手に回り、追いつけなかった大阪桐蔭
しかし3回以降、立ち直っていた平嶋が6回、味方の失策から一気に崩れる。智弁の代打・佐坂悠登(2年)の適時打で突き放されると、四球や暴投で一挙3失点と踏ん張れず、またも智弁ペースになった。大阪桐蔭打線は智弁の繰り出す5投手から16安打したが、後手後手に回った展開に最後まで追いつけず、6-8で打ち負けた。西谷浩一監督(53)は「力が足りなかったということ。もうこれからはひとつも負けられない」と夏の甲子園を見据えていた。
大阪桐蔭「代役」主将が気を吐く
この試合では、前田に次いで経験値が高い右腕・南恒誠(3年)も肩のコンディション不良でベンチを外れた。前田は「普通に練習している」(西谷監督)ということで、夏一本に絞っての調整とみられるが、左の大砲・徳丸快晴(2年)も大阪大会の終盤からベンチを温めている。西谷監督は「体調は8割くらい」と回復途上のようで、夏の大阪大会にベストな陣容で臨めるかどうか。残された時間は長くない。それでも前田の代わりに主将を務めた笹井知哉(3年=タイトル写真右端)が、1番打者として攻撃陣に活気をもたらしたのは好材料。この日も3安打して気を吐き、西谷監督は「一番の収穫かも」と合格点を与えた。
京都国際と金光大阪はエース左腕が力投
翌日も接戦が続いた。京都国際と近大付(大阪3位)は予想通りの投手戦になり、京都国際の左腕・杉原望来(3年)が5安打完封。近大付は再三の好機で決定打を奪えず0-2で惜敗した。金光大阪は近江(滋賀)に3-2で競り勝ち、大阪1位の面目を保った。
エースのキャリー・パトリック・波也斗(3年)が制球に苦しみながらも完投し、昨春センバツ準々決勝の雪辱を果たした。近江は3番手の河越大輝(2年)が県大会決勝に続いて無失点救援し、夏は投手陣の軸になりそうだ。
夏の本番に弾みつけたいはず
準決勝は市和歌山-智弁学園、京都国際-金光大阪の顔合わせとなった。故障者や夏に向けた調整でベストメンバーを組めない(組まない)チームが多い中、勝ち残った4校はいずれも今センバツへの出場を逃している。どのチームも夏の本番に弾みをつけ、甲子園出場につなげたい思いだろう。