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LOVELYZからソロへ リュ・スジョン初の東京ファンコン 語っていた「日本のごはん」「MBTI」

House of Dreams

変化、というキーワードで見るとすごく興味深いアーティスト。

7月21日に都内でファンコンサート「The angel's Dream FAN CONCERT IN JAPAN」を開催したリュ・スジョンを見るにそんなことを思った。

2014年、17歳になる直前でデビューしたLOVELYZ時代は、当初「パントク」のニックネームで愛された。パンは日本語と同じ「パン」で、トクは「餅」。丸顔でほっぺたがふっくらとした姿が印象的だったのだ。ファンにアンパンマンのイラストが描かれたプレゼントを贈られることもあった。

その後、2018年に同じくLOVELYZの一員として歌った「Beautiful Days」ではすっかり大人びた表情で忘れられない恋愛の思い出を歌った。本人は当時のことを「10年間活動してきて、外見にも変化が必要だったんです。楽曲のなかで片思いをしたり、叶ったり、別れたり、またそれを温かく残したり、そしてまた恋をしたり」と振り返る。

時を経て、ソロアーティストとして初めて東京の地に降り立った。変化が美しく、変わらないところもまた美しい。改めてそう感じさせた。

あの日の彼女の言葉、そしてその行間を読み解くべく、イベント前に行ったインタビューでの言葉から振り返ろう。

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今年6月のLOVELYZ再結成時の思いは?  

ステージでの1曲目は2024年3月にデジタルシングルとしてリリースされた「クルム(雲)。続いてギターを持って「(一日に三度空を見上げて)」を歌い上げた。「LOVELYZ時代よりも、最近は少しだけ私らしい音楽を志向している」という姿をいきなり見せつけたのだった。

その後、ステージ上の本人からの挨拶があった。日本語だった。

「みなさんスジョンです。はじめてひとりでファンの皆さんに会うので緊張しましたが、皆様があたたかくて幸せです。反応してくださって、涙が出そうでしたが、皆さんが笑ってくださったので、涙をこらえられました」

日本語だった。本当にこのイベントのために彼女が勉強したものだ。

この7月のファンコンに先立ち、ソウルで彼女に話を聞いた。

この時も日本からの取材者に対し、日本語でなんとか会話しようという姿勢が印象的だった。こちらの話が長くなったり、早口になったりすると「分かりません」と伝えてくるのだが、ちょっとでも、なんでも話してみようという姿勢から本気度を感じた。

そして、事前インタビューではファンコンに向けてこんな思いを口にしていた(韓国語で)。

「一人で日本のファンの皆様と会うのは初めて。楽しみで、ドキドキしてます。あと…嬉しくて泣いちゃうかもしれません。なぜなら日本のファンの方々が、これまでも韓国にいらしてくださった際に泣いて喜んでくださる方も多かったので」

東京でのステージで、MCを交えたトークはLOVELYZのデビュー10周年へと続いていった。グループは2014年11月にデビューして、今年で10周年となるのだ(現在は各メンバーがそれぞれの活動を中心に行っている)。スジョンはこんな思いを日本語で口にした。

「本当に早かったです。短かった。(グループとしての思い出は)ステージが記憶に残っています。今日も素敵なステージになったら嬉しいです。(デビュー時と今の違いは? という問いに)私は緊張する人だけど、10年前よりも雰囲気に慣れたように思います」

LOVELYZ、といえばこの7月のファンコンの少し前、6月13日に韓国地上波番組の企画として1日限りの再結成があった。スジョンはこんなことを思ったそうだ。

「まるで、昨日会ってまた今日会うというような感覚でした。久しぶりという感じがしなかったんですよ。ただ、再結成の前にダンスはちょっと練習しましたけど。ソロになって、歌を中心にやってきたので。あれほど踊ってきた曲を、じつは、今回の再結成のレッスン時にちょっと間違ったりもして…」

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もう一つ、印象的だったのは本人が自分の性格を「あがり性」と話していたことだった。事前インタビューでは、本人の性格についての話でかなり盛り上がったからだ。

インタビュー時も、序盤の会話では確かにちょっと緊張しやすい面があるのかな、とも感じた。とはいえ普段の彼女はちょっと違うようだ。「MBTIは何ですか?」というかたちで性格を聞いてみた。こんな答えが返ってきた。

「INFJです。でもちょっと、あれこれと考えることが多くて、(Fのところは)ちょっとTのようでもあると感じますね」※MBTI性格診断では、四つのアルファベットで結果が示される。それぞれ最初の1文字目から、「外向型(E)と内向型(I)」、「感覚型(S)・直観型(N)」、「思考型(T)・感情型(F)」、「判断型(J)・知覚型(P)」に分かれる。スジョンの場合、INFJの3つめの「F=感情型」が、「T=思考型」に近いのでは、と自ら感じるのだそう。

このスジョンのINFJ、「毎回ちょっと言うことが違う」と周囲から指摘されることが多いのだとか。これについて、本人が「言っておくべきことがあります!」。ここで話が一気に盛り上がった。

「その場その場で、言うことが違うと言われるんですよ。でも私の場合は、その場の雰囲気を大切にしたいんです! 例えば、何か私の感情を表す発言をしてしまったことによって、その雰囲気を台無しにするのが嫌なんです」

日本への思い「ごはんもおいしくて…」

その後、白い衣装に着替え、松原みきの名曲「Stay with me (カバー曲)」と「Tシャツ(未公開日本語オリジナル曲)」を歌った。

このうち「Tシャツ」については、日本のファンに向けた強い思いを口にしていた。

「私が今回、ソロとしは初めての日本でのイベントなので、少し特別なステージを準備したのですが、そのうちの一つが、私自身が作詞作曲に参加した日本語の曲です。今回のステージのために初めて書いた日本語の曲なんです。私はまだLOVELYZとしてもスジョンとしても日本でデビューをまだしていません。にもかかわらず応援してくださるファンの皆さんに本当に感謝しているんです。だから今回のイベントで先行公開します」

「バンドベースの曲です。私が最近バンドサウンドにはまっていることもありますし、昔からギターを演奏していたので、そういった曲を準備しました。今よりもうちょっと若かった頃、夏に少し深く片思いをした、といったイメージで作詞しました。初めて日本語で書いた曲なので、とても丁寧に書いきました。皆さんにもしっかり届いたらいいなと思いますし、いつかは必ずリリースできるようにしたいです」

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彼女、ホントに日本への関心が高い。SNSでもたびたび日本を訪れている様子がアップされている。この日のステージのトークでも「ビンテージのファッションが好きだから最近は下北沢によく行きます」「いま、欲しいのものは日本での休暇」と口にしていた。

その他、日本の好みの場所や食べ物についてこう話していた。

「福岡の海の中道、マリンワールド(水族館)そこに向かう途中の海と線路が見える風景が好きなんです。子供ころからあまり水族館に行ったことがなかったので。あと…食べ物だと牛タンが最近はお気に入りです。それと、日本のふつうのごはん(白米)がとてもおいしいと思うんですよね。どこに行っても、ほわほわしっとり、もちもちした白いご飯なので、2杯も食べてしまうこともあります」

日本のことについてももう、話が止まらなかった。ちなみに日本のファンが自らに使ってくれて覚えた日本語があり、それは「ダイスキ(大好き)」だそうだ。

変化したところ 変わらないところ

ステージではその後、ソロデビュー後にリリースされた「PINK MOON」(2022年11月)そして「Love or Hate」(2023年3月)が歌われた。

前者は18歳の片思いの気持ちを、雲の上を歩くようなときめきに例えて書き綴った甘い歌。後者はレトロでヴィンテージなシンセサウンドをベースに、他人と自分自身に対して感じる愛憎という感情を乗せた曲だ。

かつては、そのまん丸ほっぺがファンに愛された存在。8人組のLOVELYZのリードボーカルとして、ハスキーボイスとのギャップでも魅せてきた。本人の言う通り、初恋のときめきを歌い、時にフラれ、時に結ばれ、そして別れていく歌を通じて変化する姿を見せた。

そんな彼女が、グループではないソロ歌手として、少し引き締まった顔で、ギター片手に歌う。ああもっと大人っぽく変化していくんだな。そんな魅力を感じさせた。

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いっぽうで変わらないところもある。公演前のインタビューでは、歌い手として変わらない思いを口にしていた。

「温かい感性をお届けしようとしたいんです。私が最初に歌手になりたいと思ったのもこの思いからです。Lovelyzの時もそうでしたし、今の私も変わらない共通点ですね」

繊細で、あがり性だけど、それでいてしっかりとした自分の軸がある。リュ・スジョンという人、そんな性格なんじゃないか。韓国語で言葉を交わすに、そんなことを思った。名前は漢字で「柳樹整」と書く。「柳の木がすくすくと伸びるように」という意味なのだと、本人は解釈しているそうだ。軸があるという部分は、ぴったりだな、と思ったりした。

「新しいアルバムを準備して、また会いに来る予定です」

7月21日の公演時には、最後にこう締めくくった。8月22日、韓国で新曲「White Dress」がリリースされる。

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(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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