グーグル、アップル対抗の健康管理サービス発表へ、ウエアラブルなどと連携する「Google Fit」
フォーブスの報道によると、米グーグルは米アップル対抗の健康管理サービスを開発しているという。健康関連のウエアラブル機器やアプリケーション、フィットネス機器などから集めたデータを統合するサービスだという。
「Google Fit」のエコシステム構築へ
フォーブスは事情に詳しい関係者の話として、グーグルのサービスは「グーグルフィット(Google Fit)」という名称になると伝えている。
同社は今月25日に米サンフランシスコで開発者会議「Google I/O」を開催するが、その会場で新サービスを発表するという。
これに先立ち、米アップルは自社の開発者会議で健康管理の情報をアイフォーン(iPhone)などの同社製モバイル端末で一元管理する「ヘルスキット(HealthKit)」を発表した。
ウエアラブル端末や健康関連のアプリはこの仕組みを利用し、各種のデータをアップルのアプリ「ヘルス(Health)」に送ることができるようになる。また利用者はアプリを使って、歩数や心拍数、睡眠記録といったデータを、病歴などの情報とともに管理できるようになる。
アップルはこの仕組みを今年秋にリリースする次期モバイル基本ソフト(OS)「iOS 8」で提供する予定だ。
フォーブスによるとグーグルのサービスもアップルと似た仕組みだという。グーグルフィットは同社のクラウドサービスと連携するほか、今年3月に発表したウエアラブル端末向けOS「アンドロイド・ウエア(Android Wear)」とも連携する可能性があると同誌は報じている。
グーグルもおそらくアップルと同じくサードパーティーの協力を得るもようだ。今度の開発者会議ではそうした端末メーカーがグーグルのパートナー企業として紹介される見込み。これにより同社はグーグルフィットを取り巻くエコシステム(生態系)を構築したい考えだという。
サムスンやマイクロソフトも健康分野に注目
ウエアラブル機器などからヘルスケアやフィットネス関連のデータを集約し、さまざまなアプリで利用できるようにするというサービスは、今後の注力分野と言われている。
例えば、先頃韓国サムスン電子も健康管理データのプラットフォーム「SAMI(Samsung Architecture for Multimodal Interactions)」を発表し、それを利用したデモ用のリストバンド型ウエアラブル端末「シムバンド(Simband)」を披露した。
またサムスンは今年、スマートウォッチの第2世代モデルである「サムスン・ギア2(Gear 2)」および「同ギア2ネオ(Gear 2 Neo)」と、健康管理に特化したリストバンド型端末「同ギアフィット(Gear Fit)」を発売した。
米マイクロソフトも先頃ウエアラブル端末を開発していると報じられたが、フォーブスによると、同社の端末には心拍数を継続的に計測する機能が搭載されるという。
いまだ成功事例がない市場
ただ、テクノロジー業界の動向に詳しい米テックタイムズは、健康関連のデバイスには、まだこれといった成功事例がないと伝えている。どのメーカーもまだ「なぜ消費者がこうした機器を持たなければならないか」を十分に説得できていないのだという。
リスクをいとわず大きな投資をしようという企業は今のところアップルだけのようだとテックタイムズは伝えている。先頃日本経済新聞が、アップルがヘルスキットを利用する腕時計型端末を発売する計画だと報じた。
日経新聞によると、アップルはその端末を月間300万〜500万台製造する計画を立てている。もしこの報道が正しいとすれば、新市場の開拓に自信を持っているのはアップルのみ。
おそらく、各社はアップルの製品が登場するまで様子見をしているのではないかとテックタイムズは報じている。
(JBpress:2014年6月17日号に掲載)