新婚とクズ紳士から始まる新章。「相席スタート」の今後
昨年10月には山﨑ケイさん(39)が落語家の立川談洲さんと結婚、山添寛さん(36)も“クズ紳士”キャラで新境地を開拓している「相席スタート」。それぞれが独特の香りを放つコンビでもありますが、7月1日にはイベント「復活!相席スタートの密会Midnight」(東京・文化放送内ホール)も開催します。そこにはラジオへの愛、そして、今後のコンビへの思いが詰まっていました。
ラジオへの思い
山添:2019年10月から文化放送でラジオ番組「相席スタートの密会Midnight」をさせていただきました。コンビで初めてのレギュラーラジオということで気合も入っていたんですけど、去年の9月末、1年でなくなってしまいまして。
山﨑:コンビでラジオをやるって、若手芸人の中では目標だったりもするので、できるとなった時は純粋にうれしかったですね。文化放送さんのスタッフさんもなんとか番組を復活させようと頑張ってくださっていたんですけど、なかなか枠がないという現実もあって、難しい。
山添:じゃ、どうする?何かやらないとという気持ちが高まったところで、まだ何か決まっているわけでは全くないんですけど、一回イベントを打って、復活への勢いをつけられたらなという思いで7月1日に開催することにしたんです。
文化放送さんからしたら「番組復活が決まっているわけでも何でもないのに、勝手にあおって迷惑な!復活させなかったら、こちらが悪いみたいになるじゃないか!」という話になってるかもしれませんけど(笑)、とにかく、何か動かないとという僕らのラジオへの気持ちを表した場になると思います。
山﨑:ラジオが終わったのが去年9月末で、私が結婚したのが10月14日だったので「ラジオが続いていたら、発表するのはこの番組だったのになぁ」と思いつつ、最終回をやってました(笑)。
そういう極めて個人的なこととかでもラジオなら馴染みがいいというか。テレビって、何か面白いこととか驚いたことがあっても、それをキュッとコンパクトにしてしゃべるみたいになるんですけど、ラジオは細かい文脈だとかその時の思いを全部しゃべれる。この感覚はラジオをやらないと分からないのかもしれませんけど、こういう場って、他にはないんですよね。なので、コンビでそういう場を持つことを、なんとか復活させたいなと。
私がリスナーとしてラジオを聴いていて好きなのが、コンビで別々の仕事に行っていて、ラジオで顔を合わせた時に「この前行ってた仕事、すごかったよね」みたいな話を互いにするという流れなんです。
私の結婚もありましたけど、山添のクズキャラでも今はお仕事をいただけるようになってきましたし、本当は、今こそラジオがあったらなと余計に思うんです。
結婚がもたらしたもの
山﨑:結婚してからの仕事の変化ですか?漫才のネタの入りが少し変わったりはしましたね。今までだったら、私がモテる方法を思いついたとか、私が独身であることが前提の入りが多かったので、その入口は変えないといけないなと。
山添:これはね、僕としたら精神的にかなり楽になりました。ケイさんから、ガチで狙われていたので…。10月14日に結婚されたので、10月13日までは狙われてたんで(笑)。
僕の中では男女コンビの中の恋愛というのは一切なかったので、これでやっと仕事に集中できるというか。
山﨑:これまでは集中してなかったの(笑)?
山添:僕はビジネスパートナーだとしても相手がそうじゃなかったら、足並みそろってないですしね。場合によっては「このまま押し切ってやろう」という部分があったと僕は感じてましたから(笑)。
これは結婚される前の話ですけど、ある後輩とケイさんが仕事をしたそうなんです。僕はその現場にはいなかったんですけど、その時の後輩の対応がものすごく気持ち悪かったと。
それについて「山添だったら、そんな対応は絶対にしなかっただろうし、いつも気持ち悪いとは言ってるけど、その後輩に比べたら絶対に山添の方がいいと思った」と移動のタクシーの中で言われまして。タクシーの中ってものすごく密室感があるし、二人きりの空間で口説かれたという事実…。後から聞くと、その時にもう旦那さんとお付き合いをされていた時期だったそうで、僕の返答次第では乗り換えようとされていたのかなと思うと、一つの恋を邪魔せんで良かったなと思います(笑)。
山﨑:あと、仕事での変化でいうと…。
山添:スッといくんやな…(笑)。
山﨑:バラエティー番組とかでイケメン俳優さんがゲストに来られた時、今までだったら、司会の方から「ケイちゃんはどう?」とそのゲストさんに関して尋ねられたら、こちらの答えは二択なんです。“大好き”という方向で返すか“ごめんなさい”という方向か。
ここに今は人妻という要素が乗っかってきた。例えば「ダンナに許可取らなくても、いきます」みたいに一つダンナという部分をかますとか。そうすると、実は、これまでの“イイ女”ボケとは味が変わっているんですけど、そこをどうしていくかとか。細かいところですけど、今いろいろと探っている段階でもあります。
男の芸人さんよりも、女の芸人さんの方が結婚ということで、見てる側の目線がより変わるというか。今後、出産などもあったら、より見られ方が変わってくると思いますし。
女芸人というくくりで呼ばれると、基本的には失敗談とかを求められることが多いんですけど、そのあたりの調整みたいなところもちょっとずつしていくことになるんだろうなと。ここは世の中の動きとも連動している部分かもしれませんけど。
山添:僕は、10年後とか今後の方が楽しみですね。今はケイさんがまだ新妻というか新婚ホヤホヤというのがあるので、幸せムードが漂っている。
それが10年経ったら、ダンナさんへの不満やマンネリ感も当然出てくるだろうし、出てくる言葉も旦那さんへの愚痴が多くなっているだろうなと。そういうものが出だした方が漫才でも味になってくるだろうし、それこそ、ラジオをやらせてもらっていたら、そこでいろいろと話すものにもなるでしょうしね。
…ただ、そうやって、ダンナさんへの不満が募ってくると、また、こちらを異性として見てくるかも?しれませんね。こればっかりは、いたちごっこなんですかね。
山﨑:…。
(撮影・中西正男)
■相席スタート(あいせきすたーと)
1982年6月13日生まれで千葉県出身の山﨑ケイと85年6月11日生まれで京都府出身の山添寛のコンビ。山﨑はNSC東京校13期生、山添は同校14期生。互いに別のコンビを経て、13年に「相席スタート」を結成する。20年10月、山﨑が落語家・立川談洲と結婚した。7月1日には東京・文化放送内ホールでイベント「復活!相席スタートの密会Midnight」を開催する。