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14連敗でもエンジェルスは地区2位。ワイルドカードの3番手とは3.5ゲーム差

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Jun 8, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、5月25日から14試合続けて負けている。今世紀に入ってから、それよりも長い連敗を記録したのは、調べたところ、6チームしか見つからなかった。2005年のカンザスシティ・ロイヤルズと2021年のボルティモア・オリオールズが19連敗、2011年のシアトル・マリナーズと2021年のアリゾナ・ダイヤモンドバックスが17連敗、2002年のタンパベイ・デビルレイズと2013年のヒューストン・アストロズは15連敗だ。現時点の14連敗は、見落としがなければ、2004年のダイヤモンドバックスと2021年のオリオールズと並び、今世紀では7番目に長い。

 ただ、ここまでのエンジェルスは、27勝31敗。借金は5に達していない。ここから5連勝すれば、貯金1となる。地区順位は、アストロズに次ぐ2位だ。3位のテキサス・レンジャーズとのゲーム差はゼロだが、勝率で上回っている。各地区1位の3チームを除いたワイルドカード・レースでは、6位に位置する。ポストシーズン進出となるワイルドカードの3番手、ボストン・レッドソックスとの差は3.5ゲームだ。

 2001~21年に14連敗以上を記録した延べ8チーム中7チームは、連敗がスタートする直前の時点で、すでに借金を抱えていた。残る1チーム、2011年のマリナーズも、借金はなかったものの、貯金もなかった。いずれも、連敗を止めた時点の借金は二桁だった(2013年のアストロズはシーズン終了時点。翌年の開幕戦に白星を挙げた)。それらのチームと比べると、今シーズンのエンジェルスは、スタート地点がまったく違う。貯金10からの連敗なので、借金はそこまで嵩んでいない。

筆者作成
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 また、これまで、12連敗以上を記録しながらポストシーズンへ進んだチームはなく、11連敗を喫したポストシーズン進出チームも、1951年のニューヨーク・ジャイアンツ、1982年のアトランタ・ブレーブス、2017年のロサンゼルス・ドジャースしかいないが、今シーズンから、ワイルドカードは1枠増え、1リーグ3チームとなった。エンジェルスに限ったことではないが、ポストシーズン進出のハードルは、これまでよりも下がっている。

 エンジェルスは、ポストシーズン進出の望みが潰えるところまでは、沈んでいない。少なくとも、今のところは。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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