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小春を飛び越え春一番?

饒村曜気象予報士
夕焼け雲(ペイレスイメージズ/アフロ)

例年とちょっと違った小春

 11月7日は冬の寒さが始まる立冬、11月8日が旧暦の10月1日で神無月がはじまりました。

 出雲大社に全国の神様が集まるので、出雲地方は神有月、出雲地方以外は神無月というわけですが、その神無月にはいろいろな異名があります。

 小春もその一つです。小春は小春日和からきています。

 「晩秋から初冬の冷え込みの中、ときには高気圧におおわれて風が弱く、日射があると気温が上昇して過ごしやすい春のような天気となる」というのが本来の小春日和です。

 今年、平成30年(2018年)は、夏の記録的な高温に続いて、暖かい秋があり、晩秋に入っても暖かい気温が続いています。特に朝方の冷え込みは遅れています。

 温度的には小春と呼べるのですが、寒さの中の暖かさではないので、温かさのありがたさは半減しています。

 今年の小春日和は、例年の小春日和とはちょっと違い、厳しい冬に向かって寒くなっているときに、ほっとした暖かさ、感謝を感じる暖かさではありません。

日本海低気圧

 寒さの中の一時的な暖かさである、本来の小春が訪れないうちに11月9日~10日は日本海で低気圧が発達しそうです(図1)。

図1 予想天気図(11月9日9時の予想)
図1 予想天気図(11月9日9時の予想)
図2 雨と風の予想(11月9日9時)
図2 雨と風の予想(11月9日9時)

 春一番と同じような天気図ですので、春一番と同じように、ほぼ全国的に南よりの風が吹いて気温が上昇します。日本海側ではフェーン現象で季節はずれの暖かさになる可能性があります。

 発達した前線から延びる寒冷前線が通過するときには、大気の状態が非常に不安定となります。

 8日昼過ぎから9日夕方にかけて、寒冷前線が西日本を通過しますので、落雷や竜巻などの激しい突風、激しい雨に注意が必要です。

 また、春一番が通過したあと寒気が南下して寒くなるように、今回も、発達した低気圧の通過後は寒気が入って気温が下がります。

 下がったといっても平年並です。各地とも、平年より高い気温が続く一週間になりそうです(図3)。

図3 週間天気予報(天気と最高気温)
図3 週間天気予報(天気と最高気温)

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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