歓喜パフォーマンスで警告、挑発、失神まで起きる韓国の“セレモニー”事情
昨日6月10日に行われたJ2水戸ホーリーホック対栃木SC戦で、水戸のFWジェフェルソン・バイアーノが見せたパフォーマンがちょっとした議論を呼んでいる。
バイアーノは前半17分にPKを決めた直後、コーナーに走ってコーナーフラッグを抜いて何かを狙い撃つようなパフォーマンスを見せた。バイアーノは同じようなゴール・パフォーマンスを過去にも見せたそうだが、今回はその行為で警告を受けた。
フラッグを抜いたこともさることながら、銃かバズーカ砲を撃ちぬくような行為が不適切だったという意見もあるようだが、いずれにしてもスポーツの世界では当たり前の“歓喜のパフォーマンス”が、警告の対象になるというのはちょっぴりもどかしい。
美しいゴールパフォーマンスやセレモニーもあるが
というのも、スポーツの世界においてガッツ・ポーズや歓喜の雄叫びはつきものだ。韓国ではそれらを“セレモニー”とも呼ぶ。
例えばサッカーでは、ゴールを決めた選手がゴールパフォーマンスを行うことは一般的だ。なかには深い意味が込められたものもあり、熱心なファンの間で話題になることも少なくない。
最近では、Jリーグのサガン鳥栖への復帰が決まった豊田陽平が韓国Kリーグで見せたゴールパフォーマンスが議論を呼んだ。
(参考記事:【裏話】豊田陽平がKリーグ初得点後のゴールパフォーマンスに込めた意味とは)
平昌五輪でも感動的なセレモニーがあった。スピードスケートでしのぎを削った日本の小平奈緒と韓国のイ・サンファが競技後、熱い抱擁を交わしたのだ。
韓国では非常に大きな話題になり、その美しい両者の姿は平昌五輪の“名シーン”となっている。小平奈緒とイ・サンファの友情は今も続いているそうだ。(後日紹介したい)
ただ、そんなスポーツ選手のセレモニーが時に不測の事態を招くこともある。
サヨナラ勝ち→失神
例えば韓国プロ野球でのことだ。
過去はその歓喜のセレモニーによって、人気の“野球女神”が被害者になる“女子アナズブ濡れ事件”も起きたことがあるし、最近だと5月15日の斗山ベアーズ対SKワイバーンズ戦でハプニングが起こった。
試合は斗山が劇的なサヨナラ勝ちをしたのだが、1塁の走者だったパク・コヌ選手がホームに戻ってくるとチームメイトが手厚く迎え入れたが、あまりに過度な出迎えでパク・コヌ選手がグラウンドに倒れこんだ。「後頭部を叩かれ、意識を失って倒れた」(『韓国スポーツ経済』)という。
幸い大きな怪我はなかったが、せっかくのサヨナラ勝利に水を差したことはいうまでもない。ファンからは「セレモニーが過剰だ」と非難を受けた。
最近では男子バレーボールの韓国代表がそんな批判にさらされている。
韓国バレーボール男子代表は「ネーションズリーグ」で8連敗中。最下位という不甲斐ない結果もさることながら、 “セレモニー”が問題視されているのだ。
「見るだけで哀れ」
韓国バレー選手のマナーを指摘したのは、他でもなく韓国のバレーボールファンたちだという。
韓国メディア『MKスポーツ』は、「韓国の試合を見守ったバレーボールファンたちは競技力だけでなく、マナーに対しても指摘した。試合中、過度なセレモニーを繰り広げているのではないかという指摘だ」と報じた。
バレーボールの試合では、得点のたびに選手たちが声を出したり、ハイタッチしたりするセレモニーが見られるが、「相手チームに比べて過度に大きな身振りと歓声は、見るだけで哀れという声が多い」(『MKスポーツ』)らしい。
日韓戦では特に問題が多発?
こういった指摘もさることながら、何よりも度が過ぎるセレモニーは相手チームへの尊重を害する可能性がある。最近では“韓国のネクスト・シャビ”とされるペク・スンホが、去年のU-20ワールドカップで見せたチケット・パフォーマンスが議論を呼んだ。
(参考記事:「マラドーナをディスった?」韓国の“ネクスト・シャビ”ペク・スンホはどんな人物なのか)
特に日韓戦でその傾向が顕著だと感じるのは、筆者だけではないだろう。
ロンドン五輪の男子サッカー日韓戦では、勝利した韓国のMFパク・ジョンウが、「独島(竹島の韓国呼称)はわが領土」とハングルで書かれたボードを掲げて世界的な問題となった。
2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日韓戦の終了後、韓国選手がマウンドに国旗を刺すセレモニーを行ったことも記憶に新しい。
自分とチームの士気を上げるために欠かせないとはいえ、過度になると何かと迷惑もかかるスポーツ選手のセレモニー。
もうすぐするとロシア・ワールドカップが開幕するが、そこでもたくさんのゴールパフォーマンスが披露されるだろう。“物言い”がついたり、対戦相手や観客たちを不快にさせない“歓喜のシーン”で彩られることを期待したい。