Love Harmony's,Inc. 男女7人の個性が重なり、響く、歓喜のハーモニーが話題
男女混声歌唱グループ「Love Harmony’s, Inc.」とは
男女混声歌唱グループ「Love Harmony’s, Inc.(ラブ・ハーモニーズ・インク:以下LHI)」は、「歌い紡ぐ、歌い繋ぐ、織り成すハーモニー」をコンセプトに、2018年12月に「浪漫飛行」(米米CLUB)のカバー動画をYouTubeにアップし活動をスタートさせ、そのクオリティの高さに一躍注目を集める存在になった。メンバーの変動を経て、現在、セッションユニット・ぷらそにかでも活躍している早希、島太星(NORD)、木原瑠生(劇団番町ボーイズ☆/銀河団)、三岳慎之助、坂田隆一郎、山田健登、そしてヒューマンビートボクサーのRyoTracksという7名で構成されている。そんな彼らが4月14日にオリジナルシングル「I Believe」を発表、4月28日にはこれまでの集大成的なアルバム『GLEETINGS』をリリースする。メンバーの早希、木原瑠生、坂田隆一郎にインタビューし、LHIというグループの実像とその音楽を紐解いていく。
名曲のカバー動画で注目を集める
――LHIの活動としては3年目になりますが、YouTubeにカバー動画を精力的にアップしていましたが、それぞれの活動やグループでの活動があって、全員が集まるというのが大変だったのではないでしょうか。
木原 最初の一年は手探りな感じで始まって、でも次の一年は僕はなかなか参加できなくて。その間に、メンバーも変わったこともあって、焦りもありましたが、ようやく腰を落ち着けて参加できるようになって、今はみんなで歌を合わせるのが本当に楽しいです。念願だったアルバムを配信できるということで、色々な人に聴いてもらえるチャンスだし、ライヴをやった時のお客さんの反応が楽しみです。
早希 私は「小さな恋のうた」(MONGOL800)のカバーからなので2019年から合流させていただきました。
坂田 最初はメンバーもスタッフさんも手探り状態で(笑)。プロジェクト自体が固まるまでに一年、そこからある程度形が決まってきてからの一年で、たくさんMUSIC VIDEO(MV)を撮って、毎月YouTubeにアップ出来るようになりました。メンバーの入れ替わりもあったし、難しい曲も多いので、ライヴはどうやるんだろうってずっと不安でした。今回やっとオリジナル曲とアルバムが出せて、ライヴのリハもやっているのですが、みんなで「こんなたくさん曲をやってきたんだ」と再確認して、自信にもなったし、ライヴで披露するのがとにかく楽しみです。
――改めて声が重なった時の力には感動したと同時に、LHIのテーマのひとつでもある“歌い継ぐ”という思いが、原曲の良さを丁寧に伝えてくれている感じが伝わってきます。
坂田 そもそも名曲揃いなので、そこにアレンジの力で自分たちのオリジナル性を加えて、より今の時代に合った感じになっていると思います。原曲を知らない若い人達にも聴いて欲しいですし、幅広い世代の方に楽しんでいただけるアルバムができたと思います。
――早希さんは、メンバーそれぞれがソロのシンガー・ソングライターとしても活動をしているセッションユニット・ぷらそにかでも活躍していますが、LHIはどんなグループに見えていましたか?
早希 私は元々アカペラをやっていたのですが、LHIはまた違うジャンルのグループに見えていました。ハモリが複雑だし、コーラスパートもすごく多いし、プロ感がすごいというか…(笑)。
――それぞれのソロパートの歌もすごく伝わってくるし、全員がリードボーカルをとれるので色々な楽しみ方ができるグループだと思います。
坂田 それぞれのグループでメインボーカル、リードボーカルをやっていたメンバー、一人ひとり個性が強い人が集まっているので、だからこそ色々な曲を聴いていただいても飽きないと思うし、そこはこのグループの強みだと思っています。
「色々なグループのメインボーカルが集まっているので、最初はコーラスをやることに違和感があったけど、でもコーラスの楽しさに目覚め、みんなと歌う時は自然と笑顔になる」(坂田)
――メインボーカル、リードボーカルをとっていた人たちが、コーラスもやることになりました。
坂田 そうなんです。みんな“普通に歌ってきた”人達ばかりなので、それが急にウーとかアーとか、ラララってコーラスをやるようになって、最初はえ?っていう違和感はありました。やったことがなかったので難しいということもあるし、やっぱりみんなメロディを歌いたい、リードボーカルを任せてほしいという気持ちもあって、それぞれが悩んだと思います。でもやっていくうちにコーラスが揃っていく楽しさをみんなが感じ始めて、ライヴのリハでも、みんなが自然と笑顔になって楽しくやれているのは、やっぱり歌好きが集まっているからだと改めて感じました。
——自身が参加しているカバー曲の中で、特に印象的だったものを教えてください。
木原 僕は「木枯しに抱かれて」(小泉今日子)です。最初この曲のことを知らなくて、聴いてみたら歌詞もメロディもすごくよくて、実際にみんなで歌ってみて声が重なっていくと、より切なさを感じたというか。早希ちゃんが入ってきて、すごく新鮮な気持ちでできた思い出があります。まだ固まっていない、発展途上だった僕たちが、新しいLHIとして徐々にひとつのものを作っていくその第一歩という感じもして、印象に残っています。
早希 私はやっぱり「小さな恋のうた」ですね。遥海さんからのバトンを受け取って頑張らなければと思ったし、自分の声が入ることによって、聴いて下さる方、そしてメンバーにも、違うLHIになったって思って欲しいと思ったり、色々な思いを抱えてレコーディングに臨んだ記憶があります。レコーディングの時、ディレクターさんから「草原で歌ってるような感じで」って言われて、それもすごく印象に残っていて、でもそのひと言からレコーディングがスムーズに進んだことも覚えています。
木原 レコーディングの時、初めましてという感じだったと思うので、男性陣も少し緊張してたし、早希ちゃんも、男だらけの中に女子が一人入ってきて、むさ苦しいだろうって思っているんだろうなって(笑)。
早希 あれだけの男性に囲まれる現場がそれまでなかったので、緊張しました(笑)。
坂田 休憩中とかも、メンズだけでアホみたいなことやっていましたけど、それをお母ちゃんのように見守ってくれて(笑)。僕は「TECHNOPOLIS~RYDEEN」(YMO)です。あの曲はメンズだけでやったのですが、元々インストナンバーなので、楽器の音を歌うというのがとにかく難しくて、レコーディングでは絶望してしまいました(笑)。それだけに完成した時の喜びは忘れられません。
――みなさんが影響を受けたアーティストを教えてください。
早希 私は中学2年生までミュージカルをやっていて、そこからJ-POPを歌うきっかけになったのは平井堅さんとアンジェラ・アキさんを聴いてからでした。アンジェラ・アキさんが立ってピアノ弾く姿が本当にカッコよくて。自分で曲を書きたいって思ったのは、きっかけがあったというよりは、高校の時にバンドを組んでいて、曲が全部オリジナルだったので自ずと書くようになって。今は森山直太朗さんが好きです。
坂田 僕は父親の影響が大きくて、サザンオールスターズとかスピッツとかが好きでよく聴いていました。父親がよく仕事帰りにタワーレコ―ドに寄って、試聴機でちゃんと聴いて、気に入った“今週の一枚”を買ってきていたので、ジャンル問わずなんでも聴いていました。今思うとそれがよかったんだなって思えます。
――好き嫌いなく、なんでも聴ける耳を持っているということですよね。今回のアルバムがまさにそうですね。
坂田 『GLEETINGS』最高です(笑)。
木原 僕はここ2、3年はB’zばかりです。
坂田 それ、もう5年くらい言ってない?
木原 それまではどちらかというと流行っているものばかり聴いていました。中学校時代はEXILEとか、高校の時は三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEとかが流行っていたので、そこからそれぞれのルーツミュージックを聴いてみたり、それこそハーモニーがきれいなグループだと、Skoop On Somebodyのライヴに連れていってもらって好きになったり……今はB‘zばかりを聴いています。
坂田 その影響で革ジャン着てます。
木原 ギラギラした人が好きです。一番最初に好きになったのがKAT-TUNで、デビュー曲の「Real Face」はB‘zの松本さんが作曲されているので。
――LHIのメンバー一人ひとりの音楽の趣味も全然違うんでしょうね。
坂田 みんな聴いていた音楽も好みも違うので、それで音楽のジャンルが制覇できると思います。
「『I Believe』は自分も元気をもらえる曲」(坂田)
――そこがなんでも歌える、できるグループというところにも繋がっている気がします。これまで様々なジャンルの曲をカバーしてきましたが、いよいよオリジナル曲「I Believe」が配信リリース(4月14日)されました。
坂田 前を向いて歩いていこうって素直に思っていただけると思いますし、この一年、みなさんがそうだったように、僕もなかなか人に会えない中で、これまで出会った人たちとのつながりがかけがえのないものになっていると感じました。そういう思いを改めて感じながらの今回のレコーディングだったので、自分も元気をもらえる曲になりました。その思いがみなさんに伝わると嬉しいです。
――こういう時代に人の声が重なる、つながるというこの曲が、聴き手の心に響きそうです。今だからこそシンプルで普遍的な言葉が、意味を纏って伝わってきます。
坂田 YANAGIMANさんが書いて下さったいい意味で泥臭い歌詞が、今はあまりそういう歌詞の曲って少ない気がしているので、そういう言葉を敢えて使うその気持ちが素晴らしいと思いました。
木原 ラップにも詰め込んで、ストレートに伝えるところがいいなって思っていて。ライヴに向けてリハで歌っていると、感情もどんどん高まってくるし、僕達にめちゃくちゃ合っていると思うし、こんなになってしまった時代の中で、みなさんを励ます力になれる曲だと思いながら歌っています。
「『I Believe』を、ライヴで笑顔でお客さんと歌える日が来るのを、楽しみにしています」(早希)
――ライヴでこの曲を聴いたら、お客さんも感動しそうです。
木原 すでにリハで泣きそうになっています。
早希 今日この取材の前にライヴリハがあって、この曲はライヴでお客さんとの掛け合いの部分もあるので、みんなで目を合わせて、笑顔で歌う光景が浮かんできました。お客さんに声を出して歌ってもらえる日がいつになるかわかりませんが、早く一緒に歌いたいって思いました。
坂田 そういう日を“I Believe”、いつかを待ってる、信じてる、という歌でもあります。
「ライヴができなくなって、観て下さる方から力をもらっていたと改めて感じました 」(木原)
――この一年で一番感じたこと、大きく変わった思いを教えてください。
坂田 本当に色々変わりすぎてしまって、よくわからない感覚ですが、まず思ったのが一人では生きていけないということを感じました。物理的な問題もありますけど、やっぱり喜怒哀楽があるのが人間というのを改めて実感しました。それは誰かと話したり、誰かとぶつかったりしないと出てこない感情なんだなって。そこに気づけたからこそ、自分も色々な表現の仕方が出てきたと思います。
木原 ライヴができなくなって、自分はライヴでみなさんから力をもらえていたことに気づきました。ライヴでみなさんに会った時、その笑顔を見て元気になって、明日も頑張ろうって思えていたんだって痛感しました。こちらがみなさんに元気を与えていたのではなく、みなさんが笑っているからライヴをやりたい、もっと歌いたいって思えていたんだなって感謝の気持ちでいっぱいになりました。
早希 私は正直、ネガティヴなことばかりではなかったなっていう印象があって。コロナ前は、弾き語りで小さなライヴハウスでやることも多くて、コロナ禍になってからは、オンラインで、遠くの人とも触れ合う機会を作れるようになったのかなって。そこがポジティブになれた部分で、視聴している方も「会いに行きたいです」「ライヴに行きたいです」って言ってくださって、改めてライヴってお互いにとって、とても大切な「場所」なんだと気づかせてくれました。なので、LHIとしての初めてのライヴ(『Love Harmony’s, Inc. First Live “GLEETINGS”』4月29日渋谷duo MUSIC EXCHANGE)がすごく楽しみです。
坂田 夢は、みんなで一曲作ってそれをライヴで歌うことです。曲を書くメンバーも多いので、一人がみんなのために作るというのもいいのですが、全員で、それこそアレンジやコーラスアレンジまでやると、面白い曲ができるのではというワクワク感があります。