ワシントン桜の満開日予想 記録的暖冬で1週ほど早い
その昔、日本の花見文化にほれ込んだアメリカ人女性がいました。彼女が熱心に働きかけたおかげで、日本からアメリカに数千本の桜の木が贈られました。その桜並木が植えられている、首都ワシントンDCにあるポトマック河畔の国立公園には、毎年100万人以上の人々が訪れ、春の風物詩となっています。
今年の満開日
その桜の満開予想日が、1日(水)に発表されました。国立公園によれば、今年は3月22日から25日とのことです。
近年の満開の平均日は3月31日ですから、どうやら今年は1週間ほど早く見頃となるようです。参考までに、これまでの最早記録は3月15日(1990年)、最も遅い記録は4月18日(1958年)でした。
なおアメリカの満開の定義は「桜の7割が咲き揃う」ことで、日本の満開の目安である「8割」よりも少ない状態をいいます。
(↑満開予想日が発表されたイベントの様子。桜色のまぶしい衣装を着た女性たちが、予想日の書かれたプラカードを掲げています。実に真新しい光景です。)
背景に記録的な暖冬
早く咲く一因は、記録的な暖冬です。
下図は、ワシントンDCの今冬の日最高気温を表しています。冬の最高気温の平均は7度から9度ほどですが、それを大きく上回る日々が続き、20度を超えた日も3回ありました。
アメリカ気象局によれば、今年1月は観測史上3番目に暖かく、2月は観測史上2番目の暖かさであった可能性があるようです。
芽吹く木々、強烈な花粉
この記録的な暖冬で桜の成長が進んでいるほかに、珍しいことも起きています。
まず、植物の成長が1か月も前倒しになっています。
日本ではほぼ全国に桜がありますから、桜が国全体に通用する春の指標となっていますが、そうもいかないアメリカには別の指標があります。「スプリング・リーフ・インデックス」と呼ばれるものです。
それは何かというと、春に最初に葉をつけるライラックとスイカズラの葉が顔を出す日のことです。今年は数週間からひと月ほども早く、ニューヨークなどでは過去最早記録を更新しています。
早い春の到来で心もウキウキしますが、一方で花粉が悲惨なほど飛散していて、下の写真のようにフロリダ州のビーチの水面は不気味な黄色に染まっています。花粉症持ちの筆者にとっては、ゾッとする黄ばみ具合です。
カナダのアイスリンクで史上初の珍事
またカナダ東部のオタワでは、史上初めて、あるものが開きませんでした。
それは世界最長の天然のアイスリンク「リドー・カナル・スケートウェイ」です。半世紀の歴史がありますが、これまで一度たりともリンクが開かない年はありませんでした。
ところが今冬はこの時期の平均気温を10度以上も上回る日が続いて、川の氷が既定の厚さに達せず、結局開かずじまいに終わりました。
暖冬で喜ぶ人、へこむ人。北米では様々な気持ちが渦巻いています。