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藤本四段、藤井八冠が史上最高勝率ペース 伊藤七段は対局数・勝数でトップ 年度成績ランキング終盤戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2023年度も残すところ、あと1か月ほどとなりました。記録部門もいよいよ最終盤です。

 今年度、特に注目されているのは勝率部門。現在、藤本渚四段(18歳)と藤井聡太八冠(21歳)が史上最高記録を上回るペースを続けています。

大器・藤本四段、大記録更新なるか?

 現役中最年少の大器・藤本四段。フルシーズン参戦1年目の今年度成績は、45勝7敗(勝率0.865)です。

 藤本四段は竜王戦6組、C級2組順位戦最終局、王位戦リーグ、銀河戦などの対局が残されています。記録の性質上、1敗でもすると、記録更新の可能性は一気に低くなります。

 竜王戦6組では3月1日、冨田誠也四段と対戦します。

 C級2組順位戦は現在8勝1敗。最終戦は山本博志五段(5勝4敗)と対戦し、勝てばC級1組昇級が決まります。

 王位戦の挑戦者決定リーグ紅組は初戦で佐藤天彦九段に勝利しました。

 近年の王位リーグでは、多ければ年度内に3局ほど指される場合もあります。あと何局なのか、藤本四段の今後の予定はまだ発表されていません。

 銀河戦では本戦Dブロックを勝ち進んでいます。

 銀河戦はテレビ棋戦のため、対局日(収録日)と放映日は一致しません。パラマス式トーナメントの本戦では、若手が大きく連勝する場合もよくあります。ここからどれだけ白星を積み重ねられるでしょうか。

藤井八冠、残り全勝すれば勝率記録更新

 藤井八冠の今年度成績は43勝7敗1持将棋(勝率0.860)です。

 八冠を達成し、ほとんどトップクラスの棋士としか対戦しない状況でこの勝率は改めて驚異的です。

 藤井八冠に残された対局は棋王戦五番勝負とNHK杯です。

 棋王戦第3局は3月3日におこなわれます。

 NHK杯準決勝の羽生九段戦は3月10日に放映されます。

 現代将棋界のゴールデンカードともいえる藤井八冠-羽生九段の対戦は、大変に注目されることでしょう。

 藤井八冠が史上最高勝率を上回るためには、NHK杯で優勝し、棋王戦で1敗もせず防衛する必要があります。

伊藤匠七段、2部門でトップ

 棋王戦五番勝負で藤井棋王に挑戦中の伊藤匠七段(21歳)。今年度成績は46勝15敗1持将棋(勝率0.754)です。

 伊藤七段は現在、対局数(62局)と勝数(46勝)の2部門でトップに立っています。

 対局数は2位の羽生善治九段(53局)ほか、他の棋士に大きく差をつけて、1位はほぼ確実と思われます。

 一方で勝数は2位の藤本四段(45勝)とほとんど差はありません。こちらは最後までデッドヒートが予想されます。

 伊藤七段は3月1日、王将戦一次予選で増田康宏七段と対戦します。

 伊藤七段、増田七段ともにリーグに入って挑戦者を争うほどの実力があると思われますが、それが一次予選の初戦でぶつかるとはなんとも厳しいところです。

 休む間もなく、3月3日は棋王戦第3局。そしてまた休む間もなく3月5日、C級1組最終戦が控えています。

 伊藤七段は実力者の宮田敦史七段(5勝4敗)と対戦。勝てば昇級が決まります。

連勝部門は佐々木大地七段トップ

 連勝部門は佐々木大地七段(28歳)の15連勝で変わりません。現在、連勝継続中でトップは藤本四段の6連勝ですので、この部門は佐々木七段でほぼ当確かもしれません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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