台風19号、魔の海域で急発達して『スーパー台風』に
「スーパー台風」――。近年この言葉は、キャッチーな響きから、しばしばマスコミなどに登場するようになりました。スーパー台風は米軍合同台風警報センターが使用している台風の階級で、中心の最大風速が65m/s(1分平均)以上のものを指します。1年間に平均で1~2個の頻度で発生する、台風界の最強カテゴリーです。
19号、スーパー台風に
現在発生している台風19号もこの「スーパー台風」に相当します。この19号は7日(月)から8日(火)にかけてサイパンやグアムなどマリアナ諸島に最接近して、暴風雨をもたらしました。
トランプ大統領が非常事態宣言を発令するなど、警戒態勢がとられましたが、幸いなことに19号の中心がサイパンの北を通過したために、最悪の事態は免れたようです。それでもサイパンでは最大風速24メートルの強風が発生し、停電が発生しているもようです。
3つ目のスーパー台風
サイパンがスーパー台風の影響を受けるのは、ここ4年で3回目のことです。昨年10月24日には、台風26号が中心気圧905hPaという観測史上最強の勢力で上陸、さらに2015年には台風13号が直撃しています。
サイパンは「世界一穏やかな天候の島」としてギネスブックにも載っていますが、ここ数年はその限りではないようです。
19号の脅威の発達速度
19号は、7日から8日にかけて、驚異的なスピードで発達をしました。
6日18時には中心気圧は992hPaであったものの、その24時間後には915hPaと、わずか24時間で77hPaも中心気圧が降下したのです。デジタル台風のデータによると、この気圧の降下は北西太平洋において史上9番目とのことです。なお史上最大は1953年台風13号の96hPaで、伊勢湾台風は91hPaでした。
プリンストン大学などの研究によると、地球温暖化が進むと、このような急速に発達する台風が増加する可能性があるとのことです。
日本への影響
マリアナ諸島近海は「台風のエリート養成所」と呼ばれることがあるようです。その理由は、この海域の海水温が高いこと、また周囲に大きな陸がないために、台風が発達しやすいことなどが挙げられます。伊勢湾台風もこの近海で発生し、上述のように急激な発達を遂げました。
19号は動きが遅めであるために、伊勢湾台風と比べると日本接近前に勢力をやや弱めると予想されています。しかしそれでもかなりの勢力で日本に近づくことは必至で、台風15号の爪痕が残る千葉県や伊豆諸島などを再び直撃する恐れがあります。
早めの台風への備えや避難に向けた支度をお願いします。