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AAAで6試合連続本塁打のアデルをエンジェルスは昇格させるのか。それとも…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・アデル(ロサンゼルス・エンジェルス)Feb 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジョー・アデル(ロサンゼルス・エンジェルス)は、今シーズンの開幕をAAAのソルトレイク・ビーズで迎えた。そして、ホームランを打ちまくっている。

 開幕4試合目の4月4日から、24歳の誕生日を迎えた8日まで、5試合連続ホームラン。さらに、9日は2本のホームランを打った。ビーズによると、6試合連続ホームランは、球団新記録だという。ここまでの9試合は、打率.353(34打数12安打)、出塁率.476、7本塁打、15打点だ。二塁打も4本打っていて、長打以外の安打は1本しかない。

 ただ、すぐにメジャーリーグへ昇格する可能性は低そうだ。控え外野手のブレット・フィリップスは、マイナーリーグ・オプションが切れている。内野手のデビッド・フレッチャーなら、ウェーバー公示を経ることなく降格できるが、代わりにアデルを昇格させても――フィリップスと入れ替えても同じことだが――出場させるポジションがない。外野には、左から右へ、テイラー・ウォードマイク・トラウトハンター・レンフローの3人が並ぶ。DHには、大谷翔平がいる。

 シーズン中盤に入っても、エンジェルスがポストシーズン進出を狙える位置にいた場合、そこから加速する――あるいは失速しないようにする――のに必要な選手を手に入れるため、アデルをトレードで放出することもあり得る。

 欲しがる球団はあるはずだ。まだ、メジャーリーグではブレイクしていないものの、アデルはトップ・プロスペクトと目されてきた。年齢も若い。例えば、アロルディス・チャップマン(カンザスシティ・ロイヤルズ)との交換なら、あくまでも現時点の状況からの話だが、需要と供給は一致しそうな気がする。チャップマンについては、「チャップマンに復活の兆し!? 球速は2年ぶりに103マイルを超え、過半数の打者から三振を奪う」で書いた。ここまでは、4登板で無失点。14人に対して投げ、8三振を奪い、被安打と与四球は1ずつだ。

 もっとも、来シーズン以降のことを考えると、エンジェルスがアデルを手放すべきかどうかの判断は難しい。このままいくと、大谷とレンフローは、シーズン終了後にFAとなる。アデルがFAになるのは、早くても2027年のオフだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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